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子供への風邪薬投与、中止勧告

米食品医薬品局(FDA)の小児医療に関する諮問委員会は、ドラッグストアなどで医師の処方なしで買える風邪薬や咳止め薬を、6歳未満の子供に使用するべきではないとFDAに勧告した。 専門家22人からなる諮問委員会は、せき止めや去たん剤、抗ヒスタミン剤などを含み、風邪の症状を抑えるとされる一般的な市販薬について、大人を対象にした研究から6歳未満への効果を推論しているに過ぎないとしている。さらに小児は薬の副作用を受けやすいという意見もあり、今回の勧告に至った。 米国ではこれとは別に、今月中旬には主要な製薬会社が「飲み過ぎにつながる恐れがある」との理由で、2歳未満の乳幼児向けの風邪薬14種類を自主的に回収している。 製薬会社側は、年間38億回も使われており、用法用量を守れば安全だとしている。 以上は共同通信社が19日に配信したワシントン発の記事からの抜粋であるが本格的な風邪のシーズンを前にして、消費者に対する問題提起になる記事だ。 「風邪に効く薬はない、もし発明できたらノーベル賞ものだ」という話を耳にした人は 多いと思う。実際風邪症状を起こす微生物(細菌やウイルス)は少なくとも200種類ある。この多くはウイルスであるが、ウイルスに効く抗生物質は極めて限られている上に、ターゲットとしなければいけない種類が多すぎてワクチン開発も今のところ不可能だ。 一般に風邪薬(総合感冒薬)と呼ばれる市販薬は、咳や鼻水を止めたり、熱を下げたりするいくつかの薬を配合したもので、それぞれの症状を「緩和」するだけのものだ。はっきりいって、風邪(普通感冒)とわかれば薬は不要。ゆっくり休んでいれば3日ほどで体調は回復することが多い。 直接的な効果が期待できない、ある意味「気休め」に過ぎないのに、副作用も心配される風邪薬を飲む必要はないのではなかろうか。まして子供に飲ませる必然性はないだろう。最も効果的な風邪薬?は「栄養と休養」だ。 熱への対処も解熱剤が最初ではない。人体の免疫力は38~39度程度の発熱時に最大となる一方で、病原微生物は37度より高くなるとその活動が抑えられる。つまり熱は免疫力を高めるために体内で産生されているものであって、解熱剤で抑えてしまうと免疫力が低下する上に病原微生物の活動を助けることになる。発熱に際しては大人も子供も、とにかく冷やすことを第一に考えたい。 薬は必要に応じて飲むものであって、「適当に」「気軽に」飲むものではない。ある解熱剤を連用しているうちに劇症肝炎になって死亡した例もある。大人でもやたらと飲むことは止めた方が良いのが薬だ。市販の風邪薬の子供への使用には慎重にありたいものだ。

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インフルエンザによる学級閉鎖(沖縄、愛知)

愛知県健康対策課は、同県田原市神戸小学校の1年生1クラスで集団風邪が発生し、欠席者の大半からA型インフルエンザウイルスが検出されたため、このクラスを閉鎖することを決定した。10月9日のことだ。例年に比べて2カ月も早いインフルエンザの発生に専門家や愛知県は警戒している。 実は沖縄では2005年以来3年連続で夏場のインフルエンザ流行が続いており、今年も6月に流行が始まり学級閉鎖は少なくとも6校8学級に及んでいる。東南アジアでは夏のインフルエンザ流行は珍しくないもののなぜこの時期に沖縄で毎年流行しているのかは今のところ不明だ。 ところで早くも愛知県でおきた学級閉鎖であるが、これはこの冬の流行が早まることを意味している可能性もある。専門家は今年のインフルエンザの流行が極端に早まり、患者数が激増する可能性があることを強く警戒し始めた。 インフルエンザ予防は予防接種で、ある程度の効果を期待できるが流行の予想が外れる可能性も少なくはない。特に今年のように例年と違う出現パターンを示していることは、流行予想が外れてしまった可能性も考えられることだ。 インフルエンザ予防はワクチン接種(予防接種)だけではない。日常生活の中で予防することも非常に重要なことだと心得ておきたい。  1、免疫力を落とさないこと。   適切な栄養摂取、休養、睡眠を心がけたい。翌日まで疲れが残る状態が続くようなことは避けたいこと。また速歩き程度で構わないので、できる限り体を動かす機会をつくること。 2、他人との接触を少なくすること。   人混みを避けることはもちろん、無用な外出はやめておきたい。   特に屋外の「人の密度」が高い香港では、繁華街などで容易にウイルスをもらってしまう。(感染と発症は違うので、やはり免疫力が大切だ) 3、手洗いの励行。これはインフルエンザに限らない。外出後は手洗いに直行! 4、急な高熱や関節の痛みなど、おかしいと思ったらすぐに医療機関を受診すること。    抗インフルエンザ薬タミフルは発症後48時間以内に服用しないと効果は望めない。タミフルは非常によく効くが、ウイルスを殺すものではない。したがって、熱が下がったといって仕事や学校に戻ることは、ウイルスをばら撒くことになるので絶対に避けるべきだ。処方されたタミフルはすべて服用してほしい。 5、無理は禁物。インフルエンザとわかったらとにかく休むこと。 ところでインフルエンザ予防接種が新型インフルエンザ対策になるという意見もあるが、個人的には賛成できない。これはSARSの時に、医療機関でSARSとインフルエンザの診断がつきにくく、医療現場に混乱が生じることを避けることと、SARS患者が診察に来る可能性がある医療機関に行って、SARSに感染してしまうリスクを少なくするため(インフルエンザに感染しなければ医療機関に行くことがそれだけ減るため)、インフルエンザワクチンを接種しておくことが推奨された。新型インフルエンザの感染力がSARS程度であれば、このような措置である程度危険が回避できるかもしれない。しかし、敵はインフルエンザだ。爆発的に流行する危険性があり、そうなると医療機関で感染するなどとは言っておられない事態になる。ある意味感染は避けられないともいえる。スペインかぜは、一般の人の移動がほとんどない時代のこと。(1918~19年)それなのに瞬く間に世界中に感染を広げて、感染者6億人、死者4000万人もの被害となってしまった。現在のワクチンはあくまでも通常のインフルエンザの予防(60~70%の効果?)と考えるべきだ。新型インフルエンザワクチンの開発も急ピッチで進んでいるというので、それに期待したいところだが、とにかく自身の免疫力を落とさないようにしておくことが最も大切なことだと思う。

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企業におけるメタボリック対策

昨晩のNHKニュースで、来年4月からメタボリック症候群予防対策として腹囲測定の実施が義務付けされるのを前に、すでに多くの企業ではメタボリック対策に取り組み始めていることを紹介していた。最後に男性アナウンサーは「誰もが痩せたいんですよね。それができないから困るわけで、もし減量したら給料がその分上がるのであればみんなこぞって減量に取り組むでしょうね」というようなことを発言していた。 確かに減量は循環器疾患のリスクを低下させ、企業としての生産性を上げることにつながるという意義があることに対して異論はない。社員の死亡率を下げるのみならず、欠勤率(病欠率)も少なくなることが期待できる。厚生労働省では健康診断で腹囲を測定するのみではなく、保健師等による具体的な保健指導なども導入するよう求めている。企業にとっては社員の健康管理に大きな効果が期待できる一方で、それなりの負担も強いられることは確実だ。一般企業からは、そこまで行政が一方的に要求する必要があるのかという強い反発もあがっていると聞く。 別の番組では三重県の自治体が幹部クラスのメタボ対策として、市民に目標を公表した上で期限付きで減量に取り組んだ結果が発表されていた。途中、この試みに参加した職員がジョッギング中に突然死するという不幸があったものの、体重やウェストサイズは皆改善されていた。はたしてこのような取り組みは本当に意味があるのだろうか。 ところで、最近の風潮として太っていることがメタボリックであると単純に解釈してしまう傾向が広まっており、肥満が「悪」であるというような思考が一般に定着しつつあるように感じる。太っている人はいっそう肩身が狭くなってきているのではないかと思うが、肥満が悪いことであると決めつける理由はどこにもない。 たとえ太っていても、循環器系に何も問題がないという例はいくらでもあり、一律にメタボリック症候群だとまとめてしまうのは好ましいことではない。体系に関係なく、健康診断等で現在の健康状態を客観的に理解しておく必要があり、それをベースとしてどうしなければいけないかを判断するべきだ。基本的な情報なくして、太っているからといって、やみくもに痩せようとしても意味がないばかりか、減量中の事故の原因にもなりかねない。 血液検査では、血糖値、中性脂肪、HDLコレステロールの値の変化に注意したい。毎度の検査結果がたとえ基準値内であっても悪い方向に変化しているのであれば十分な注意が必要と判断したい。この点がメタボリック症候群という「流行語」に振り回されてはいけないところでもあり、健康を指導する側(医師、保健師など)にも求められることだ。

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中国研修旅行にて赤痢に感染

今年8月、新潟市内の大学の中国研修旅行に参加した大学生から2名の赤痢患者が確認されたことが、その後の検証も含めて国際感染症センターより10月4日付で公表された。 研修は学生23名、引率教官1名、合計24名によって行われたが、旅行中数名が下痢やおう吐など食中毒を疑わせる症状を呈したので、教官は持参の内服薬を与えたという。その後軽快したため予定通り帰国したが、帰国後にも学生一人が同様の症状を訴え医療機関を受診。医師からの情報提供で保健所が動き、旅行参加者のなかで有症状者に対して検便を推奨した。学生一人が帰国後7日目にして細菌性赤痢(S.sonnei)の診断を受けたが、この学生は帰国後に自ら医療機関を受診した学生とは別で、旅行中に下痢、おう吐はあったものの自然軽快したため医療機関への受診はしていなかったという。 結局、旅行参加者全員と帰国後の接触者73名の検便を行い、さらに1名の学生から赤痢菌(S.sonnei)が検出され、本件で特定された赤痢患者は2名となったが、その後は患者の発生はみなかった。 さて、赤痢というと昔の感染症のように思うかもしれないが、現在も散発的に患者発生は続いており、日本でも稀に集団発生している。先進国だからといって患者発生がないわけではなく、世界的に患者の発生が認められ、香港でも昨年(2006年)、140名の患者が確認されている。 新潟の事例ではいくつかの注意点(問題点)を残している。参加者が帰国時に空港で下痢やおう吐の申告を行わなかったこと。自覚症状があったものの、感染拡大についての意識が低く、飲食店などでアルバイトをしていたことが大きな問題点としてあげられる。 日本では帰国時の健康申告は任意であり、そのまま入院などで拘束される可能性を嫌って申告はされにくいと思われる。したがって水際で感染症が輸入されることを阻止することは難しいが、2次感染の防止という意識があれば周囲も含めて医療機関への受診を促し、飲食店でのアルバイトを禁止する等の措置もとられていたかもしれない。新潟の事例では、飲食店でも旅行中のことを聞いているにもかかわらず、下痢症状がないからと働かせていたそうだ。 1998年、長崎で水道水が原因とみられる赤痢集団感染が起きており、821名もの患者が特定された。今回、新潟でも集団感染につながっていた可能性もあり、特に海外旅行で感染して国内に持ち込まれる輸入感染症に関して、改めて注意を促されるべきだろう。 上記は日本の事例としてあげたが、香港でも輸入感染症は少なくない。2006年、香港では140名の赤痢患者が発生しているが、実際にはその何倍もの患者がいたとしても決して不思議ではない。日本のように入国時の申告制度はないが、旅行中あるいは旅行後に体調を壊したときなど、決して甘く見ることなどせず、直ちに最寄りの医療機関を受診し渡航先などの情報を医師に詳しく伝えるべきだ。 日本では、戦後しばらくは毎年十万人を超える赤痢患者が発生し、2万人もの死者をみたが、1965年ころから患者数は激減し、現在の患者数は毎年1000名くらいで、その半数以上は輸入例とみられている。赤痢は4タイプに分けられるが、現在認められる患者の多くは、今回新潟でも特定されたS.Sonneiで、症状が軽いのが特徴。多くの感染者は赤痢と知らずに自然治癒していると思われる。 赤痢菌の感染は、一般食中毒と同じく飲食物だ。特に途上国においては生ものや生水、氷などは飲食しないことが大切だ。

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日本人の体格変化

経済産業省は、衣料、自動車、電機など製造業に欠かせないデータとして人体の寸法や形を調べているが、このたび業界の求めを受けて12年ぶりにこれらの数値が更新された。(Size-JPN 2004-2006) 同省は04~06年度、19~80歳の男女計約7000人について163カ所の寸法を測り前回調査(92~94年)と比べたが、男性は30歳以上の全年代で大柄になり、中でも40歳代では、体重が4kg増え、身長は3cm伸びていることがわかった。肥満度もこの年代では大きくなり24を超えており、肥満一歩手前となっている。 また女性は男性と同じく身長は3cm伸びているものの、体重は反対に1.3kg減っており、ダイエットブームの影響を受けたと思われるという。 今回、経済産業省から公表された数字は、弊社の健康診断で得られたデータでもうなずけることだ。統計的な処理をしているわけではないので具体的にどのように変化しているか不明であるが、肥満度(BMI)で見ると、男性では肥満との判定となる25を超える人が目立つのに対して、女性では最も良いとされる22(疫学的な調査で最も病気になりにくいとされる)を下回ることが多く、中には痩せすぎの指標である18に近いケースも散見される。男性では20を下回ることは極めて少ない。なお男性肥満では脂質異常や高血圧、肝機能障害など医学的に問題となるケースが目立つが、女性肥満ではそれほどでもないように感じる。 経済産業省では女性に関してダイエットブームを体重減少の理由にあげているが、実際にやせている人に聞くと、特に意識していないという人も少なくない。逆に太っている場合は、男女とも痩せようと思っているけど痩せられないという人が非常に多い。太ることを悪とする風潮が強いが、決して太っている事実が悪いというわけではない。 どうしても容姿を気にしてしまうが、医学的な問題の有無の方がより重要な要素であることに対する理解が必要だろう。 経済産業省はあくまでも体型にかかわる数字のみを出しているが、厚生労働省が行なう 肥満に関する調査、文部科学省が行なう体力に関する調査など、各省庁間のデータを共有かつ利用することで、国民にとってより有益な調査になるのではないだろうか。

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抗生物質が効かないサルモネラ菌

サルモネラ菌は食中毒を起こす原因菌の中では最も発生頻度が多いとも言われるもので、日本では年間4000~6000人の食中毒患者を出しているといわれる。実際には家庭内感染で医療機関で食中毒原因菌の特定を受けることなく治癒してしまう軽症例を含めると相当な数になるのではなかろうか。香港では具体的な数字はわからないが、やはり患者発生はかなりの数に上るのではなかろうか。 ところでこれまでサルモネラ菌に特効薬として使われてきたニューキノロン系の抗生物質に対して効果を示さないサルモネラ菌が急増してきた。免疫力が低い乳幼児などでは重症化する場合もあり、厚生労働省の研究班では監視を強めるとのことだ。 サルモネラ菌は動物の消化管内に広く感染しており、食べ物ばかりではなくペットからの感染も少なくないと思われる。これまでの患者も自宅にペットを飼っているケースがあり、飼主がサルモネラ菌中毒になるのとほとんど同じ時期にペットにも同様の症状がみとめられたことも報告されている。このケースでは患者から検出されたサルモネラ菌と、ペットから検出されたものとが遺伝子的に一致している。 これまで日本で認められた薬剤耐性サルモネラ菌は、その多くが乳幼児から見つかっており、中にはニューキノロン系の抗生物質のみならず7~10種類もの抗生物質に効果を示さないものもあたっという。人から検出された薬剤耐性サルモネラ菌は1999年には0.5%に過ぎなかったものが、2006年には4.5%にまで増えており、専門家の間ではこのまま耐性菌が増えると大変なことになると警戒している。 なぜこのような薬剤耐性サルモネラ菌が出現したのかが問題だが、これは家畜やペットなどに大量の抗生物質が使われていることと無関係ではない。畜産業者は飼育している動物に感染症など病気が発生することを嫌い、その予防として大量の薬剤を使用することがある。認可されている薬剤ではあるものの大量に、あるいは継続的に使われれば対象となる微生物(病原菌)が耐性をもつようになることは避けられない。販売用ペットにも安易に抗生物質が使用されている可能性が高い。 抗生物質をはじめ薬剤を大量に使うのは畜産に限らず魚介類の養殖でも認められることである。食糧増産する手段として畜産や養殖が大いに貢献していることは否定できない。日々大量に使われる薬剤がその生産にとって欠かすことができないものであり、そのお陰で我々消費者の胃袋が満たされているとも考えられる。 薬剤耐性サルモネラ菌出現の問題は、食生活、特に先進国における食料の大量消費について考えなければいけない大きな問題であり、なぜこのような問題が起きてくるのか、一人ひとりが考えていかなければいけないことだろう。 なお、サルモネラ菌食中毒は、生卵を食べるという世界的に珍しい民族である日本人にとって非常に身近なものだが、この点については別の機会に書いてみたい。さらに人用の抗生物質使用量では、日本と香港が世界的にみて著しく消費が多いところだという。風邪の診断を受けて抗生物質を処方された経験は多くの人にあるはずだ。風邪に効く抗生物質などありえないが(本物の風邪薬ができればそれこそノーベル賞もの!)、肺炎球菌などに2次的に感染のを防ぐために処方しているものと思われる。このような使用法が正しいとはとても思えない。

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H5N1ウイルス、人用ワクチンについて

現在、鳥インフルエンザに対して厳戒態勢にあるが、これは今後生まれてくるであろうと予想されている人の新型インフルエンザウイルスに対する対策でもある。新しいインフルエンザウイルスはいつ生まれてきても不思議ではなく、もし新型インフルエンザウイルスの感染者があらわれれば、何の免疫もない人類に対して、ごく短時間のうちに甚大な被害(感染死亡者)をもたらすのではないかとWHOはじめ各国専門機関は警戒しているが、一方でワクチンの開発も急速に進んでいる。 先月、グラクソ社が3.8μgの抗原量で有効なワクチンを開発し、医学誌「ランセット」 に発表して世界的反響を呼んだところであるが、昨日はサノフィ・パスツール社が1.9μgで有効なワクチンの臨床試験に成功したことを発表している。 現在のインフルエンザワクチンは3種類の抗原がそれぞれ15μg使われている。ちなみにこの冬に向けて使われるワクチンであればA型ソロモン諸島(H1N1)A型ウィスコンシン(H3N2)B型マレーシアこれらが各15μg(合計45μg/0.5ml)含まれている。(接種量は0.5ml) 新しく開発されたH5N1人用ワクチンは、現在使われているインフルエンザワクチンに比べて、極少量で効果が期待できるものであり、それだけ大量のワクチンを短期間に製造できることを意味する。また現在のインフルエンザワクチンは鶏の有精卵を使用しなければ製造できないが今回開発されたH5N1用ワクチンは、まったく別の方法で製造されることから大量製造が可能となり、世界人口をもカバーできるようになるという。 新型インフルエンザに関しては、世界的に抗ウイルス薬タミフルの備蓄が進んでいるが、今後はワクチンの備蓄や接種が大流行対策として世界的主流になる可能性が期待できる。 新型インフルエンザの元となるであろう鳥インフルエンザウイルスは、その性質を少しずつ変化させているので、最終的に人ー人感染を起こす危険なウイルスがどのような形になるのか、確実なところは今も不明のままだ。ただしある程度汎用的なワクチンが開発されているものと思われる。今後さらに臨床試験を継続し安全性と大量供給の方法について詰めて欲しいものだ。

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広州にてH5N1に感染したアヒルが大量死

昨日の香港の各紙の報道によると、広東省広州市番禺にてH5N1ウイルス(亜型)によると思われる感染で、9830羽のアヒルが死んだという。これは9月10日から12日にかけて9戸のアヒル養殖場で起きており、当局は13日に約3万羽のアヒルを殺処分した。 今回アヒルの大量死をもたらしたウイルスは、H5N1に近い亜型と思われているが、その毒性は従来のH5N1よりも強いものだ。(強毒性タイプ)H5N1は元来ニワトリに対しては非常に強い毒性を示しているが、水鳥や渡り鳥にはそれほどの毒性はないために、症状がでない不顕性感染の状態で彼らは運び屋としての役割を果たしている。今回疑われているウイルスはこの「運び屋」さえ殺してしまったことになる。実はこのような水鳥への感染は2003年、2004年に中国西部の青海湖で報告されて以来、たびたび起きている。青海湖は多種類の渡り鳥の生息地として有名で、ここを通過した渡り鳥が各地に移動することで、ウイルスが世界中に伝播するのではないかと警戒されていた。 さらに今回のケースでは、鳥インフルエンザワクチンを接種されていたアヒルで起きており、ワクチンが開発された当時とは違うタイプのウイルスに遺伝子変化している可能性も考えられる。このワクチンは1回の接種で65%、2回接種して90%の効果が期待できるものであるが、今回死んだアヒルは1回接種を受けていただけなので、実際に遺伝子の変化がおきているのかどうかは、さらなる調査結果を待つしかない。 鳥同士の感染性や毒性がそのまま人間に当てはまることはないので、今回の件で慌てることはないが、インドネシアなどで人への感染がたびたび起きていることを考えると、今回のウイルスも性質が変化してきている可能性も考えておいたほうが良い。今のところ番禺では人への感染事例は起きていないようだが、今後十分に警戒監視する必要はあるだろう。またこのような村では豚も飼っていると思われるが、人のインフルエンザウイルスにも、鳥のインフルエンザウイルスにも感染するブタは、その体内で両者が遺伝子融合して新しいインフルエンザウイルス(新型インフルエンザ)をつくりだすインキュベーターの役割を果たす。今回、アヒルを殺した強毒性ウイルスが、豚にも感染していないか心配される。人のインフルエンザが流行するとその危険性がますます高くなるので、次期インフルエンザシーズンが来る前になんとしても完全に自体を沈静化させる必要がある。 現在のところ中国や香港に住んでいるからといって、特に注意しなければいけないことはない。鳥には近づかないことはこれまでと同じだ。野鳥が死んでいたりしても決して触れないようにしたいので、特に難にでも興味を示して触りたがる子供には十分注意してほしい。現在のところ、今回のウイルスに限らず鳥インフルエンザウイルスに人が感染する危険性はほとんどないと思われるが、市場などで生きた鳥を売っている場所には行かない方が無難だろう。当然のことながら調理された鳥肉には、たとえその鳥が感染していたとしても、食べた人が感染する危険性は全くないので、鳥料理を避ける必要はない。生の鶏肉を調理するにあたっては、鶏肉に触れた場合に、しっかり手洗いすることはカンピロバクターなど鳥由来の食中毒を予防する上でも大切なことだ。 通常のインフルエンザでも鳥インフルエンザでも、あるいは新型インフルエンザであろうとも、感染予防はよく手を洗うことに尽きる。外出後はもちろん、食前など必ず手洗いすることを習慣にしたい。また十分な栄養摂取、適度な運動、そして睡眠をしっかりとるなどなど身体を十分に休めて、免疫力を落とさないようにすることが大切だ。

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世界自殺予防デー

毎年9月10日はWHOが定める「世界自殺予防デー」だ。日本での取り組みは今年が初めてで、この日から1週間は「自殺予防週間」として、国や各自治体、あるいはNPO団体など様々なところが自殺予防に向けた取り組みを行なう。 日本の自殺者は、9年連続で3万人を超えており、高い自殺率が低下する兆しは見えない。1年間の全死亡者数がほぼ100万人であるのに対して、自殺者数は約3%であり数字の上ではそれほど多いとは思えないかもしれない。しかし交通事故死が1万人を下回っていることを考えると、自ら命を絶ってしまう人々がたいへん多いということが理解できる。 自殺者の増加は社会問題だ。自殺の理由は様々であるが、病気を苦にしてという、かつてよく耳にした理由が目立たなくなり、最近では経済的困難や仕事上の悩みが理由となっているケースが目立つ。 自殺は「予防可能な公衆衛生問題」であるとも言われており、異変に周囲が早く気付き、対処することでその多くを思いとどまらせることが可能である。それだけに日常から自分の周囲に注意を向け、小さな異変をできる限り早く見つけてあげることがとても大切になる。 海外でも日本人の自殺は少なくない。香港でも日本人の自殺、あるいは自殺未遂が起きているが、中国に在住する日本人の自殺率がさらに高いという話も時々耳にする。男性の場合はやはり業務上の行き詰まり。これは任された仕事が過大で、能力以上のものを要求されたことが負担になっていたということだけではなく、環境に適応できなかったことなども原因として十分考えられることである。 監督者である上司は部下の様子をよく観察してほしい。いつも元気な挨拶だったのに声が小さくなっている、言葉数が少ないなどちょっとした変化に気づいてあげることが大切だ。もちろんこの程度のことを大げさに取り上げる必要はないが、「何かあったら、何でも相談に乗るよ」程度の声かけをしておくことは有効だ。自分に関心を持ってくれていることを感じとることで、かなり救われるはずだからだ。精神的に追い詰められてくると、自分の周囲が見えなくなる。まだ軽いうちに声をかけることは思いのほか効果が大きいといえよう。 仕事のミスが度重なる、会議中に寝てしまう、遅刻が増える、いつもボーっとしているなど、業務に支障がでてきたら強く介入したい。会社の産業医と相談したり、可能であれば一時帰国の上、カウンセリングを受けさせるなどしたい。カウンセリングのために帰国するなど、あまり考えられないかもしれないが海外では日本人のカウンセラーがきわめて少なく、その受け皿がほとんどないのが現状だからだ。どんなに言葉が達者でも、あるいは反対に現地のカウンセラーがどんなに日本語に長けていても、やはり同じ文化的背景がないと、カウンセリングの効果は得られにくい。 それだけに、小さな芽を見つけて早いうちに摘んでしまうことが求められる。会社など業務上のことだけではない。一般家庭における対応も重要なことだ。駐在員本人はよくても、配偶者が悩みを抱えているケースは決して少なくはないはずだ。海外生活を苦痛に思う配偶者もいることを、ぜひ頭の隅に置いておきたい。口数が少なくなったり、朝起きなくなったり、外出を嫌ったり、人に会わなくなってきたり、とにかくそれまでとは違うことに早く気付いてあげたい。小さなことにも声をかけてあげることは、これは上司部下の関係などでも同じこと。人間関係の基本部分にかかわることで、誰かが自分のことを気にしてくれていることを少しでも感じることができれば、気持ちの持ちようが変わることもある。 声のかけ方には注意が必要だ。真正面から相手の目を見て、というようなことは避けたい。横、あるいは斜め方向からの声かけが良いだろう。はじめはさりげなく声をかけることが大切で、大仰にしてしまうとかえって構えてしまい逆効果になる。 メンタルケアはだれにでもできる。頑張れなどとは決して言ってはいけない。とにかく反論せずに、あるいは下手なアドバイスなどしないで、とことん話を聞いてあげる姿勢が大切だ。これからは職場で上に立つ人は部下のメンタルケアのことも考えなければいけない。もちろん自分が所属長である場合もあるわけだ。単身赴任ではないのであれば夫婦間でメンタルケアができることもあるだろう。自分自身のメンタルケアのために、何でも話ができる相手を見つけられると良いのだが・・・。

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中国のHIV(エイズウイルス)感染者数急増中

「中国国務院(中央政府)エイズ予防・治療工作委員会弁公室は今年7月末までに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者数が21万4300人に達したことを明らかにした。このうち5万6758人が発症し、1万8246人が死亡したという。また、今年上半期に報告された新規感染者数は1万8543人、発症者数4314人に対して、死亡者数は2039人となっており、同弁公室として、感染者の上昇傾向に強い懸念を示している。なお報告されていない患者も含めると、感染者数は約3倍の65万人に達すると推定される。」 上記のような内容が報道されているが、当然のことながら実際の感染者数は公表された数字を大きく上回るものと思われる。 世界のHIV感染者数は総人口に対して0.6%くらいだ。感染率は国や地域差が非常に大きく、累計患者数が0.01%にも及ばない日本に対して、世界で最も感染率が高いといわれるアフリカのスワジランド王国では、なんと3人に一人がHIV感染者といわれている。実際に世界のHIV感染者はサハラ砂漠以南のアフリカに集中しており、総人口では世界の2%にしかならないこの地域の感染者数は、世界の感染者数の約30%が集中しているというからその突出率に驚かされる。 ところで中国のHIV感染についてであるが、国務院から公表された数字が正確なものかどうかというと、かなりの疑問符がつくのではないだろうか。もちろん故意に事実を矮小化して公表しているというわけではなく、実際は検査率が低すぎて、全体像がつかめないと考える方が妥当ではないか。 ここ数年思うことであるが、中国がHIV感染に関して内外に具体的な数字を出してきていることは、それだけ深刻な事態が進行しているからではないかということだ。ほんの数年前には中国の国家機関あるいは地方機関からHIVに関して懸念を示すような数字などほとんど公表されていなかったと思う。 アフリカでの感染者数が多いのはなぜか?もちろん相当に深刻な事態に陥っていることは間違いないが、個人的な見解ではあるが検査総数に原因があるものとも思われる。発展途上国に対して直接的ともいえるほど医療行政にかかわっているWHO(世界保健機関)は、かなり正確な医療統計をだしていると考えられるからだ。 中国にはアフリカ諸国に直接かかわるような、深く入り込んだWHOの活動はない。医療行政は中国独自に管理されているだけに、そこから正確な数字が出てくるか疑問が生じるが、中国政府がこのような数字を出し始めたことは、十分に注意しなければ行けないサインであると捉えたい。