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インフルエンザ情報

日本ではインフルエンザ流行のピークがどうやら過ぎたらしい。これは国立感染症研究所情報センターが発表した調査結果によるもので、2月11日から17日までの1週間に、定点観測を行なっている全国5000医療機関での平均患者数が2週連続で減少したためだ。今季の流行のピークは1月28日から2月3日までであり、その2週後には患者数が半減しており、急速に患者が減少している。なおピークの患者数は17.62(1施設平均患者数)だったが、これは過去10年間では2番目に低い数字。また都道府県別では、宮崎を筆頭に熊本、大分の順に患者数が多く、九州での患者数が多かったといえよう。来月には日本での流行は完全に収束するものと思われる。今季の流行タイプは当初からAソ連型が主流(9割)であり、この傾向は今も続いている。昨年10月に例年になく早く流行が始まり、しかも予想されたウイルスとは異なったタイプであったためワクチンの効果が少なく大流行が心配されていたものの、結果的には患者数は少なく、しかも収束も予想以上に早くなりそうだ。 ところで、香港におけるインフルエンザ患者の動向を衛生署のホームページで調べてみると、インフルエンザ様疾患としての患者数が医療機関平均で示されていた。年間を通して患者数の大きな変動はないようだ。おそらく日本のように簡易キットを使ってインフルエンザ患者を確定診断しないからだと思うが、そうであったとしても最近の患者数にあまり変化がないということは、インフルエンザの大きな流行は今のところないと判断しても構わないのではないかと思う。香港のインフルエンザの流行シーズンは3月までなので、しばらくは十分な注意が必要だ。 さて、このところ人への感染報告が相次いでいるH5N1鳥インフルエンザであるが香港の隣、広東省で患者が発生したことを中国国務院衛生部と広東省衛生省が公表し、今月24日に香港政府に通達している。患者は44歳の女性。2月16日に発症し22日に入院したものの25日に死亡している。患者は自宅で飼育していて死んだ鶏を料理して食べており、鳥との接触が感染原因になっていると思われる。患者と接触したと思われる人の追跡調査を行っているが、今のところ周囲に異常は認められないという。これで中国での患者発生は30人、死亡は20人となった。 香港にごく近いところで患者が発生し死亡したことを受け、香港政府は防疫体制を強化して、患者発生地域からの帰港者で発熱などインフルエンザ様の症状がある場合は検査を実施するという。 現在のところあくまでも鳥のインフルエンザであって、それがたまたま人に感染しただけといって間違いない。人人感染を疑うケースも出ているものの、家族内など非常に限られた範囲で起きているに過ぎない。WHO(世界保健機関)では、今のところH5N1ウイルスが人人感染を起こすようなタイプに変化しているわけではないとしているが、今後監視体制は強化していくだろう。 鳥には近づかないこと。特に死んだ鳥(野鳥など)には絶対に触れてはいけない。特別に何をしなければいけないということはないが、現時点では通常のインフルエンザ予防を個人衛生の一環として心がけておけば良いと思われる。

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ノロウイルス感染

最近、日本人家庭でどうやらノロウイルスに感染したのではないかと思われるケースを立て続けに耳にした。ノロウイルスは軽い発熱と下痢や嘔吐など食中毒症状を特徴とし、俗に言う「お腹に来る風邪」と呼ばれる感染症のひとつだ。 感染経路は食物を介するルートと患者の嘔吐物などのミストの吸入が原因となる空気感染的なルートに大別され、感染力はきわめて強い。したがって学校などで大規模な集団感染もおきやすく、また全体の感染者数も極めて多い。特に冬場に多い感染症であり、日本でウイルスが食中毒統計に加えられてからは、例年12月から2月くらいにかけての原因別統計で患者数は常にトップだ。 食品が感染経路になる場合は、その多くが貝類だ。特に消費量が多い生食のカキからの感染が多い。 話がそれてしまうが日本の生食用カキは無菌処理されることが多くなってきたので安全性は非常に高まってることは確かだ。養殖場から引き上げられた生食向けのカキは、無菌槽に数日浸けられる。この過程でカキ体内のウイルスが吐き出されて安全なカキになるという。ただこのような処理をするとカキが痩せてうまみ成分も抜けてしまう。カキフライの材料にもなんとなく「より新鮮そうな」 生食用カキを使う人が多いらしいが、これは間違い!うまみ成分が失われていない加熱用カキを使った方が美味しいそうだ。ちなみに加熱用カキと生食用カキの違いは無菌処理するかどうかではなく、養殖された海域によるもの。ちなみにこの海域は水質検査を行なう管轄の保健所が決定する。生食用、加熱用の両者に鮮度による違いもない。 さて、ノロウイルス感染に話を戻そう。感染発症すると激しい下痢や嘔吐を繰り返す。症状は個人差が大きいが、平均すると完全に症状がなくなるまで1週間くらいであろうか。死に至るような重篤な感染症ではないものの、かなり辛い思いをすることは確かだ。 感染予防は非常に難しい。100個程度ののウイルスで感染してしまうほど感染力が強く、空気感染することから具体的に予防できる手立てに乏しい。カキ等の二枚貝が食品としてはもっとも大きな感染源となるが、免疫力さえ落ちていなければ、たとえ感染しても発症には至らないことも多い。体調が悪いときに生カキを食べることは止めた方が良い。また原因がわからなくても嘔吐や下痢の患者が家庭内にいる場合は注意が必要だ。もしノロウイルスであればしばしば家族全員が感染してしまうことも珍しいことではないからだ。特に嘔吐物の処理には気をつけたい。処理する人以外はできる限り遠ざかること。処理にあたる人はゴム手袋の着用は必須となる。またふき取ったものはビニール袋に密封して捨てることが重要だ。 下痢や嘔吐で診察を受けると、「お腹に来る風邪ですね」との診断を受けることがあるが、これは診断にはなっていない。ただ冬場におきるこのような症状はノロウイルスである可能性が大きいことも確かで、ノロも「お腹に来る風邪」に含めても差し支えはないだろう。どうせ風邪に効く薬なんかない。下痢や嘔吐には、水分摂取を怠らないこと。電解質を失うので塩分の摂取も必要になるのでスポーツ飲料などは効果的だ。子供に飲ませるときは倍量に薄めたほうが良い。

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チクングニア熱(シンガポール)

米国CDC(疾病予防センター)が2月13日に発表した感染症流行情報によると、2月5日時点で、シンガポール保健省が同国内の限られた地区からチクングニア熱の可能性がある患者13名の発生を報告しているという。患者はいずれも海外渡航歴がなく、しかも狭い地域で集団的に発生していることからシンガポール国内で感染したものと考えられる。 チクングニア熱は、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカ(ヤブ蚊)に刺されることで感染する。急激な発熱と全身の関節の激しい痛みを特徴とするほか、患者の多くに特有の発疹を認める。症状が緩和した後も、関節痛だけは数ヶ月にわたって続くこともある。ちなみにチクングニアとはタンザニアのマコンデ族の言葉で「前かがみになって歩く」という意味で、患者が関節の痛みに耐えながら歩く姿を意味してるそうだ。 この病気で死亡することは稀で、感染者の多くは症状が出ない「不顕性感染」であるが、インド洋の島国・レユニオンでは2006年に総人口の3割にあたる約26万人が感染・発症し、200人以上が死亡しており、軽く見ることはできない。 チクングニア熱は1952年にアフリカで発見された感染症で、元はサルが持っていたウイルスだといわれている。これまでサハラ砂漠以南のアフリカからインド洋、東南アジアにかけて流行したり、散発的な患者が発生しているが、香港や日本では輸入例(海外で感染して帰国して発症した患者)が数件認められているだけである。 チクングニア熱を媒介する蚊は、香港や日本でも広く生息しているため今後チクングニア熱患者が発生することはないという保障はなく、他のマラリアやデング熱といった熱帯病と同様に、地球温暖化に関係してその流行地域が拡大する危険性は十分考えられる。 CDCではシンガポール保健省の発表を得て、シンガポールへの渡航者に対して感染予防を勧告している。現在のところ治療薬やワクチンはなく、感染発症しても対症療法しかない。唯一の予防法は蚊に刺されないこと。特に夜間の外出や昼間でも薄暗いところ(ブッシュ)などに入るときは、肌の露出をできる限り少なくすることや忌避剤(虫除け)を使用することを勧めている。チクングニア熱予防は、マラリアやデング熱など蚊が媒介する病気の予防に共通しているので、シンガポールに限らず、特に熱帯圏への渡航に際しては十分心得ておく必要があるだろう。

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HIV感染者数増加に歯止めかからず

日本の厚生労働省エイズ動向委員会は、昨年2007年の新規HIV感染者数が初めて1000人を超えて1048人(前年比96人の増加)になったことを昨日発表した。また発症者数も400人となり、過去2番目に多い年となった。 日本国内での感染者数の増加は、保健所などでのHIV抗体検査受診者数が昨年約15万4千件と、前年に比べて約3万7千件増えたことが理由とされるが潜在的な感染者がかなりいることは確かだろう。また感染者の約7割は男性同性愛者だというが、異性間での感染も増えていることは確かで、不特定のパートナーを持つことは危険性が高いことも常識だ。日本国内では性感染症患者が若者に急増していることも懸念されることだ。これは性感染症患者はHIVに感染する危険性が高いといわれているからだ。 ここ数年、中国の衛生当局が中国内のHIV患者の動向を公表するようになってきた。シンセンや広州では患者数を公表するだけではなく、具体的な感染源も公表するなど、一昔前では考えられないほど情報公開するようになってきている。悪い情報は一切公表しないのが当たり前だった中国政府がこのような情報を公表するようになったことは、その動向に余程の懸念があるからではないだろうか。過少報告に過ぎないという意見もあるが、もしそうであれば、なおさらHIV問題は大きいと考えなければいけない。 中国の当局が感染源として疑っているのは、やはり風俗関係だ。中国で「遊ぶ」人も少なくはないが、最低限の予防策は怠らないようにしたい。

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タミフル耐性インフルエンザウイルス

欧州疾病対策センター(本部ストックホルム)の発表によると、現在欧州で流行中のAソ連型インフルエンザに、治療薬であるタミフルが極めて効きにくい耐性ウイルスが広がりつつあるという。 タミフル耐性ウイルスの割合が最も多いのはノルウェーで、70%もの高い率で認められている。全体では調査された欧州18カ国で分離されたウイルスのうち14%にタミフルに強い耐性を示す遺伝子変異が検出されたという。 ウイルスの薬剤耐性は、その薬を多く使うほど出現率が上がるものと考えられているが、実際にタミフルの使用が非常に多い日本などではその率は1%以下と極めて低い。欧州では通常インフルエンザ治療にタミフルは使われないにもかかわらずこのように耐性ウイルスが生まれたのは、自然なウイルスの変化ではないかと専門家は見ている。 タミフルに効果がなくてもリレンザなど他の抗インフルエンザ薬は効果があるため、現在のインフルエンザ対策を見直すような必要はないが今後、タミフル耐性ウイルスが世界的に流行拡大してくると、現在新型インフルエンザに備えて備蓄されているタミフルに関してもその使用に慎重になる必要があるだろう。 昨年、日本ではこれまでになく早いインフルエンザの流行がスタートしたがその後の爆発的な流行拡大にはつながらず年を越えた。今年に入って徐々に患者数が増え、現在では注意報が出ていない都道府県は数えるほどになっている。保健所単位では警報を出しているところも少なくはなく、間もなく爆発的な流行になることは間違いなさそうだ。流行の主流はAソ連型。全患者数の9割以上を占める。 香港での本格的流行も旧正月くらいからがこれまで多かったので今年もほぼ間違いがないと思われる。タミフルがあるから安心というわけにはいかないことは、耐性ウイルスの出現からわかることだ。自分自身で感染予防に努めること、たとえ感染しても重症化しないよう日頃から免疫力を高めておくことが大切だ。 できる限り人込みを避けること手洗いの励行うがい十分な休養・睡眠適切な栄養マスクの使用マスクは直接的な感染予防にはならない。(ただし患者は必須だ)マスクをすると乾燥した空気を吸い込まないため気道を傷めず感染しにくくなるといわれるので、なるべく厚手のガーゼマスクをしようすること感染予防に有効だ。ウイルスを除去する効果があるマスクもあるが、きちんと着用できなければ思ったほどの効果は期待できない。

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中国製餃子による中毒事件

中国で製造された冷凍餃子を食べた10名が急性農薬中毒と思われる症状におちいり、中には重体になったケースも出ている。業界では当該製品を絶対食べないように呼びかけるとともに、多くの企業が自主回収に動いている。また今回の問題とは直接関係がないと思われる中国食品にも使用中止を決めるレストランチェーンでてきている。今回の事件を重大視した日本政府も中国政府に抗議するなど、早くも外交問題にまで発展している。 今回の事件で最も不可解なのはその毒性だ。初めてこの事件を耳にしたときに私は、何故そんなことが起きるのか、その可能性の有無について漠然と考えてみたが、どうしても疑問が抜けなかった。第一に「加工された食品に、急性中毒で重体になるほどの残留農薬がはたして存在するのか?」 食品加工をする過程で、たとえ大量に残留した農薬が原材料の野菜に存在しても最終的な製品において、急性中毒を起こすほどの毒性を維持できるとはとても思えない。初期報道においてこのようなことには触れられてはいなかったと思うが、その後の専門家の意見としては述べられていた。今回の事件は食品を輸入した企業の責任を追及するのではなく、事実関係を徹底的に調査することのほうが重要なことだ。赤福などの問題でも感じることだが、最近は問題の背景を追求することなく企業をバッシングする傾向が強いように思うのは私だけではないはずだ。やや飛躍するが今回の事件は「犯罪性」もないとは言えない。 再び中国野菜は危険だ、というイメージが支配的になってしまったのではないだろうか。 中国野菜は危険だとのイメージで購入を控える傾向が香港でも強まるのは必至だ。農薬の管理などまだまだ甘い中国からの野菜を何の心配もなく食べることができる日が来るのは相当先だろうが、だからといって中国野菜がなければ香港市民の生活は成り立たない。中国野菜を常食している香港人の平均寿命が世界トップレベルであることも冷静に考える必要があるだろう。 野菜は浸け洗いをしっかりすれば、まず問題がないと考える。心配し始めたらきりがない。ポストハーベストを含む農薬の存在なしには現在の先進国の食生活はありえない。もちろんその使用を厳しく制限する必要はあるものの完全に無毒にすることなどできるはずはない。消費者にできることは、もちろん有機野菜を購入することもひとつの選択ではあるが、野菜などは良く洗うという基本動作さえしっかりしていればさして問題はないとも思う。

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旅先での健康管理

来週は旧正月を迎えるにあたり、この時期に旅行を計画している人も多いだろう。南国のリゾートで過ごすことを楽しみにしている人も少なくはないはずだ。寒いこの時期に、熱帯の甘く爽やかな風に吹かれるのは日頃のストレス解消にはとても効果的だ。 しかし開放感に浸っていても虫刺されと食中毒には十分に注意したい。リゾートホテル内では蚊に刺されることは少ないが(個人的にはこれはこれで別の意味で怖さをおぼえる)、たとえ都市部であっても蚊に刺される危険性は少なくはない。 蚊が媒介する疾病で有名なものは、マラリアとデング熱。どちらも高熱を特徴とする感染症で、特に熱帯熱マラリアは日本でも毎年平均200例程度が認められ、そのすべてが海外からの持込み(輸入例)だ。香港でも同じであるが、現地では極めて簡単に診断されるにもかかわらず帰国後には一般に診断がつきにくく、なかには手遅れになってしまうケースもみられる。マラリアより感染リスクが高いのはデング熱。こちらは軽い症状で終わってしまい患者としてカウントされないケースも相当あると思われるが、稀にデング出血熱を発症し、死亡することもあるので決して侮ることはできない。感染危険地域(熱帯亜熱帯すべての地域)からの帰国後に体調を崩した場合、医師には必ず旅行したことを伝えて欲しい。マラリアやデング熱の予防は蚊に刺されないことしかない。夜間の外出はできる限り肌の露出の少ない服を着ること。また虫除けの使用も効果的だ。 食中毒や伝染病などの感染症にも注意したい。一時香港でコレラ患者が散発したことがあったが、いずれも原因はタイ料理で食べた生えびだった。生ものを避けることは常識であるが、意外に危険なのは氷だ。水割りなど氷を使う飲み物は、余程信頼できるところでなければ避けた方が無難だろうし、旅行中くらいは氷が入った飲物を飲まないくらいにした方が良いかもしれない。もちろん生ものを避けておけば食中毒にはならないという保障はまったくない。感染しないために免疫力を落とさないことも大切だ。無理な計画を立てないで、体力を消耗しないようにしたい。 感染症ではないが意外な落とし穴は日焼けだ。急に日焼けすることは危険だ。ハワイ帰りの若い女性が全身火ぶくれができたため(重度のやけど状態)で成田到着後、救急車で緊急搬送されたという話もある。 日本に帰るからといっても安心とはいえない。旅先では、たとえ楽しくてもストレスは大きいも。もちろん仕事などで受けるストレスとは全く違って、苦痛に感じるものではないが、身体に与える影響は同じだ。ストレスを受けると免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなる。日本ではインフルエンザの感染にもっとも注意が必要だ。今のところ爆発的な流行ではないものの、患者数は確実に増加しており、導火線に火がついている状態とみてもよいだろう。今日にでも大流行のニュースが出てもおかしくはない。また冬場はノロウイルスにも注意が必要だ。カキが危険だといわれるが、日本のカキはかなり安全性が高くなってきている。それよりも空気感染が成立するほどノロウイルスは感染力が強い。家族内でも嘔吐したときにはその処理には細心の注意が必要になる。繰り返しになるが、とにかく旅行中は体力を保持し免疫力を高く保つことが大切だ。 せっかくの休暇旅行をベッドの上だけで過ごすような事にならないようにしたいものだ。

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香港の乳児死亡率、世界最低

香港における2006年の乳児死亡率は1.8人。日本は2.6人、米国は6.6人などと比較すると格段に低い数字であることが香港統計月間にて報告された。乳児死亡率とは生後1年未満の乳児の死亡が1000人あたり何人いるかをあらわした統計上の数字だ。 この数字を見て信じられない人も少なくないと思うが、平均寿命が世界でトップクラスにある香港での乳児死亡が少ないのは当然かもしれない。乳児死亡は母体の健康状態や養育条件などの影響を強く受けるためその地域の衛生状態の良し悪し、経済や教育を含めた社会状態を反映する指標のひとつをして利用されるので、香港の社会的な環境が世界的にみて非常に高い水準にあることを意味している。 思いのほか香港の医療水準は非常に高い。保険医療制度はなくても患者はそれぞれがプライベートやパブリックの医療施設を使い分けて高い医療サービスを享受できていると思われる。 香港の医療について高い評価をしていない日本人は多いが、これは個別の事例を引き合いに出すからではないだろうか。 どこそこの医者に誤診を受けた、薬が強くて副作用が強いなど等。「香港の医者は藪ばかり」と断言している人もいる。確かにそれぞれの見方はあるだろうが、良くも悪くも医療サービスの点が面になって全体的な医療水準として評価されるわけであり、たとえ特定の医師の質を問題にしたところで単に個別のケースを引き合いに出しているにすぎず、日本で近所の医者を評価するのと同じレベルのことだ。 反対に香港の医療を絶賛する日本人もいる。大きな病気を経験した人から聞くことが多いが、興味深いことに一般に評判の悪い公立病院を評価している場合も少なくない。 何らかの病気を治療するにあたって、香港が良いのかあるいは日本に帰ったほうが良いのかとの質問が時々寄せられる。日本に帰って治療を受けた方が良いという何らかの個人的事情があれば仕方が無いが、基本的にはどんな病気であっても香港で治療することに何ら問題はないはずだ。 香港の人々の平均寿命が世界でもトップクラスにあることは良く知られてきたが今回の「乳児死亡率、世界最低」という事実は、改めて香港の医療水準の高さを認識できるものだ。