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メタボリック症候群の疑問

「高血圧や高血糖といった生活習慣病の危険要因を同時に抱えると、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高まるが、その程度は、太っているよりもやせている人の方が高くなりやすいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=上島弘嗣・滋賀医科大教授)の調査でわかった。来年度から、生活習慣病予防のための特定健康診査(特定健診)が始まるが、その柱となる「メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)」の診断基準が、やせた人たちのリスクを見逃してしまう可能性を示したものだ。」朝日コム より 抜粋 このような記事が今朝の新聞等で報道されている。このところメタボリックという言葉が独り歩きして、あたかも太っていることだけが悪い評価を受けてしまっている。しかし、現実問題としてメタボリック症候群はもっと細かく評価されるべきものであり、ある意味医療者の都合で決められた数字だけで評価するべき問題ではないことを意味する。 ただし誤解は禁物だ。今朝のニュースを見て太っていても問題がないとは決して思わないで欲しい。肥満とともに心筋梗塞や脳血管疾患などの循環器系疾患が増えることは世の常識で、この事実にはいささかの変更もない。今回指摘されているのは、たとえ痩せていてもメタボリック症候群の基準である高血圧、高中性脂肪、低HDLコレステロール、高血糖のうち二つ以上が重なると循環器系疾患の罹患率が、太っている人よりも高くなるということだ。 太るに従って血圧が上がり、中性脂肪が上昇し・・・、ということであれば、原因が極めて単純であって対処もしやすい。もちろん少々痩せるだけで健康度が大幅に上昇することも珍しいことではない。ところが痩せている人の場合、何か問題があって高血圧や高脂血症が起きている可能性があるわけだ。対処しにくいどころか、何か基礎疾患を抱えている場合が少なくないはずだで、その部分も危険因子として捉える必要がある。 腹囲が男性85cm、女性90cm未満であればメタボリック症候群とは言われないがだからといって安心できるものではないことは今朝の報道通り。反対にこの条件を上回っているからといって、ただちに健康状態に問題が生じるともいえない。自分自身の危険度を簡単に知る方法は、体重の変化率だ。20歳頃の体重からどの程度変化したかを頭の中においておくことだ。20kg増えたのであれば、その分脂肪が増えていることを意味すると思って間違いない。(元運動選手など例外はあるが)増えた体重の3分の一を目標に減量すると健康状態がかなり良くなる。 メタボリックの基準である腹囲に満たない場合でも同じで、成人になってから増えた体重は脂肪だ。極端な話、BMI(肥満度)が最も健康的である22、腹囲が80cmという場合でも高脂血症に高度脂肪肝を伴っていたケースもある。この人の場合は学生時代は骨と筋肉と皮しかないという体型だったそうだが、社会に出て運動しなくなって太ってしまった。元がガリガリの体型であったので、たとえBMIが理想的な22であったとしてもそれは肥満の結果なのだ。メタボリックの基準はあくまでも目安に過ぎない。メタボリック症候群に関して、医師も含めてもう少し理解を深め判断力を高めるべきだろう。メタボリックという言葉を、流行語のように一人歩きさせていてはいけない。

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貝毒について

香港の街市で売られていたホタテ貝から基準を超える貝毒が検出されたため、食物安全センターはホタテ貝を食べるのを控えるよう呼び掛けているが、実はこの貝毒は特別なものではなく、北海道などのホタテ貝の産地では毎年のように認められ、すぐに出荷停止となるため養殖業者の悩みの種ともなっているものだ。 この貝毒には、麻痺性貝毒、下痢性貝毒、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒といったものが知られているが、このうち主に問題となるのは麻痺性と下痢性だ。おそらく今回香港で問題になったのは症状からして麻痺性貝毒であろう。 貝毒は貝が自身でつくった毒ではなく、えさとなるプランクトンに含まれる毒素が貝の体内で濃縮されたものだ。この毒はどのように調理しても無毒化されることはなく、しかも毒の種類によってはフグ毒に匹敵するほど強毒であり、十分に注意する必要がある。 毒は主に中腸腺と呼ばれる内臓に含まれる。ホタテ貝でも貝柱には全く問題がないが、丸ごと食べる場合には内臓を完全に取り去ることが大切だ。市場などで貝を処理しているのを見ると、どのような貝も剥き身にする場合は完全に内臓を除いている。おそらく内臓を食べてはいけないという昔からの経験があるのだろう。その意味からするとアサリは危険性が高いといえる。 日本では50年以上も前に、浜名湖で大規模なアサリ中毒事件が起き、200人近くが死亡しているが、現在では検査体制が整っているので中毒事件が起きることはほとんどなくなった。検査は行政はもちろん、貝類出荷業者も独自に実施し、食中毒を起こす毒素量よりも十分に低い毒素量を安全基準として設けているため、極めて高い安全性が確保されている。したがって日本では購入した貝類で貝毒にあたってしまうことはほとんどなくなったが、問題は潮干狩りなど自分で採取した貝類を食べた場合だ。極めて軽い症状であることも少なくないので、実際にどのくらいの中毒が起きているのか全く把握できていない。おそらく今の時期は潮干狩りシーズンを迎えて、患者が増えているのかもしれない。(ただし漁協などが管理している潮干狩り場では、通常貝毒の検査が行われているので問題は少ない) 貝毒は二枚貝にのみ認められるもので、巻貝については問題にならない。毒を持つか持たないかを、貝を見て判断することは不可能だ。また香港や中国では日本で行われているような検査が行われているとは聞かないので、心配であれば特にプランクトンが増える暖かいシーズンには二枚貝を食べるのを控えた方が良いかもしれない。

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メタボリック症候群と腹囲測定

このところ毎日のように耳にするようになった「メタボリック症候群」という言葉。先日は日本で、「お前、メタボだろ。やばいよ。」という会話が近くの若者から聞こえてきた。もしかしたら今年の流行語大賞になるのではないかと思うほど一般的になってきている。来年4月からは労働安全衛生法で定められる健康診断項目として、40歳以上にその測定を義務付ける方向で話が進んでいるが、その必要性や意味を正しく理解できている人は少ないようだ。そればかりか、対象を40歳以上とした厚生労働省の検討会の報告書にも疑問が残る。 肥満と循環器系疾患のリスクは間違いなく関連していることは、健康診断のデータを見ても明らかだ。全身にに脂肪がついている人よりも、お腹だけがポッコリ出ている人の方が死亡リスクが高いことも間違いない。お腹だけが出てしまうのは中年期以降の男性に多く、女性によく見られるポッチャリ型の肥満とは「悪性度」がまったく違う。そのような背景から腹囲の測定を必須とし、男性の基準を85cm以上、女性の基準を90cm以上と分けたことは意味があることだ。 もちろん単に太っている(腹囲が基準を超えている)というだけではメタボリック症候群とはいわない。腹囲の基準値を超えていることを絶対条件としたうえで血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、血糖値のうち2項目以上が重複してその基準を上回っている場合に限ってメタボリック症候群と呼ぶ。かつて「死の4重奏」と呼んで、高血圧や高血糖など循環器のリスクとなる項目が4つ重なると死亡リスクが非常に高くなるといわれていたが、メタボリック症候群の考え方はそれを一歩進めたものといえる。 しかし、今回報告書としてまとめられたものは、その測定を40歳以上に限っている。おそらく検査の手間などを考えてのことかと思われるが、せっかくの意義を半減させてしまう恐れがあると思われる。(全員になんかやってられないよ!ってことなのか) 女性の場合、肥満のメカニズムが男性とは異なること、太りたくないという意識が男性よりも強いことなどから、あまり問題にはならない。しかし男性は社会にでたとたんに太りだす人が多く、40歳くらいまでに10kgから多い人では一気に20kgくらい体重が増えてしまうこともある。しかも内臓脂肪がつきやすく、たとえ体重増加はそれほどなくても、お腹だけが突き出してしまう人も多い。循環器系疾患の危険性は年齢とともに、あるいは体重増加に伴って確実に大きくなっていく。 私個人の意見ではあるが、腹囲の測定は全員行なうべきだと思う。もし手間を省きたいということが厚労省の委員にあるのであれば、女性の測定をやめて、男性のみに限った検査にしても構わない。もちろん血液検査も必須だ。とくにメタボリック症候群に関連する項目は、体重増加と連動して数値が上昇する傾向が強い。(HDLコレステロールの総コレステロールに対する割合は逆に減少する傾向)若いときから体重測定、腹囲測定、そして血液検査を定期的に実施し、その結果を本人も理解したうえで、5年、10年先を見通して健康を管理することが求められる。太らないという意識を維持していくためにも具体的な数値が必要だ。 折あるごとに話をしていることであるが、体重を増やさないこと、あるいはすでに太ってしまった人は減量することが最大の健康法であることは間違いない。摂取カロリーを低くするだけで減量するのも悪くはないが、これに運動が加われば言うことはない。 食べ過ぎないこと。そして、とにかく歩くこと、ひたすら歩く、これが健康の秘訣!メタボリックの予防だ。

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タミフル、10代の服用制限へ

10代の小児へタミフルを投与した直後に異常行動が報告されていることを受けて、日本の厚生労働省は子供への投与を制限する方針を発表した。 このところタミフルを服用した直後に起きる子供の異常行動が問題になっていたが、厚生労働省はつい最近まで因果関係についてはっきりと認定してこなかった。製薬会社寄りであるという批判も出ていたほどだが、本日深夜0時に緊急記者会見を開き、事実上の使用制限を打ち出した。このような時間に緊急記者会見を開いたということは、事態をそれだけ重く受け止めたと捉えることができ、大きな意義を持つと思う。 具体的にはタミフルの添付文書の変更であるが、要旨は下記の通りだ。 「タミフルカプセル75」  ● 10歳以上の未成年者は、合併症などがあるハイリスク患者以外には原則使用を差し控える。 ● 事故予防のため、小児や未成年者がタミフルを服用し、自宅療養する場合は、少なくとも2日間は一人にしないように配慮することを家族に説明する。 「タミフルドライシロップ3%」  ● 使用に当たっては必要性を慎重に検討すること。 ● 10歳以上の未成年者は、ハイリスク患者以外は原則、使用を差し控える。 ● 小児や未成年者がタミフルで治療を始めた場合、少なくとも2日間は一人にならないように配慮することを家族に説明する。 これらは日本での処方に際しての医家向けの注意だ。香港ではかなり一般的にタミフルが処方されており、その際にどのような注意がなされているか知らないが、少なくともタミフルが処方された場合は上記の注意があるものだと理解して、服用に際しては十分な注意をするべきだ。 処方されたタミフルを初回飲んだだけで劇的に回復することもあって、完全に飲まないで残ったタミフルを保管している人もあると聞く。タミフルにはウイルスを殺す効力はない。増殖したウイルスを細胞内に止めておくことがその薬理作用である。従って必要とされる服用期間を守って飲み続けなければいけない薬なので、中途半端な服用は感染を拡大することにつながり好ましくはない。しかも事後に備えて保管しておくなど、タミフルの危険性を考えるとあってはならないことだ。 香港では比較的気軽にタミフルが処方されているようだ。処方を受けた場合は、個人の責任で十分に注意してほしい。

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大腸がん死亡率、検診で7割低下

報道によると、大腸がん検診を受けた人は、受けなかった人より大腸がんによる死亡率が約70%も低くなるという調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめ発表した。この研究は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県に住む40~59歳の男女約4万人を対象にしたもので、90年時点で過去1年間に大腸がん検診の「便潜血検査」を受けたかどうかを聞いた上で、2003年まで13年間追跡したものだ。この間、大腸がんで死亡していたのは132人で、死亡率は検診を受けていなかった人を1とすると、受けていた人の場合0.28にとどまった。 一般的な大腸がん検診は便潜血検査だ。がん組織が便の通過で刺激を受けたりすると出血して便に血液が混じる。便を化学的に検査してその有無を調べるのが便潜血検査であるが、この意味については過去に何度か議論されている。今回は有効性があるとの結論であるが、必ずしも肯定的な意見ばかりではない。ただし痛みを伴わない非侵襲的検査であるため、受診者に負担が少ないことや検査の危険性がないことが大きな利点であることは確かで、実効性がある検査といえよう。 大腸がんは食生活の欧米化を反映して男女ともに増え続けている。上記の調査では100人中一人以上が大腸がんになり、将来罹患する可能性も決して低いとはいえないがんだ。食生活が発症に大きく関係していることから、予防の重要性が理解できるが、大腸がんの進行は他にがんに比べて極めて遅いことから、早期発見できるチャンスが大きいことも確かだ。 毎年受診する健康診断では面倒くさがらないで便を提出して潜血検査を受けるべきだ。そして40歳を過ぎたら大腸内視鏡検査を一度は受診してみて欲しい。何もなければ5~7年に一度受ければ早期大腸がんの発見が期待できる。もちろんポリープがあったり、大腸に何らかの所見がある場合は、その間隔を短くする必要があるが、安心感は大きい。費用はかかるがメリットが大きな検査といえる。早期大腸がんは治癒率が非常に高い。ぜひ検査を受けて、自分自身のリスクを知っておきたい。 食生活の改善で予防することも、とても大切だ。「肉は少なく野菜を多く」が基本であるが、これだけではない。脂分の摂取を控えることと適度な運動を継続することでリスクが低下することもわかっている。飲酒は少なめ、禁煙はもちろんのことだ。 増え続ける大腸がんに歯止めをかけるのは、医学の進歩よりも個人の役割が大きい。大腸がん予防に限らないが、食生活習慣等を点検する意味は決して小さなものではない。

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インフルエンザ情報

2006/2007年インフルエンザシーズン(この冬のことです)は暖冬のためか世界的に流行が遅かったものの、日本では2月に入って患者が急激に増え始め、現在インフルエンザ警報、または注意報が出ていないのは青森県と愛媛県だけになってしまった。 流行の中心は例年通りA型(ソ連型、香港型)であるが、今シーズンはそのタイプ(亜型)に変化が認められるようになってきた。昨シーズンまではワクチンにも加えられているニューカレドニア株が流行の主流であったものが、どうやら別のタイプのウイルスに変化してきておりワクチンの効果が低下してきている可能性があり、このためWHO(世界保健機関)では、来期北半球のインフルエンザワクチンのコンポーネントをニューカレドニア株からソロモン諸島株に替える勧告を各国に対して出している。(以上、国立感染症研究所の発表より) 北半球のインフルエンザ流行は日本だけではなく各国に広がっている。もちろん香港も例外ではなく、少なくとも今月いっぱいは感染には十分警戒する必要がある。 インフルエンザワクチンを接種したのに感染してしまったという話をよく耳にする。せっかく受けたワクチンが効かないのはたいへん残念ではあるが、これは仕方がない。インフルエンザワクチンは、流行が予想される数種類のタイプのコンポーネントを混合してワクチンとしているものの、流行するウイルスタイプは常に変化しているため、肝炎ワクチンと異なり完全に感染を予防することは期待できないのだ。(ワクチンが感染の確率を下げることは確かだ) 一般的にインフルエンザに感染すると急激な発熱(38度以上)に加えて関節痛や強い倦怠感を伴い(個人差は大きい)、全身症状が著しい。これは風邪(普通感冒)の症状が、発熱は別にして鼻水や咳など首から上の症状にほぼ限られるのとは大きく異なる。発熱も風邪よりも高く、39度から40度に達する。風邪とインフルエンザは全く異なる病気と認識し、インフルエンザにはそれなりの対処をしたいものだ。 感染したと思ったらとにかく身体を休めること。余程辛い状況でなければ解熱剤は飲まないで、全身を外から冷やして体内で生まれてくる熱を奪ってやること。発熱は自分の体の免疫力を強化するためのもので、患者を苦しませるために出ているものではない。免疫力は38度から39度くらいで最強になるので、発熱中枢をだまして強制的に解熱しようとすると病期が長引く危険性がある。悪寒はこれから発熱するための準備段階だ。全身の筋肉を緊張させようとするためガタガタ震える。このときは布団をかぶって身体を暖めることが必要だ。熱が上がってしまうと反対に暑くなるので、布団を取って身体を冷やす。 熱があるからといっていつまでも布団をかけておくのは良くない。要は患者が気持ち良く感じる環境をつくることだ。 発熱に伴って水分を奪われてしまうので、十分な水分摂取も忘れてはならない。アルコール類は論外だが、とにかくどんな飲み物でも構わないので、十分に飲むことが大切。子供など具合が悪くて何も口にしたがらない場合もあるだろうが、こちらはある程度強制的に飲ませる必要がある。小さな子供であれば、スプーンで水を流し込んでやることも手だ。何度もやらなければいけないので親はたいへんだが、このような状態は長くは続かず、少し回復すればいつもどおりに飲むようになるはずだ。 人ごみを避けること、外出後はしっかり手洗いすること、うがいも効果的だろう。マスクをしても直接感染を避けるという期待はしないほうが良い。もちろん咳が出るときなど自分から他人に感染を拡大しない方策としてのマスクの使用は効果的だ。睡眠不足などを避けて十分身体を休めるとともに、栄養にも気を使いたい。今の時期、レストランなど同一空間に多人数が集まるような場所で、夜遅くまで飲食するようなことは避けたい。感染の機会が増えるだけだ。

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タミフルの副作用について

インフルエンザの治療薬として最も使われているタミフルを服用した直後に異常行動を起こして死亡するケースがたびたび報告されている。厚生労働省では副作用であることを認めていないものの、遺族らでつくる「薬害タミフル脳症被害者の会」では、因果関係が認められないとするだけではなく、医師が処方する際に服用に際しての注意を徹底するよう指導して欲しいと訴えている。 本日の事故以外にも最近の異常行動の例として、愛知県で中学2年生がマンション10階より飛び降りて死亡した例や、中学生が自宅から国道に飛び出し、交通事故死したといったことが複数報告されている。いずれもタミフル服用直後に起きているなど、共通点が多い。 厚生労働省の研究班は昨年2800人を対象にした調査で「タミフル服用の有無によって、異常行動などの現れ方に差はない」としたが、薬害に詳しい専門家の中には、「厚労省のデータの取り方に問題があり、服用直後に限定すれば異常行動を起こす割合は4倍にもなる」とした意見もある。 日本や香港における一人あたりのタミフルの使用量は世界的にみて非常に多い。日本でのことであるが、先日も近くにいた人から「風邪気味だったけどタミフルを飲んできたから大丈夫」などという会話が耳に飛び込んできて驚いた。タミフルが日常的に容易に処方されているのだろう。 新型インフルエンザに備えて、その対策の切り札としてタミフルを各国が備蓄している現状において、そんなに簡単に使ってしまっても良いのだろうか。副作用の報告を過小評価することなどせずに、その使用を制限する方向で検討はできないものだろうか。このままでは副作用と思われる事故が今後も増えることが懸念されるばかりか、ウイルスが耐性を持ってしまって、もはや有効な治療薬ではなくなる可能性だってあるのだ。 従来型のインフルエンザへの感染が疑われた場合は、とにかく身体を休めることが大切。タミフルの服用後は急速に回復したように感じてしまうのですぐに出社通学してしまうが、タミフルでウイルスは死ぬことはない。これでは職場等への感染拡大につながるだけだ。それよりも自宅でゆっくり静養する方が治療はもちろん感染拡大予防の観点からも好ましいといえる。 インフルエンザ症状で医師の診察を受けるとタミフルが簡単に処方される傾向が強い。服用に際しての注意を、医師からなされることが望ましいが、いずれにしても服用後は慎重な観察が必要だ。特に未成年者の事故が目立っており服用後の1~2時間は親の監視は怠れない。

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インフルエンザの流行始まる

香港衛生署は先月末の段階でA型インフルエンザ(H3N2)ウイルス感染の報告数が急上昇しているとして、広く市民に注意を呼びかけている。 香港の流行は日本の流行に遅れて始まるのが通例であるが、今年の日本は暖冬が影響しているためかインフルエンザ患者の数が少なく、大きな流行は今のところ確認されていない。現在のところインフルエンザ注意報が出ているのは愛知県と宮崎県のみで、しかも3段階に分かれる注意報のもっとも低いレベルのものが出ているに過ぎない。今年の香港のインフルエンザ流行は、日本で流行が始まることを確認することなく始まったことになる。 空気感染するインフルエンザウイルスは感染力が強く、一度流行が始まると一気に感染拡大し、爆発的に患者数が増えることになる。インフルエンザを風邪と同じように考える人もいるが、風邪で命を落とすことはないが、インフルエンザでは高齢者を中心に毎年多くの人が亡くなる。現在、毎年のように流行を繰り返しているインフルエンザ(H3N2)の感染により、世界中で毎年数十万人が死亡しているという。風邪とは似て非なる病気だ。 予防① 人込みを避けること。無用な外出をしないこと。② 換気を良くすること。③ 手洗いの励行。うがい。④ 適切な栄養摂取。⑤ 十分な休養、睡眠。適度な運動。⑥ 禁煙する。⑦ ストレスを避ける。 予防法は感染の機会を減らす(①から③)、免疫力を落とさない、増強する(④から⑦)に分けられる。マスクの使用はどちらかというと感染者に求めたいことである。つまり咳やくしゃみなどにともなうウイルスを含んだ唾液の飛散を防ぐことが他人への感染にかなり有効といえるからだ。一方で個人の感染予防には大きな威力を期待することはできない。空気中に飛散しているウイルスは乾燥しているため極めて小さな粒子になっているため、マスクの網目を通り抜けてしまう。最近は抗菌効果をうたった商品も増えているが、過大な期待をしないほうが良いだろう。ただしマスクをすることでマスクに湿り気ができるので、加湿効果で呼吸が楽になるというメリットがあることは確かだ。 A型インフルエンザの感染初期にはタミフルがよく効く。香港での消費量は非常に多いので、クリニックなどを受診すると簡単に渡されることも少なくない。タミフルは一度飲んだだけで症状がすぐに治まることもあるが、ウイルスを殺す薬ではないので、体調が良くなっても体の中には大量のウイルスがそのまま残っている可能性が大きい。タミフルを飲んで回復したと思って登校したり出勤したりすることで感染を広げてしまう危険性がある。受け取ったタミフルはすべて服用すること、服用し終わっても2~3日は外出を控えるなどなるべく人と接触しないようにしなければいけない。

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鳥インフルエンザ情報

しばらくの間静かだった鳥インフルエンザであるが、寒くなりやはりついに姿を現してきた。先日、香港の中心部、銅鑼湾で死んだ野鳥からH5型ウイルスが認められたことから、この冬もついに来たかと思っていた矢先、日本での鶏大量死だ。宮崎県で大量の鶏が死に、先週末正式にH5型鳥インフルエンザであることが確認され、昨日は同じ養鶏場の鶏がすべて殺処分された。もちろん問題となった養鶏場から半径数キロにある同様の施設からの鶏や卵などの出荷・移動は現在禁止されている。 日本で再び鳥インフルエンザによって鳥の大量死が起きたことで、一般の日本人は非常に心配しているが、このような現象はすでに世界的に全く珍しいものではなくなっている。そればかりか人が感染する事例が相次いでおり、WHOが1月11日に発表したところによると、これまでにアジアを中心に世界10カ国で264人が感染し、158人が死亡している。 現在のところ感染者は鶏と濃厚な接触があったと思われるケースばかりで、通常のインフルエンザのように感染経路がわからないと言うことはない。感染を恐れて鶏や鶏卵を食べるのを控える人も多いようだが、食べて感染したという事例はなく、いたずらに心配する必要はない。宮崎のケースも風評にならないよう願いたい。 ところで鳥インフルエンザはどのようにして感染を広げているのか。専門家の推測によると、感染しても感受性が低く死ぬことがない渡り鳥がウイルスの運搬を担っている可能性が高いという。冬になると北から飛来する野鳥が運んでくるウイルスに日本の養鶏場の鶏が感染してしまうわけだ。事実、日本での発生に先立ち韓国で鳥インフルエンザが問題となることが多い。昨年ユーラシア大陸からアフリカにまで感染地を拡大したのは間違いなく渡り鳥がかかわっていると思われる。 来るぞ来るぞと言われながら、幸いにも今のところ現れない新型インフルエンザ。鳥インフルエンザウイルスが人のインフルエンザに変化することは確実で、現在のように鶏から人が感染し始めた情況は極めて注意しなければいけない段階である。 一般の人々の感染予防であるが、今のところ特別心配することはない。鶏や鶏卵を食べることを避けるなどということも馬鹿げている。最小限の注意は必要であるが・・・☆死んだ野鳥に触らない、近寄らない。☆一般のインフルエンザと同様、手洗いの励行。☆飼育している鳥がいれば、外に出さない。 室外に置くしかない鳥がいたら、野鳥との接触を極力避けること。☆市場の鶏売場にはできれば近づかない。 この程度が現在で考えられる感染対策だろうか。今の季節は従来型のインフルエンザが流行する時期にあたり、一般的なインフルエンザ感染予防にも改めて気をつけておきたい。◎人ごみを避ける◎十分な睡眠(睡眠不足を避ける)◎十分な栄養◎適度な運動◎手洗いの励行これらは、これから生まれてくるかもしれない新型インフルエンザ予防にも役立つことだ。免疫力を落とさない努力が大切だ。