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シガテラ中毒

 西貢・布袋奥(清水湾)の海鮮レストラン「發記海鮮」で一緒に食事した17名のうち10名(18~65歳、男性2名、女性8名)がシガテラ中毒症状を起こした。患者は食後9~23時間後に四肢の痺れ、腹痛、嘔吐、筋肉痛といった症状が現れ、それぞれ最寄の公立病院やプライベートクリニックを受診しているが、症状は軽いという。食物環境衛生署では現在調査中であるが、このレストランで喫食された魚が原因のシガテラ中毒であることは間違いなさそうだ。  衛生署の統計によると、今年は40件のシガテラ中毒事案が報告され、患者総数は123名となった。  シガテラ中毒は熱帯地方では珍しいものではなく、特に南太平洋など海洋性の魚を常食している人々の間では昔から多発していたものだ。シガテラ毒は元々さんご礁に多いある種の藻類に含まれるものだ。この藻類を食べる小魚を餌とする大型魚の体内ー特に内臓や皮ーに毒素が蓄積する。この毒化した大型魚を人が食べることで中毒症状を起こすわけだ。食物連鎖の過程でより大きな魚に毒素が蓄積するが、見ただけでは危険量の毒素を含むのかどうかはまったく判断できない。  シガテラ中毒を避けるためには、3斤を上回る魚は食べないようにするか、食べても少量にしておくべきだ。また大きな魚の内臓や皮は特に毒素が多いので摂食を避けること。さんご礁に生息する魚が問題になるが、その種類は非常に多く、安全である魚と毒素を持つ魚の区別は困難だ。石斑などレストランの水槽で泳いでいるような魚(淡水魚は除く)はすべて危険性があるものとみても良いだろう。  細菌性食中毒とは違って、レストランの衛生状態や調理・保存といったことが原因とはならない。シガテラ毒を含む危険な魚を見分けることができないことから、レストランの直接的な責任を追求することは困難かもしれないが、少なくとも食物環境衛生署が3斤を超える魚の危険性をアナウンスしていたのに、それを上回る大型魚を客に提供したことの責任は問われる可能性がある。(禁止ではないのでどうなるのでしょう)  ここ数年、インドネシアなどでは高く売れる大型の天然魚が少なくなり、資源の枯渇が心配されるようになってきた。大消費地である香港などに向けられる大型魚は高く売れるため乱獲されているのが実態だ。環境団体などは、ナポレオンフィッシュなど大型の魚を食べないようにと市民に訴えてはいるが、その効果は虚しい。もしかすると、シガテラ中毒が多発するのは、大きな魚を食べないで欲しいという自然の訴えなのかもしれない。  マグロなどの外洋性の大型魚は水銀が問題になっている。どこで獲れるにしても、大きな魚は今後できる限り食べないようにして、近海物の小魚を食べる機会を多くしたほうが何かと好都合なのかもしれない。

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ピロリ菌発見の学者にノーベル賞

 今年のノーベル医学生理学賞にピロリ菌の研究が評価されたオーストラリアの学者(バリー・マーシャル氏とロビン・ウォーレン氏)が選ばれた。  1979年、ウォーレン氏は胃炎患者の胃粘膜に未知の細菌が棲息していることを発見した。当初、強い酸にさらされる胃の中に微生物が棲むことはありえないことであると、誰も相手にしなかった。しかし、胃潰瘍や急性胃炎などの患者の多くがその「微生物」に感染していることを確認。82年には分離培養に成功し、さらにマーシャル氏が自らの身体を使って感染実験をおこなうなどしてその存在を証明した。  ピロリ菌(ヘリコバクター ピロリ)という名前は、胃の幽門部(ピロラス)に棲みついているということで名づけられた。なお「ヘリコ」はヘリコプターと同じ「回転」という意味が語源で、ピロリ菌が鞭毛を回転するように盛んに振り回していることからつけたれた名称だ。「バクター」は細菌の意味。  さて、ピロリ菌は両氏の発見後に急速に研究が進み、早くから消化性潰瘍の治療は、抗生物質と制酸剤の組み合わせで治癒することがわかり、それまで繰り返す胃潰瘍に悩まされていた人々は、その苦痛から解放された。ストレスや生活習慣などが胃潰瘍の原因とされていたが、その多くはピロリ菌が主たる原因であったわけだ。  現在では胃がんとピロリ菌の関係についても強く疑われている。日本人、特に秋田など寒い地方には胃がんが多いことを、かつて塩分摂取量が多いことにその原因があるとされてきた。長い間この説は医学界では常識であったが、最近ではピロリ菌感染に高塩食が重なった場合に胃がん発症に結びつくという研究報告も出ている。  日本ではピロリ菌に対してどちらかというと「寛容」で、これまで感染者に対して潰瘍などがなければ除菌は行ってこなかった。しかし海外では感染がわかれば積極的に除菌する。内視鏡検査でピロリ菌感染が見つかることが多いが、必ずしも治療を必要とするような胃炎などを起こしているわけではない。しかし、ストレスなどほかのリスクファクターが重なるなどしたときに急性胃炎や胃潰瘍を発症することが考えられるわけで、ピロリ菌感染は「感染症」として認識した上で治療(除菌)しておいたほうが賢明だろう。  ピロリ菌の検査は、内視鏡検査の際にごく少量の組織を採取して検査する方法と、呼気法といって、ピロリ菌が尿素を分解して炭酸ガスとアンモニアに分解する酵素(ウレアーゼ)を産生する性質を利用する検査法がある。ほかにもいくつか検査法があるが、この二つが最も一般的だろう。  呼気法は簡便ではあるものの、胃の状態まではまったくわからない。やはり胃の内部の状態を的確につかめることから内視鏡検査(胃がん検診)がもっとも効率が良い検査法ではないかと思われる。  日本人のピロリ菌感染率は高い。日本人に胃がんが多いこととも関連があるはずだ。できれば年に一度は胃部内視鏡検査を受け、必要であればピロリ菌除菌を行いたい。ピロリ菌を一度除菌すれば二度と感染しないという日本人医師もいるようであるが、ピロリ菌の感染経路は残念ながら現在も明らかにされておらず、再感染のリスク評価などできる状態にはない。

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高血圧の患者は糖尿病になりやすい

 中文大学医学院が2002年から2003年にかけて、プリンスオブウェールズ病院の55歳以上の高血圧患者230名を調べたところ、実にその40%の患者は糖尿病またはその予備軍だったという。医学院では減量して血圧を下げることを勧めている。  統計学的には元になる母集団(サンプル数)が少ないので、これだけで医学的に結論することはできないと思われるが、高血圧も糖尿病も肥満が大きな原因になっていることは間違いないので、今回の調査結果は当然のものともいえるだろう。  私も長年多くの日本人の健康診断結果を見てきたが、生活習慣病という大きなくくりで見ても、その発症リスクに肥満がかかわっていることは間違いないことだ。肥満度が進むにつれて、高脂血症(高中性脂肪、高コレステロール)、高血糖、高血圧、高尿酸、そして肝機能障害まで見られる率が高くなるように感じている。これは医学的にもメタボリック症候群と称されており、最近盛んに研究されるようになってきた。今回の研究調査も、発表された高血圧と糖尿病の関係という切り口ではなく、肥満と生活習慣病の関連について調べて欲しいところだ。  健康診断結果を見ていると、少しでも減量できれば健康状態を改善できる可能性が高い受診者が多いことに気がつく。体重管理がそのまま健康管理に直結すると考えて間違いない。もちろん生活習慣病ばかりが問題になるわけではないが、個人の努力で、近い将来の死亡リスクを直接的に下げることができる訳であり減量努力をする意味はたいへん大きい。メタボリック症候群は高血圧など単独に問題がある場合に比べると、そのリスクは相乗的に大きくなる。  食欲の秋ともいうが、秋になると食欲が増して盛んに食べるのは、食べ物が不足する冬に備える動物的な本能ともいえるもので、人間には当てはまらない。確かに夏場の食欲不振がなくなり、さらにはおいしいものがたくさん出てくるので食欲が増すのは自然だ。しかし人間の場合は、むしろ気候が良くなる秋を運動して減量する季節と捉えたほうが良いだろう。

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BMI27以上の肥満男性は大腸がんのリスクが増大

 日本の厚生労働省研究班によると、日本人男性で肥満度(BMI)が27以上の場合、大腸がんの発症がBMI25未満のグループに比べて1.4~1.5倍高いことがわかったという。これは日本の9府県の約10万人(40歳から60歳)に90~92年にアンケートを実施し、その後10~12年間追跡した大規模調査の結果だ。  アンケートの内容やその後の追跡方法までは報道されていないが、喫煙、飲酒、年齢といった影響を取り除いた結果として、肥満と大腸がんの関係について明らかにされた。10万人を長期にわたって追跡した大規模な調査で、その信憑性は高い。なお、女性については有意な関連性は認められなかったという。  大腸がんに関しては、野菜など繊維分の摂取によって発症リスクが低くなるという説が否定される研究報告も最近出ていたが、今回の調査結果を見る限り食生活との関連性は非常に強いものといえるだろう。  肥満の原因は高カロリー、つまり必要以上に摂取されたエネルギーが体内に蓄えられることだが、やはり脂っこい食べ物を好む人に肥満が多いことには疑う余地はない。従来日本人の食事で脂質が多いものは天ぷら等の揚物くらいで、日常的に食べているようなものではなかった。ところが最近は食生活の洋風化が進み高脂質食品を常食するようになってきており、乳製品や肉類の摂取が極端に増えている。反対に主食である米の消費が著しく減っている現代では、カロリーの主体が米から油脂に変化して、太りやすい食生活になってきたといえるだろう。ただし日本人の平均的摂取総カロリーは昔も今もそれほど変わらないそうだ。  野菜など繊維質をたくさん摂れば大腸がんの予防になるという説には疑問が投げかけられているが、今回肥満との関係が指摘されたことで、やはり食生活と大腸がんは密接な関係にあることは間違いない。食生活を見直して太りにくい食事に変えることは、糖尿病はもちろん心筋梗塞などの循環器系疾患のリスクを低下させるばかりではなく、大腸がんの発症も抑えることができるわけだ。

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上海蟹から基準の10倍を超える抗生物質

 台湾で販売されていた大陸産の上海蟹から基準の10倍を超える抗生物質(クロラムフェニコール)が検出された。  クロラムフェニコールは製剤名をクロロマイセチンとも呼ばれサルモネラ菌、発疹チフス、ツツガムシ病などに用いられる抗生物質であるが、再生不良性貧血などをおこすなど比較的副作用が強く、血液の病気がある人や腎臓や肝臓が悪い人には使えないものだ。通常、患者治療にこの抗生物質が最初から使われることはない。  一般に養殖では高い密度で育てているので、ひとたび感染症が発生すると短期間のうちに全滅する危険性があり、その予防のために抗生物質が投入されることは珍しくない。  先日はマラカイトグリーンが問題になったばかりであるが、同様の問題はほかにもいくらでもある。魚介類に限らず養豚や養鶏などでも抗生物質の問題は昔から指摘されてきたことだ。食用動物に使用された抗生物質を知らず知らずに人が間接的に摂取してしまう。これが原因で人の病気治療に使われる抗生物質が効かなくなってきているともいわれるほどだ。  今回検出された量で、人の健康障害が生じるとは思えないが、決められた基準をまったく無視した薬物の乱用は非難されるべきだ。幸いにも香港で販売されている上海蟹では検出されていないというので、「一応」安心だが養殖ものには量の多少はあるにしても何らかの薬品が使われているものと思っていても良いだろう。  だから購入を避けようというのではない。抗生物質の使用は現代社会において、食料の効率的な生産にはどうしても必要なことであり、安全基準を守って使用する限り問題とすることはできない。もちろんこのような医薬品が使われていないものもあるが、多くのケースでは価格が非常に割高だ。  どのような基準で食品を選択するかは個人の自由であるが、少なくとも現実を理解したうえで決定することが理想だ。その意味で消費者に対して、生産者や行政サイドからあらゆる情報の開示が求められる。

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日本脳炎およびレジオネラ感染

 まずは日本脳炎。今年香港で2例目の発生が報告された。患者は新界(Tin Shui Wai)に住む37歳の女性で、発熱、めまい、視覚異常を訴えて7月20日よりTuen Mun Hospitalに入院しているが、昨日、日本脳炎であると診断された。  この患者には潜伏期間と考えられる期間、香港から外には出ておらず、香港内で感染したことは間違いとのことで、今年初めてのドメスティックケース(香港外で感染したものでない患者)として報告された。(昨年は5件)  日本脳炎は蚊に刺されることで感染するが、このウイルスは豚の体内で増殖する。つまり感染豚を刺した蚊がヒトを刺すことで感染の機会となる。今回患者が発生した地域には養豚場があり、その意味では感染リスクが高かったといえる。ただ以前の例で言えば、香港島の南(Ap Lei Chau)で患者が発生したことがあり、必ずしも養豚場が近くにあることが感染条件となるわけではない。  日本脳炎に感染しても、発病するのは100~1000人に一人の割合で感染してしまう確率も考慮しなくてもよいほど低いことを考えると、日本脳炎に対して神経質になる必要はない。  日本や韓国では予防接種によって日本脳炎はほぼ制圧された。しかし今年5月に日本の厚生労働省は、副作用問題から日本脳炎ワクチン接種の中止を勧告している。香港では一部の医師がワクチンを個人輸入していたが、香港政府としては日本脳炎ワクチンの必要性を認めていない。  例外的な患者が発生したことで神経質になる必要はないが、デング熱のこともあるので、蚊には刺されないように注意することが必要だろう。 さて、今年はレジオネラ感染の報告が相次いでいる。7件報告されている中で、香港内で感染したと思われるケースが2件、どこで感染したのか不明なケースが4件となっている。(1件は香港外で感染した輸入例)  1976年の夏、米国フィラデルフィアのホテルで開催された在郷軍人会の参加者などに重症肺炎が集団発生。221名感染して29名が死亡している。米国疾病管理センター(CDC)はまったく新しい感染症であると認定して、「在郷軍人病」と呼ばれるようになった。この原因菌が後にレジオネラ ニューモフィラと命名されている。  レジオネラ菌はもともと自然界(土中)に広く存在するものだ。乾燥して空気中に飛散し、冷房用の冷却塔水などに入り増殖。この汚染水が霧状になって飛散することが大きな感染原因になっているといわれる。香港の場合、ビルの空調用冷却塔水の飛散はかなり多いと思われるが、この冷却水飛散による感染リスクは避けるのは難しい。  最近は水を替えない循環式温泉施設などで感染する事例が多く、日本でも時々問題になっている。これは、あくまでも私の推測だが香港のサウナの風呂も循環式であって、レジオネラ菌が増殖している可能性が考えられる。  感染経路からすると、確かに感染を予防することが大変難しい病気ではあるが、レジオネラ菌は免疫力が落ちていない人にとっては決して怖いものではない。  本日の新聞などで日本脳炎とレジオネラが大きく取り上げられているがどちらも新聞記事のように過大に神経質になることはない。  栄養・運動・休息などに注意して自身の健康度を保っておくことが、あらゆる感染症対策に有効であることは間違いない。

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中国産淡水魚類より発癌物質

 日本の厚生労働省は、中国産のウナギ製品から魚病予防治療薬のマラカイトグリーン(抗菌剤)が検出されたとして、輸入ウナギ製品に関して輸入時にすべて検査する通達を8月5日に輸入業者向けに出している。検査でマラカイトグリーンが検出されると全品処分の対象となるため、現在中国広東省からのウナギの日本向けの出荷が一時中止されている。  マラカイトグリーンは発癌性が認められるうえ非常に毒性が強いことから、食品への使用を厳しく制限されており、食用魚からの検出は一切認められていない。ただし観賞魚用の治療薬としては一般に使用が認められており、熱帯魚を飼っている人には比較的馴染みが深い薬だ。  食用とされる魚にマラカイトグリーンが検出されてはならないとされているが、日本でもサケの養殖において、その卵の消毒に使用されている。代替品が見つかるまでの暫定的な使用許可であるが、最初の許可から20年近くたった現在においてもそれに代わる抗菌剤はない。  日本で問題になってから広東省で養殖されている他の淡水魚についてもマラカイトグリーン残留が確認され、香港でも大きな問題としてクローズアップされている。しかし養殖魚が薬漬けであることは今に始まったことではない。日本でもフグの養殖にホルマリンが使用されていたとして問題になったことは記憶に新しいはずだ。魚ばかり食べているわけではないと思うので、今回問題になったからといって、すぐに食べるのを控えることはないだろう。  それにしても日本の厚生労働省が、輸入ウナギの禁止薬物検出に関して業界に対して通達を出したのは土用の丑の日(7月28日)の直後。もっと前から事実関係は把握できていたはずなのに、故意に発表を遅らせたのではないかと疑いたくなるタイミングだ。医薬品などもそうであるが、行政はどこに顔を向けて仕事をしているのか、誰のため、何のために行っている仕事であるかを自覚して欲しいものだ。  牛も豚も鶏も、そして魚もだめ、野菜は農薬が心配で、結局何も食べることができないという不安な声も聞こえてくる。気持ちは良くわかるが、不安ばかり先行してしまっては精神衛生上良くない。それこそ不安から免疫力まで落ちてしまっては困る。できる範囲での自己防衛は必要であるが、この時代を生きている以上やむを得ないことであるとの割り切りも必要だ。こんなに環境が悪いと思われる香港の人々の平均寿命が世界トップクラスであることも頭の隅においておくのも良いだろう。そして、最後に、これが一番大切なことだが、行政には市民に対してできる限りの情報を迅速に公開することを望みたい。

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妊婦はマグロを食べるのを控えようー厚生労働省

 かねてWHO(世界保健機関)はマグロに含まれる水銀を問題にしてその摂取に関して注意を促してきたが、最近その基準が厳しくなったことを受け、日本の厚生労働省では、特に妊婦の摂取量を制限するよう注意を促している。  たとえば一人分のマグロの刺身を80gとした場合、一週間に1度くらいに食べる回数を制限した方が良いというのだ。ただしマグロは優れた食品であり、その摂取自体を控えることはないとしている。また缶詰についても特に制限を設けないという。非常に矛盾した表現であるが、これはマグロが日本では非常に大きな産業になっており、大幅に摂取制限をすることで業界への影響が大きすぎるためだと思われる。国際的には缶詰も制限の対象とされるというのに、非常に甘い対応ではないか。  以前にもWHOでマグロが問題になったことがあるが、そのときは日本国内向けには「キンメダイ」が危険であるとされた。キンメダイなら業界への影響は軽微だとでも考えたのか。極めて政治的な扱い方だが、国民の健康を真剣に考えていない日本の厚生労働省の姿勢が如実に現れたものだと、当時私自身怒りを感じたものだ。  マグロに限らず寿命が長い魚は体内の水銀濃度がどうしても高まる。大型の魚はマグロに限らず食べるのを控えて、アジやサバなど近海物の比較的小さな魚を好んで食べた方が良いことは確かだ。  重金属汚染といえば魚介類に限らない。実は日本の米は世界的にみてもカドミウムの含有量が多い。国際会議で米に含まれるのカドミウム濃度の国際的基準値を決めようとしても、日本の代表はできる限りその値を高くしようとがんばっているようであるが、中国やタイといった米の主要輸出国は反対にかなり厳しい基準を要求している。なお日本産の米にカドミウムが多く含まれているのは地質学的な条件によるものであって、土壌汚染がその原因ではない。  それにしても食の安全に関して情報が完全に公開されていないのは問題だ。もちろん多少重金属が含まれていようが特に問題とならない場合もある。食品添加物に関しても同じだ。危険だと決め付けることもないが、あらゆる情報を公開して広く判断材料を消費者に示すことが大切なはずであって、混乱を招くなどと理由を付けては情報を制限してしまうのは的確だとは思えない。

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新型インフルエンザワクチン

 今月6日付けのアメリカ・ワシントンポストやニューヨークタイムス等の報道によると、フランスのSanofi-Aventis社が製造した新型インフルエンザワクチンの臨床試験で良好な結果が得られたという。 米国政府はこの結果を受けて、200万人分を緊急備蓄する計画で、現在製造元と交渉に入ったそうだ。  このワクチンは、最終的な臨床試験を経たわけではなく、現在のところ健康なボランティアに対する接種で安全性とその効果が確認された段階であり、今後、国家承認を得て量産体制に入るまでにはまだ数ヶ月を要するとみられている。  問題は製造能力だ。インフルエンザワクチンの製造には鶏の有精卵が必要で、錠剤のような医薬品のように化学合成することができない。鶏卵の供給は、そのルートさえ確保できれば問題が無いものの、やはり1社でしか製造できないとなると、世界市場に安定供給することが難しい。  現在、インフルエンザの特効薬ータミフルの備蓄を各国が進めているがこれもスイスのロッシュ社でしか製造しておらず、必要量を確保できるかどうか非常に難しいという。  待望の新型インフルエンザワクチン(H5N1)の開発に成功したことは「画期的」なことであるが、日本語媒体のニュースではほとんど扱われていないのではないだろうか。この開発は各国政府機関や多くの製薬会社で行われており、鶏卵を使用しない方法など製造法もさまざまだ。今後、複数の製薬会社が独自に製造を開始する可能性があるので、将来的には完全供給が期待できるものの、もし今年新型インフルエンザの流行が始まったら、パニックは避けられないかもしれない。  最近の鳥インフルエンザ情報によると、感染鳥はモンゴルからロシアにまで拡大しており、渡り鳥によってさらに感染地域が国を越え、海を越えて広がる恐れがある。 現在、鳥から人に感染するケースが報告されている段階であるが、ウイルスはその性質を常に変えているため、いつ人のインフルエンザに変化するか時間の問題であるとも言われている。 タミフルやアマンタジンといった特効薬にワクチンが加わり、対策に光明がさしたといえそうだ。今後もウイルスの変化と医薬品(ワクチン)開発の競争がしばらく続きそうであるが、なんとか「対策」が先行して、新型インフルエンザの流行を阻止して欲しいものだ。

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豚の感染症、人に感染して死亡例相次ぐ

 四川省と中国衛生部の合同調査により、8月2日までに豚の感染症に感染したと思われる患者が205名発生し、そのうち37名の死亡を確認されている。これに先立ち、中国衛生部は7月22日、原因不明の疾患で20名の患者と9名の死亡者がでていることを、WHO(世界保健機関)に報告している。  中国動物保健局の調査により、同じ地域の豚の死亡原因を豚連鎖球菌(Streptococcus suis)と断定。さらに感染が疑われた患者から同じ菌が検出されたことから、当局では豚連鎖球菌が人に感染したことは間違いないとしている。  人の豚連鎖球菌感染は、散発的に世界中に発生が認められており、特に珍しくはない感染症だ。しかしこれほどの集団発生をみることは非常に珍しい。豚から人への感染は職業的に豚との接触が濃厚な場合におこりえるが、その多くは軽い症状に終わる。しかし一部で髄膜炎や毒素ショック症候群などで症状が悪化して死亡することもあるという。  ウイルスと違って細菌類はその性質を簡単に変えることができず、あるとき急に強毒性の細菌に生まれ変わることがないので、現地での原因菌特定に問題がなければ、この感染症が人間に急速に拡大することは考えにくいだろう。(私見です)  現在、四川省からの豚の移動が厳しく規制されており、一般消費者が感染を心配する必要はない。それでも不安な向きもあると思われるので、食品としての肉を扱うときの基本的なことにふれておきたい。  調理に際しては、肉に触れたらその度に手を洗うこと。手に付着した病原菌が他の食品を汚染したり、調理者に感染したりする危険性があるからだ。もちろんまな板などの調理器具を丁寧に洗うことも基本だ。また調理は確実に火を通すことが大切。特に夜のバーベキューは焼け具合が良くわからないので、食中毒などの危険性が高い。  四川省の豚連鎖球菌感染症を、一般消費者レベルで心配する必要はないと思う。もちろんその事態の推移を知っておくことは無駄にはならないだろうが、現時点でいたずらに不安を膨らませたところで意味はない。