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鳥インフルエンザ感染拡大

北半球の冬季シーズンに入って、鳥インフルエンザの活動が活発になっている。12月の鳥-人感染発症事例は世界で15名となっており過去3年では最高を記録している。国別では、中国をはじめベトナム、エジプト、インドネシア、パキスタン、ミャンマーにおいて患者が発生しているほか、家禽の大量感染もポーランド、バングラディシュ、南ロシア、ドイツで起きており、今月に入ってウイルスが活発に活動していることをうかがわせる内容だ。 パキスタンでは、人-人感染の疑いでWHO(世界保健機関)が緊急調査に入っているが、政情が急激に不安定化していることから対策が後手に回ってしまう危険性もある。1997年、香港で18名が感染し、6名が死亡したときには人ー人感染は認められなかったものの、鶏はもちろんのこと、自宅で飼われていた愛玩用鳥類までをも含めて極めて大規模に殺処分が行なわれたことで迅速に制圧することができた。香港だからできたことであって、現在のパキスタンでは困難だ。 明るいニュースもある。現在、接種されている通常のインフルエンザワクチンが、鳥インフルエンザの予防にもある程度効果が期待できるかもしれないとの研究結果が報告された。これはイタリアの研究チームの研究成果であるが、今年2月には米国メンフィスの聖ユダ小児研究病院のチームがマウスを使った実験で同様の結果を得ている。まだ公式に効果が認められたわけではないので、当てにすることはできないが、現在のところ打つ手がないと思われている鳥インフルエンザ感染予防に関して朗報と解釈しても良いだろう。これから生まれてくるであろう新型インフルエンザのワクチンに関しても、そのウイルスの構造を予想しながらある程度のところまで開発が進んでいるので、こちらも大いに期待したいところだ。 従来インフルエンザワクチンの製造には鶏の受精卵が必要であり、このことが大量生産のネックにもなっていた。最近、細胞培養技術を応用してワクチンを製造する技術が確立されたため、短期間に大量のワクチンを製造できる目処がたってきている。最終的な新型インフルエンザワクチンの製造は、実際にウイルスがあらわれてからになるが、そのウイルスに対するワクチンを短時間のうちに世界人口分を準備するのが目下の目標とされている。ウイルスが変化するスピードと人間の頭脳との競争だ。鳥インフルエンザを強力に制圧しながら、時間を稼ぐ必要がある。 今後3ヶ月間はインフルエンザ(鳥インフルエンザ)ウイルスが北半球において活発に活動する可能性が高い季節だ。香港ではランタオ島でも野生の鷹の一種の死骸からH5N1ウイルスが検出されている。死んだ鳥には近づかないようにしたい。それ以外今のところ鳥インフルエンザ対策は、通常のインフルエンザ対策と同じだと考えてよいだろう。

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鳥インフルエンザ、人ー人感染か?

中国保健省衛生部の報告によると、江蘇省南京市で12月3日に24歳の男性がH5N1鳥インフルエンザに感染したことが原因で死亡したが、その父親も感染していることが12月6日に確認された。この父親は、死亡した男性の濃厚接触者の一人として医学的監視下におかれていたが、12月3日に症状を呈し現在入院治療中だ。 中国で確認されている患者はこれまでに27名、そのうち17名が死亡している。 今回死亡した男性の感染ルートは確認されていないが、父親には鳥と接触した経緯はなく、この死亡した男性からH5N1ウイルスが人ー人感染した可能性を否定できない。中国当局は今回の患者から得られたウイルスを調べた結果として、H5N1ウイルスが新しいタイプに変異したという可能性を今のところ否定しているが、このウイルスが人から人に感染したことを強く疑うケースは、昨年インドネシア(北スマトラ州)でも発生している。 日本の厚生労働省は、今回の事例は人ー人感染である可能性があるとして、南京に10日以上滞在していて、なおかつインフルエンザ症状を示している入国者を、感染検査の対象者として監視を強化するという。 現在のところ鳥との接触がH5N1の主な感染ルートであるが、家族内などで患者との濃厚な接触があれば感染する可能性があることは否定できない。しかしウイルスそのものが変異して新しいものに生まれ変わったという報告はなく、現在のところ人から人への感染も偶発的なものであると考えられる。 WHOはじめ世界各国の専門機関ではH5N1ウイルスがいつ人のインフルエンザに変異するのかを神経質に調査しているが、今のところ人に影響するようになったときに、どのようなウイルスに変異しているかその性質を予想することは不可能だ。ある説によると、毒性があまりにも強ければ、感染宿主(患者)がすぐに死んでしまってウイルス自身も生き延びることができないため、大流行するまでには毒性がかなり中和されているのではないかともいう。事実、現在のような高い死亡率では次に感染させる前に宿主が死亡してしまうので、急激な感染拡大はできない可能性が大きい。 H5N1感染事例は世界的に散発しているだけであり、現段階でいたずらに不安を覚える必要はない。普通のインフルエンザ対策を日常生活に取り入れることで、H5N1に限らず、多くの感染症の感染予防につなげたい。休養や食生活の改善で免疫力の増強に努めることが大切。そのうえで日々の情報にも耳を傾け、現状を常に把握していくことが必要だろう。 なお、鳥インフルエンザ対策としては、通常のインフルエンザ対策に加えて鳥に触れないこと、死んだ野鳥に近づかないこと、鶏肉や卵はよく加熱して食べること、鶏肉や卵を調理したときは、良く手を洗うことといったことがあげられる。生肉や卵を触ったときに手を洗うのは、食中毒予防の観点からも常識だ。

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インフルエンザ流行、過去20年で最速

ここ2~3年、沖縄で真夏にインフルエンザが流行していた。さらに今年は本州でもまだ暑い時期に、小規模ではあったものの季節はずれのインフルエンザ流行が確認されるなど、インフルエンザに関してちょっと気になる年だと私自身も思っていたが、ついに全国的な流行が厚生労働省から発表された。 前にもお伝えしたとおり、先月から早い流行の兆しが見えており懸念はされていたが、ついに20年前に統計を取り始めて以来の最も早い時期のインフルエンザシーズンへの突入となった。国立感染症情報センター(http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)によると11月19日から25日までの1週間に、日本全国のインフルエンザ流行観測医療機関約5000施設にて診断を受けた患者数が7162人に達し、1施設平均1.0人という流行判断の基準を完全に上回ったという。 インフルエンザ流行には、流行の度合いを各保健所単位で注意報や警報でも表す。これは各保健所が管轄する医療機関の平均患者数によって発令されるもので、10人を超えると注意報、30人を超えると警報として地域住民に注意喚起される。 今季日本での流行株は、ソ連型が9割を占めており、これまでの流行の主流だった香港型は1割にも満たない。したがって多くの人に基礎免疫がないため、爆発的な流行となることが懸念される。 ところで今年のインフルエンザワクチンの有効性であるが、完全一致しているわけではないものの今年の流行の主体となっているウイルス(ソ連型H1N1)について、A/Solomon Islandsとして組み込まれているので、接種効果が期待できるという。国立感染症研究所では、ワクチン接種を受けても体内で有効な抗体ができるまでに数週間かかるため、なるべく早く接種を受けることを呼びかけている。 日本での流行宣言がなされたことで香港でも例年より早くおそらく今月中には本格的な流行に入るものと思われるので、十分な警戒が必要だ。12月に入り外食の機会も増えると思うが、大勢が一堂に会する場所でしかも閉鎖空間となると、感染の危険性はきわめて大きい。2次会3次会と流れていくような飲み方は、自ら感染の機会をつくっているようなものとなる。 ワクチン接種を受けていれば完全に安心ということはない。香港では難しいことだができる限り人ごみを避けること、手洗いの励行のほか休養や栄養にも気をつけて免疫力を落とさないようにしたい。もし感染が疑われるような症状が出たら、病院等での診断を受けることはもちろんだが、十分休養することが大切で決して無理をしないことだ。医師から処方される薬(タミフル)は最後まで飲みきり、決して次回のためにとっておかないこと。インフルエンザの場合は、薬を飲んで症状が治まっても3~4日はウイルスが排泄されるので、この間はできる限り人には接しない方が良い。この際思いっきり休むつもりでいた方が、会社等で周囲への感染を広げないので好ましいだろう。

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タミフルについて

日本ではインフルエンザの流行が例年になく早く始まった。現在新規患者が激増し、学級閉鎖といった措置がとられることも増えてきたが、今後どの程度にまで感染規模が膨れ上がるのか予想は難しい。あまり患者が増えて欲しくはないが、このままでは近年にない大流行になることも予想されるので、少なくとも万全の態勢をとっておきたい。 現在流行している流行タイプは今季のワクチンタイプと異なっており、せっかく予防接種を受けていても効果がない可能性がある。もちろん流行するウイルスタイプは通常一つとは限らないので、ワクチン接種が完全に無駄になることはないが少々気がかりだ。 ところで、インフルエンザに感染しても特効薬「タミフル」を服用すれば安心だと考えている人が少なくない。タミフルは確かに良く効く。感染後3日以内に飲めば病期を1~2日短縮できるというが、実際には劇的な解熱効果を経験することもあり、治療薬として絶対視している人もいる。インフルエンザに感染したと思ったらすぐに服用できるよう、何らかの手段で入手したタミフルを自宅に保管している人もいると聞く。 勘違いしてはいけない。タミフルにはインフルエンザウイルスを殺すような作用は全くなく、人間の細胞内で増殖したウイルスが外に出てこないようにするための薬で、体内からウイルスが消えるわけではない。体内からウイルスを排除する働きは、あくまでも患者の免疫作用だ。したがって、熱が下がったからというだけで出社や登校をしてしまうとウイルスを周囲にばら撒くことになる。インフルエンザの場合はそれ相応に休養期間を設けなければいけないし、たとえ熱が下がったといっても勝手にタミフルの服用を中止してはならない。抗生物質であるタミフルは最後まで完全に服用しなければ、耐性ウイルスを生み出す原因にもなる。 現在、タミフルの副作用として、高所からの飛び降り等の異常行動が問題になっている。専門家の間ではタミフルが原因なのか、あるいはインフルエンザウイルスの作用によるものか意見が分かれているが日本の厚生労働省では10歳代への投与を禁止、またそれより年齢の低い子供への投与に関しては、十分な監視を促すことを医師から保護者に説明することを求めている。 中途半端に飲んだタミフルを次回のためにとっておいて服用することはリスクが大きい。感染の拡大につながるうえに耐性ウイルスを生む危険性があること、あるいは副作用のことを考えると、素人判断で服用するような薬ではないからだ。 インフルエンザにかかった場合は、とにかく休むこと。また栄養をしっかりとることが大切。発熱に関しては解熱剤が第一ではなく、できる限り外から熱を奪って解熱させることを優先したい。なお発熱の際には十分水分を摂ることを忘れてはいけない。

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ノロウイルス感染、流行中

ノロウイルスを原因とする食中毒患者が今の季節急増している。もともとノロウイルスは冬場の食中毒における最も多い原因とされ、カキの生食が危険視されてきた。今でも生カキは危険であることに違いないが、日本産生カキに限れば生産業者が危機感を抱いてカキを無菌化処理することが多くなったので安全性は高まっており、日本に限ればカキを原因とする非細菌性急性胃腸炎(食中毒)は減ってきている。しかしノロウイルスは感染力が極めて強く、空気中に漂うウイルスによっても容易に感染するため、学校や老人施設などの集団生活の場で多くの患者を出しており、昨年の日本での感染者数は過去最高を記録している。 感染経路として重要視されているのは、嘔吐物や下痢便からの飛沫。小さなミストが乾燥し、短時間ではあるものの空気中を漂うことで周囲の人に感染を広げる。ウイルスは小腸で増殖するがわずかに胃へ逆流しするため、嘔吐すると吐瀉物にウイルスが混じる。ごくわずかなウイルスで感染するため、嘔吐物を処理する際も細心の注意が必要となる。嘔吐物の処理にあたってはゴム手袋とマスクを着用し、処理する本人以外はできる限り離れる(1~3m)。拭き取りに使ったティッシュ等はビニール袋に密封して廃棄するとともに、吐いた場所は次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)で消毒する。アルコール類は無効だ。 クリスマスを迎えるこれからの季節は、ビュッフェスタイルでの食事の機会も少なくないだろう。ビュッフェには生カキが付きものであるが、体調がすぐれない時には手を出さない方が無難だ。免疫力が高ければ感染しても発症しなくてもすむが、体力が落ちているときは非常に感染しやすい。 ノロウイルスに感染して急性ウイルス性胃腸炎を発症しても、予後はよく4~5日もあれば回復する。しかしその後も1~2週間はウイルスが便から排泄されるので、特に家庭内では感染予防に努めなければいけない。最も大切なことは手洗い。そしてトイレの消毒だ。もちろん感染した本人が食品を調理する際には十分注意することが必要だ。 なお、下痢しても下痢止めを服用してはいけないという専門家も少なくはない。これはO157感染の時から特に言われるようになってきたが、下痢は体内の毒素やウイルスを早く外に出そうとする作用であり、人為的に止めてはいけないとされるからだ。ノロウイルス感染でも、下痢止めを飲むのではなくスポーツ飲料などの服用で脱水と電解質異常を防ぐことが重要だ。

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世界糖尿病デー

現在、世界の成人人口の約5~6%が糖尿病を抱えていると推定されているが、2025年には今年の患者数より約65%増えるものと予想されている。特にアジア、中東、アフリカ、南アメリカでは、患者数は今の2倍になると試算されている。 日本では昨年の国民健康栄養調査において、40歳以上の3人に1人が糖尿病またはその予備軍(血糖値111mg/dl以上)であると発表された。現在、AIDSによる死亡者数と同程度が糖尿病を直接的な原因として死亡していると思われ、さらに合併症など間接的な死亡原因まで含めると相当な数にのぼるのではないかと思われる。 深刻な問題となっている糖尿病に対して、11月14日を「世界糖尿病デー」に指定し、世界各地で糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発運動を推進するため、国連及び主要国で様々なイベントが開催される。日本国内では糖尿病デーのシンボルカラーである青い光で東京タワーをライトアップするほか、鎌倉の大仏や大阪の通天閣など全国約20箇所でも同様の試みがなされる。また海外ではエッフェル塔などもライトアップされる。 ところで、糖尿病は生まれつきインシュリンが分泌されない1型と、主に肥満が原因でその引き金を引いてしまう2型糖尿病に大別される。もちろん現在問題となっているのは、2型だ。 糖尿病が怖いのはその合併症。失明、神経障害が原因となる四肢切断、腎不全だ。新規に血液透析を受ける必要が生じた人の原因の多くは糖尿病だ。成人期以降に失明すると、若くして失明した人に比べて他の感覚器の発達が悪く、リハビリが非常に厳しいという。たいへん辛い余生となる。治療を怠ると予後が悪く、様々な合併症に苦しむのが糖尿病だ。 悪いことに糖尿病は全くといっても良いほど自覚症状がなく、静かに悪化していく。健康診断などで血糖値が毎度上昇する、あるいは高いままであったとしてもほとんど何も自覚しないためか放置してしまうケースがあまりにも多い。医療機関での治療はもちろんのこと、自分自身で生活習慣を大きく変えて、とにかく摂取カロリーを少なくしたり、運動量を増やすなどしなければ、糖尿病に打ち勝つことは難しい。 特に血縁の親族(両親や祖父母など)に糖尿病患者がいる場合は、現在血糖値が正常であったとしても、安心していられない。とにかく絶対太らないようにしたいものだ。また運動量を普段から増やす努力も必要。とにかく歩こう。昼間外出の機会が少ない人は特に歩く時間を自分自身で毎日確保したい。(連続で20分) 糖尿病と診断される血糖値は126mg/dl以上、予備軍は111mg/dl以上だが、体重がやや増えてきて、血糖値が100mg/dl以上ある場合は、自分が糖尿病になる危険性があると考えて、とにかく現在以上に太らないようにすることが賢明だろう。 高をくくっていると重大な事態を引き起こすのが糖尿病だ。その一方で、自分自身でうまくコントロールして付き合うことができるのも糖尿病だ。とにかく自分で行動することが求められる。

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インフルエンザ流行シーズン始まる?

首都圏を中心としてインフルエンザの流行が例年になく早く始まるかもしれない、というニュースを今朝耳にして(テレビだが見ていない)、少しインターネットで調べてみた。なんと国立感染症研究所のHPでは、今季の流行情報は11月下旬からとなっており、更新されていない。感染症研究の総本山である国立の研究所では、まだ情報としてHPに出していないことに驚いたが、それほど流行が早く始まったということかもしれない。もちろん国立感染症研究所でも常に監視はしており、今季の流行がかなり早く始まるのではないかとの情報はこの研究所から発表されている。 先月22日から28日の1週間に全国4600の医療機関から報告されたインフルエンザ患者は931人。都道府県別患者数では夏場から散発的な流行が治まらない沖縄県で274人と最高であるが、東京、神奈川などの首都圏や北海道での患者数が急増しているという。この時点での医療機関平均患者数は0.2人であるが、これは例年にくらべて格段に大きな数字だ。定点あたり(医療機関あたり)の患者数が1.0に達した時点で流行が始まったものと判断されるが、今年は例年よりかなり早まるのではないかと予想されている。 ちなみに昨シーズンの流行開始は今年の1月中旬でかなり遅かったが(過去10年で2番目の遅さ)、例年は12月中旬から下旬だ。今季はすでに首都圏で患者が急増しはじめたことを考慮すると、今月下旬から来月はじめに流行が本格化する可能性が大きいだろう。 ところで、香港のインフルエンザ流行は日本にやや遅れる。昨シーズン、香港で流行に関して衛生署から注意が出たのは2月のはじめだ。日本の流行に半月ほど遅れている。今年は日本での流行が早まっていることから、香港でも12月中・下旬には流行がスタートするのではないだろうか。 ちなみに現在日本で流行し始めたインフルエンザのタイプは昨年の流行とは異なるAソ連型(H1N1)で、今季のワクチンではAソロモン諸島株として組み込まれているものだ。 インフルエンザ予防は下記の通り。 ① 人込みを避けること。無用な外出をしない。② 換気を良くすること。③ 手洗いの励行。うがい。④ 適切な栄養摂取。⑤ 十分な休養、睡眠。適度な運動。⑥ 禁煙。⑦ ストレスを避ける。 予防法は感染の機会を減らす(①から③)、免疫力を落とさない、増強する(④ から⑦)に分けられる。マスクの使用は自身を感染から守るためのものではない。空気中に飛散しているウイルスは乾燥しているため極めて小さな粒子になっているため、マスクの網目を通り抜けてしまう。最近は抗菌効果をうたった商品も増えているが、過大な期待をしないほうが良いだろう。もちろん患者がマスクをすることは、咳やくしゃみなどにともなうウイルスを含んだ唾液の飛散を防ぐことができるため、他者への感染予防が期待できる。 これからの季節、忘年会やクリスマスパーティーで外食の機会も増える。多くの人が集まる閉鎖空間はインフルエンザに感染しやすい危険な場所といえる。罹ったかなっ、と思ったら早めに医療機関を受診して欲しい。もしインフルエンザと診断を受けたなら無理をしないで休むことが一番だ。インフルエンザ患者が無理して仕事していると、会社全体に瞬く間に感染を広げ、労働生産性を著しく低下させる危険性があることを、責任者もぜひ認識しておきたい。 続報(翌日11月15日) 小樽市保健所長の外岡立人先生からの情報です。例年になく早く流行が始まった今年のインフルエンザですが、ソ連型であるとの報道があるものの、断定するのは早すぎるようです。確かに米国CDC から発表されている、米国内での流行タイプもA型H1ですが、現在国内での流行に関しては、東京都がA型(H1)亜系株としか発表しておらず、ソ連型(H1N1)である可能性が高いもののA型(H1N2)とかA型(H1N5)とかかもしれません。したがって今年のワクチンに対応できないかもしれないとの専門家の意見が出ているようです。もちろん従来型もあるのでワクチン接種は受けておくほうが良いと思われますが過信は禁物です。

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狂犬病、中国衛生省が注意呼びかけ

「中国衛生省は12日、今年の狂犬病患者が10月末時点で前年比2.4%増の2717人に達したと発表した。広西チワン族自治区と、貴州、四川、湖南、広東の4省を感染が深刻な地域としてあげ、注意を呼びかけた。」 朝日コム、時事 より 狂犬病に関しては昨年1月から8月にかけて中国広東省東莞市で20人が感染死亡したことが報道され、日系企業でも予防接種に関して盛んに情報交換などがされていた。また昨年はフィリピンから日本に帰国した男性が、日本で36年ぶりに狂犬病を発症し(2006年11月16日診断)、さらにもう一件国内発症が続いたこともあって、ちょうど1年ほど前は海外駐在員の狂犬病予防対策に関して、日系企業はかなり神経質になっていた。 狂犬病は有効な治療法がなく発症すれば100%の致死率だ。確かに怖い病気ではある。それにもかかわらず根絶されたと思われる国は日本や欧米の一部の国だけであり、世界的には感染の危険性は少なくない。インドでは今も毎年30000人の死亡が報告されるなど、特に発展途上国においては特段の注意が必要となる病気だ。 ちなみに日本での狂犬病発生は、1956年に6頭の犬が発症したのを最後にその後の国内での感染は確認されていない。また人が感染した例では、1970年にネパールで犬に噛まれて感染し、帰国後に発症死亡した青年が記録に残るだけで、昨年まで狂犬病は半ば忘れられていたに等しい感染症だった。 昨年の今頃は狂犬病の予防接種に関して非常に問い合わせが多かった。予防接種を受けるようにとの指示が多くの企業の本社から出された影響かと思うが、実際に接種した人は少ないのではないか。香港ではワクチンのストックが少ないこと、中国内では日常的に接種できるようではあるが、副作用が懸念されて、接種した人は極めて少なかったのではないかと思う。「接種の指示はしない」という大手メーカーもある。狂犬病の予防接種は比較的副作用が大きい。また確認はできていないが中国で生産されている狂犬病ワクチンは旧来の方式によるもので、日本や欧米で使用されているワクチンよりも副作用が大きいともいわれている。 その一方で、万が一感染犬に噛まれたとしても、発症するに至るまでの時間が長い(2週間から2ヶ月、あるいは数年?)ことも狂犬病の特徴だ。噛まれて侵入したウイルスは、神経系に沿って移動する。1日1cmくらいの速度で脳神経に向かうので、脳からの距離が長いほど発症に至るまでの時間が稼げる計算になる。したがって噛まれてからの事後の予防接種で、発症を十分防ぐことができるわけだ。 リスクが高いと思われるワクチンを現地で予め接種するのではなく、犬に噛まれるなどして感染の危険性が憂慮されるときには、すぐに日本に帰国させたうえ、数回の予防接種を連続的に行なうことで対処することを、最近は企業として考えるようになったようだ。 狂犬病に感染している犬は強暴だ。海外では狂犬病予防接種を受けている犬は極めて少ない。基本的には犬には近づかないことが鉄則。野良はもちろん、飼い犬だからといっても安心はできない。また、狂犬病といっても犬だけが危険動物というわけではなく、多くの哺乳動物が感染する。身近では猫も感染するし、コウモリの唾液で感染したと思われる事例も報告されている。 海外で動物に噛まれたときは、すぐに医師に相談して欲しい。場合によっては本社の産業医などと連絡をとり、帰国して予防接種を受けることも考慮されることだ。噛まれてからすぐに発症するわけではないが、2~3日問題がないからといって甘く見るのではなく、必ず適切な処置を受けておきたい。

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肥満は6種類のがんに関連

今朝の東方日報の一面を飾っているのは、肥満とがんの関係について。太ることで6種類のがん(すい臓がん、結腸がん、食道がん、子宮がん、乳がん、腎臓がん)の危険性を増すというもの。いつものことであるが、香港の新聞は書き方が派手だ。時としてこの世の終わりではないかと思えてしまうほどのオーバーな書き方するが、この記事にしてもこれまでに言われていたことを専門家の意見として書いただけのもので新鮮さはない。ただし一般の人たちにがんの危険性についての認識があるかというと、これは否。やはりこの記事にはそれなりの意味があることは間違いない。 肥満は心疾患、脳血管疾患、糖尿病などの循環器系疾患のリスクを高くするというのはすでに常識であるが、脂質の摂取量が増えることで、がんの危険性をも高くすることを頻繁に耳にするようになって来た。肥満とがん発症には密接な関係があることは確かだろう。 ただこのところメタボリックシンドロームのことで問題になっているが、肥満に関しての誤解は避けておきたい。「太ることイコール悪」ではない。世間では太っていることがすべて悪いような極論に傾いているようだが、肥満がもたらす健康被害が問題であるということをきちんと押さえておきたい。メタボリックとくくられてしまっている人たちにも「健康的肥満」が決して少なくはない。したがって、この記事を見て自分は太っているからといって心配したり、反対に痩せているかっらといって安心したりするなど無意味なことといえる。 さて、話しを戻そう。肥満とがんの関係についてであるが、太るからがんになりやすいというのではなく、太りやすい食品を多食すると、たとえ太らなくてもがんのリスクが高くなると考えても 良いと思う。太りやすい食品とはファーストフードに代表される高カロリー食のことで 日本人にとっては西洋食も同じだと考えたい。中華料理はどうかということになるが個人的な意見ではあるものの、日本人にとって中華料理を西洋料理と同じように扱う必要はないと思う。また中国人にとっての中華料理と西洋料理の関係は、日本人にとっての日本料理と西洋料理の関係と同じであると考える。中華料理は油を多用するが、だからといってそれだけで健康に問題を生じるわけではなく、日本人にとっては西洋料理より中華料理の方が身体に合っていると思っている。(個人的食文化論) 新聞の記事ではがん予防としていくつか提案しているが、これは単に肥満予防をいっているわけではない。  1、標準体重を維持すること。   (注意 BMIでどれだけ以下という一般的な肥満の指標ではなく、個人での目安が必要だと思う。20歳以降で最も体重が低かったときに少しでも近づけること。太ってしまった体重の3分の一を減量目標にする。) 2、毎日30分の運動(歩くこと) 3、ハンバーガーなど高カロリー食を避けること 4、植物性食品をいくつか摂取すること 5、肉類は少なめに。ハムやソーセージなど食肉加工品は避けること 6、飲酒の制限。純アルコールにして、男性20~30g、女性はその半分。 7、塩辛い食品を避けること。食塩の摂取量を6gまでにする。(注意 かなり困難でしょう) 8、栄養補助食品は医師が勧めるときを除いて摂取しない。 9、母乳育児は乳がんの予防になると同時に乳児肥満を防ぐ。10、禁煙すること。 健康を維持するために必要なことは、ずばり「食生活」。人体は、すべて100%口から入った食品で造られていることは紛れもない事実だ。食べ物が如何に健康にとって大切か理解できると思う。

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C型肝炎について

かつて、血液製剤と呼ばれるヒトの血液からつくられる医薬品(血液製剤)がHIV感染の原因となり、危険性を認識しながらも使用を認め続けた国に対してその責任が追及された。(薬害エイズ訴訟)薬害エイズは大きな社会問題になったにも関わらず、現在はフィブリノーゲン製剤によるC型肝炎(HCV)感染が問題となっており、またもや国(厚労省)の無策振りが露呈したかたちとなっている。おそらく舛添さんが厚生労働大臣になっていなかったら、現在でも国は動いていなかったことは確実だ。感染の危険性を知らされていなかった患者の治療機会を奪っていたことに対する国の責任は極めて重い。 さて、C型肝炎は血液製剤のみが感染源ではなく、かつて当たり前のように行なわれていた医療行為が感染原因となっているケースも少なくはない。感染していても症状が無いことが多いので、小児はともかくとして誰もが一度は感染の有無を確認しておく必要がある。 医療現場で使用される注射針が完全に使い捨てになったのは1980年代になってからのこと。それまでは針も滅菌しながら使いまわしされていたほか、学童の予防接種では1本の注射針で何人にも回し打ちしていたなど、今では信じられないようなことが日常的に行なわれていた。このような医療行為もC型肝炎への感染源になっていたことにほぼ間違いがない。 C型肝炎は症状に乏しく、感染しても気がつかないままで長期間経過し、おかしいと思ったときには肝硬変や肝臓がんに移行してしまっていることもある。毎年受診していた健康診断では、軽い肝機能障害を指摘されていたものの飲酒を控えるようにとのコメントばかりだったという人が、体調不良で受診した医療機関で肝臓がんの診断を受けたという事例もある。この例では、20年以上にわたって健康診断を毎年受けていたにもかかわらず、C型肝炎検査について一度も指導を受けたこともなければ、そんな肝炎の存在すら知らなかったという。 さて、弊社の健康診断でも軽い肝機能異常はよく認められる所見だ。特に中年男性で太った人に多く、おそらく脂肪肝がその原因であると推測されるので実際に問題になるケースは少ないと思うが、中にC型肝炎キャリアーがいないとは限らない。肝機能に異常が認められる人は、C型肝炎の可能性を排除するためにも、積極的に検査を受けて欲しいところだ。 現在の医療行為ではC型肝炎に感染する危険性はきわめて低いので、感染していないことを確認しておけば安心。肝機能の異常の有無にかかわらず一度はC型肝炎の検査を受けて、自分が陰性であること(感染していないこと)を確認しておくことが大切だ。C型肝炎は、A型、B型肝炎ような予防接種がないので、確実な予防法があるわけではないが、感染の機会は極めて限られている。今後新たに感染することはほとんどないだろう。 もし感染していることがわかったら、飲酒はもちろんのこと、風邪薬など市販の薬の服用をしないこと、そして十分に休息をとるなどして肝臓をいたわる生活に変えることで、慢性肝炎の発症はもちろん、肝機能の低下を防ぐことが可能だ。とにかく少しでも早く感染を知ることが肝心だ。