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新型インフルエンザ 大流行の兆し

新型インフルエンザの大流行の兆しが日本で既に認められる事が、国立感染症研究所の調査でわかった。 現在、日本では新型インフルエンザに関して細かな感染者数をカウントしておらず、季節性インフルエンザと同様に全国約5000の医療機関からの患者数の報告から流行を判断している。 今月9日までの一週間(8月3日から9日)の患者数が平均で0.99人となったという。定点観測の5000医療機関の平均で1.00人になれば流行と判断されるので、今回公表された平均患者数はほぼ流行期に入ったと判断される数字だ。 現在のような調査方法がとられるようになったのは1987年からであるが、夏場に今年のようなインフルエンザの流行が確認された記録はない。すべての患者の詳しい検査が行なわれているわけではないものの、従来夏の流行がなかったことからおそらく現在発生しているインフルエンザの多くは新型ではないかと推測され、患者数は6万人にのぼると推計されている。 流行が確認されたのは6都府県。最も患者数が多いのは今月15日に死者を出した沖縄県(1医療機関あたり20.36人)で、以下、奈良県(1.85)、大阪府(1.80)、東京都(1.68)、長崎県(1.50)、長野県(1.44)の順となっている。 日本での死亡者は昨日までに3人となり、厚生労働大臣より秋以降の大流行を強く懸念し、国民に注意を喚起している。 新型インフルエンザの現在の流行状況に関して、特に驚くことではなく、予想される範囲であるともいえるだろう。死亡率が季節性インフルエンザよりも有意に高い事が一部専門家によって指摘されているものの、医療体制が整った国や地域では特別懸念する問題ではないことは、現時点での日本や香港での死亡者数を見ればわかることだ。もちろんウイルスは常に変化しているので、今後毒性が強くなる可能性もあるので、十分注意しなければいけないことは間違いない。また若年者に重症化例が目立つことも従来の季節性インフルエンザの特徴とは異なる点であることにも注目しておきたい。 新型インフルエンザであっても予防法は季節性インフルエンザと変わりない。免疫力を落とさないように日常生活、生活習慣から注意するべきだろう。一般的に健康に悪いといわれることは、免疫力低下につながることと重なる。免疫力を高く維持する努力は、手洗いやうがいといった感染予防法以前の問題だ。死亡者が出ている新型インフルエンザではあるが、季節性インフルエンザでも、日本で毎年1万人くらい死亡しているという推計もあることを考えると、決してあわてるような病気ではない。基本的な健康管理で感染を乗り切ること(軽く済ませること)を考えたい。 お詫び昨日配信しましたメールに、日本での死亡者数を1名としていますが、配信時では2名とするべきでした。最新の報道では昨日名古屋での死亡例を含めて3名となっています。お詫びして訂正いたします。

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新型インフルエンザの死亡率

オランダ・ユトレヒト大学の日本人研究員がアメリカおよびカナダでの新型インフルエンザの死亡率を、およそ0.5%であると推計した。これは現在の季節性インフルエンザの死亡率0.1%をはるかに上回り、アジア風邪と同じではないかと考えられる。 ちなみにアジア風邪は1956年に中国南西部で発生したとされ、香港を経由して世界的に大流行し世界で200万人が死亡した。このときは日本でも200万人が感染し5700人が死亡している。 昨日(8月18日)までのところ、香港での感染者数は7561人、死亡は4人となっている。単純に計算するとおよそ0.05%の死亡率だ。ちなみに0.5%の死亡率とすると、香港では38人程度の死亡という計算になる。 アメリカやカナダの状況は、新型インフルエンザの発生初期のものであって、その死亡率を一般的な死亡率として推計することは少々乱暴な気がする。 現在大流行しているオーストラリアでは、死亡率は0.3%程度。日本の状況は患者数の全数をカウントしていないので簡単には計算できないが5000人は超えていると思われる。その患者数に対して、死亡は沖縄の男性1例にすぎない。 死亡率の計算は極めて困難だ。感染して発症すれば患者数にカウントされるが、感染症は感染しても発症しないことが多い。免疫力さえ十分であれば感染してもまったく症状があらわれないか、あるいはきわめて軽い症状でおわり医療機関を訪ねることもない。したがって正確な感染者数を把握する事ができないので、死亡率は統計処理をして推計するしかない。 北半球では10月以降の季節性インフルエンザの流行シーズンに新型インフルエンザが爆発的に流行することが懸念されている。感染者数が増えれば、今後北半球での死亡例も増えてくるだろう。 これまでのところ心臓病や糖尿病など基礎疾患を有する感染者に死亡例が集中しており、健康であればたとえ感染しても軽症ですむものと思われる。新型インフルエンザが強毒化しているとの報告も今のところないので、日頃の健康管理に注意することで、たとえ感染しても重症化は防げるものと考えられる。 日本や香港など平均寿命が高い国や地域は医療体制が整っている。このような場所では当然死亡率も低くなるだろう。問題は途上国だ。アフリカではHIVの感染者が極めて多く、ただでさえ国家存亡の危機にある国もある。そこに新型インフルエンザの流行が重なると、死亡率が著しく高くなることも予想される。途上国での流行は、現在WHOが新型インフルエンザに関して最も懸念していることのひとつだ。 繰り返すが、現在流行中のH1N1新型インフルエンザは基礎疾患を抱える人にリスクが高いことが明らかだ。循環器系の問題は肥満が原因になっていることも多い。新型インフルエンザの本格的な流行が懸念される季節まではまだ時間があるので、問題がある人は今から減量に努めることが大切だろう。

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新型インフルエンザワクチン

世界保健期間(WHO)が6月11日に新型インフルエンザの警戒レベルをフェーズ6に引き上げた段階で、アメリカ政府からの要請で開発をしたワクチンが、世界で最も早く一般への接種を開始できる目処がついた。 新しいワクチンは7月後半に製造が終わり、最終的な臨床試験(治験)を8月に実施して、米保健衛生局の承認を経て出荷される予定だ。 商品名は「セルバパン」。細胞培養法で製造されている。従来の季節性インフルエンザワクチンのように有精卵を培養する方法に比べて、短期間に大量に製造でき、しかも原料の有精卵の供給体制に縛られる事がないなど利点が大きいのが特徴だ。 新しいワクチンはオーストラリアなど各国で開発製造が進められているので秋口にかけて市場に供給されてくる可能性が高い。ただし、アメリカで製造されたものはアメリカ国内で、オーストラリアのものはやはり自国内で優先して供給されるため、輸出にまわされるものを期待することはできない。 香港などワクチンの製造ができない先進地域への供給について、十分な量を回してもらえるものか、若干の不安は残るところだ。日本では4社ほどで開発されており、既に製造の目処はついているが、全国民にとなると無理がある。 たとえ日本で全国民の接種できるワクチン量が確保できたとしても接種を求める人で医療機関が混乱することは目に見えている。 やはり自分自身の免疫力を最大にしておく努力は欠かせない。たとえ感染しても発症しなければよい。発症しなくても体内では免疫反応がおきているので、再度感染しても、例えそのとき体調が悪く免疫力が低下していたとしても、軽くてすむ可能性が大いに期待できる。 季節性インフルエンザの予防接種もすでに開始されている。本格的な流行シーズンには少し早いが、現状を考えると少しでも流行の気配があるとすぐにワクチンの在庫が消えてしまう可能性もある。また豚インフルエンザワクチンの供給がなされた場合もそのワクチンを求めるための混乱も考えておいたほうが良いだろう。季節性インフルエンザに対する個人的な印象ではあるが、季節性インフルエンザのワクチンの効果が次のインフルエンザシーズン中は継続できる可能性が大きいものと考え、早めに接種しておいた方が良さそうだ。

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感染症にかからないために

世界的に感染者の拡大が続いている新型インフルエンザ。真冬にある南半球はもちろんのこと、季節には関係なく感染者がふえており、猛暑の香港でも7月31日には214人の新規患者が確認され、総感染者数は3673人になった。 香港での患者数は人口比では2000人に一人のという計算になる。感染するのは宝くじに当たるくらいの確率?実は感染者はこの何倍もいる可能性がある。現在発表されているのは、あくまでも「感染が確認された数」であって感染しても発症していなければ、あるいはごく軽い症状で本人はもちろんのこと、医療機関にかかってもその可能性を疑われることなく治癒していたら、統計上の数字にはまったく反映されない。つまり新型インフルエンザの感染者は、ごく身近にいてもおかしくはなく、もしかしたら自分自信が既に感染している可能性もある。(症状がなく治癒した場合など) 新型インフルエンザ(H1N1)にはいつ感染しても不思議ではないといっても過言ではない。新型インフルエンザには既にワクチンが開発されている。ウイルスは常に小さな変化がおきているので、これから人への接種が始まるワクチンがどの程度効果があるかは不明な点もある。しかし感染を予防するのにもっとも確実な方法はワクチン接種以外にはない。 ワクチンなしで頼れるのは、自分の体力だけ。体力とは免疫力のこと。感染しても発症しなければ辛い思いをすることなく知らないうちに治癒するばかりか体内には抗体が生まれるため、予防接種以上にそれ以降、同じウイルスに対する感染予防効果が期待できる。 自分の免疫力を数値評価できれば都合が良いがそれは無理なことなので、免疫力を落とさない、あるいは免疫力アップするために良いとされていることを実行するしかない。 免疫の話になると長くなりすぎるので、免疫力を落とさないあるいは増強する方策を紹介しておきたい。 1、ストレスを避けること。(自分に自信を持つこと)  うまくストレスをコントロールできる方法を見つけること。2、睡眠時間の確保。身体を休めること。(過労を避ける!)3、軽い運動をすること。毎日20分くらい連続で歩く時間が  確保できるとよい。4、笑うこと。たとえ作り笑いでも効果あり。  怒らない。5、食事は軽めに。とにかく食べ過ぎないこと。太らないこと。  バランスが取れた食事、栄養摂取は基本。6、飲酒は控えめ、タバコは止めること。 まだ他にもあるだろうが、免疫力を強化することはインフルエンザ予防で、マスクをしたり、手洗いをしたりといった以前の問題である。 余談になるが、免疫力とは「自己と非自己」を区別して、非自己を排除する働きのこと。ウイルスや細菌などの感染時に発揮されるばかりではなくがん細胞に対する攻撃も免疫の極めて重要な働きだ。免疫力を高めること、あるいは落とさないことは、感染症予防に限らず、がんの予防にもつながることである。 

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インフルエンザワクチン

H1N1インフルエンザ騒ぎも一段落、一般市民はすっかり平静になってしまったが、確認された患者数は毎日増加の一途で、沈静化する目処はまったくない。特に真冬のアーストラリアでは、感染者14000人、死亡者41人と報じられており、もっとも影響が強くあらわれている。 オーストラリアでの死亡者は感染確認患者数に対して、約0.3%であって、季節性インフルエンザに比べて決して高いものではない。(感染者は確認者数の数倍?)ちなみに季節性インフルエンザでは、毎年全世界で50万人(日本国内だけで1万人)が死亡しているといわれている。 オーストラリアではH1N1新型インフルエンザに対するワクチンの臨床試験が開始された。成人、小児あわせて600人のボランティアに接種し、安全性を確認した上で10月にも本格供給を開始したい考えだ。 新型インフルエンザワクチンは日本を含めて先進各国で開発されており、北半球の秋から初冬にかけて一般への接種が可能になることが期待されている。もちろん初めから全員分のワクチンの供給は不可能であり、優先順位を決めてからの接種になりそうだ。北半球でも秋以降新型インフルエンザが爆発的に流行することが懸念されており、なんとかワクチン供給が間に合って欲しいものだ。 一方、忘れてはならないのが季節性インフルエンザ対策だ。北半球の次の流行期に向けて製造されたワクチンは、既に出荷がされており、医療機関での接種が可能となっている。 ワクチンはH1N1ブリスベーン、H3N2ブリスベーン、B型ブリスベーンとなっているが、H3N2はウルグアイとされているところもあるようだ。H3N2のブリスベーン型とウルグアイ型はごく近縁のウイルス構造にあたり、特に大きな違いはない。 インフルエンザが流行し始めると、ワクチンが一気に不足することが、特に今年は懸念される。接種を希望する人は早めに済ませておくほうが良いだろう。 新型インフルエンザが特別な変異をしておらず、冷静に対処できる今の時期に、ぜひ体力づくりをしておきたい。体力=免疫力だ。免疫力さえ正常に保たれていれば、たとえ感染しても発症しない、あるいは軽い症状ですむ可能性が高い。言い古されていることではあるが、栄養、休養(睡眠)、運動が免疫力を落とさないために効果的とされる。 暴飲暴食、睡眠不足あるいは過度のストレス、運動不足は免疫力を低下させる。つまり日頃健康維持に必要なこととされている事が、結局は免疫力を正常に保つための条件に重なるわけだ。 予防接種、特に季節性インフルエンザに対する予防接種は期待された効果が得られない可能性もある。やはり免疫力を高めておく事がもっとも大切な予防法となる。

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熱中症に注意

先週末は日差しが強く、湿度も高かったためにハイカーなどに熱中症患者が続出している。屋内で睡眠中に急死した症例も出ている。 熱中症は熱失神、熱疲労、熱痙攣、熱射病(日射病)というように、その病態から4種類に分類できる。 熱失神炎天下での運動でおきやすいが、室内でも高温に多湿が加わることで発症する。大量の発汗と末梢血管の拡張による血液の循環量減少が原因。意識を突然失うが、体温の上昇は認められないことが多い。水分補給が必要であるが意識がないので輸液しなければならず、直ちに医療機関への搬送が求められる。救急隊が到着するまでのあいだ、できる限り冷却する。 熱疲労大量の発汗があるにもかかわらず、水分や塩分の補給が十分でなかったときに発症する。体温は上昇するが、皮膚表面は冷たく感じることもある。日陰で寝かせて着衣を緩め、扇いで冷却する。少しずつでも構わないので水分の補給を行なうと共に塩分も与える。 熱痙攣発汗とともにナトリウムなどの電解質も失う。大量に発汗するとそれだけ多くの電解質を失うが、水分だけを大量に補給していると血液に電解質異常をきたし、筋肉に痙攣や硬直がおきる。食塩水を与えるが、もちろんスポーツ飲料でも可。失われた電解質を迅速に補給することが大切。 熱射病高温下での運動や作業は身体に様々な影響を及ぼすが温熱中枢まで障害されると体温調節が不能となってしまう。体温は40度以上に達するにもかかわらず発汗が止まり皮膚は乾燥する。危険な状態であり直ちに病院への搬送が求められる。もちろん救急隊員が到着するまでの間は、あらゆる手段を講じて患者の体温を下げるように努力すること。 熱中症の予防(特に運動時)のどが渇いたときには脱水が始まっているので、我慢せず水分を補給する。同時に塩分の補給をした方が良い。梅干はクエン酸を多く含むので疲労回復にもなり一石二鳥だ。スポーツドリンクは意外に多くの糖分を含み、かえって喉が乾く。極薄い塩水(0.9%)を用意するのが一番かもしれない。山歩きなどでは途中で飲み物を調達できないことが多いので、あらかじめ十分な水分を準備しておくこと。この場合あまりにも冷たいと胃痙攣を起こすこともあるので、氷水のようなものは一気飲みを避けること。山歩きにかぎらず運動時には扇子を持っていたい。休憩時に体を冷やすのに便利であるが、熱中症患者が出た場合に、患者の体を冷やすのにとても効率が良い。 熱中症患者が出てしまったら、とにかく患者の身体を冷やすこと。日陰に移動し、着衣を緩めて全身に水をかける。様子を見て、躊躇せずに救急車を呼ぶこと。熱中症患者、あるいはその可能性がある症状を訴えた人がいたら、一緒に行動しているほかのメンバーにも同様に身体的負担がかかっているはずなので、ただちに運動を中止することが望ましい。ハイキング中であればコースを最短のものに切り替えるべきだ。 睡眠不足や運動前夜の深酒も熱中症を誘引する。また下痢をしている場合はもちろんであるが、回復直後でも、すでに脱水が起きている可能性があるので暑い時期の運動には不適だ。 夏のレジャーと熱中症は背中合わせ。運動時の熱中症対策は当然として、日頃の体調管理にも十分に心がけておきたい。事故だけは絶対に起こしてはいけない! 熱中症は屋外でおきるものと思いがちだが、実は自宅で起きることも珍しいことではない。老人や赤ん坊などは体温調節機能が劣っているので、特に注意が必要だ。室温の管理はもちろんだが、水分の補給なども忘れてはいけない。

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WHO、インフルエンザ流行フェーズ6発令か

4月下旬に、メキシコで多くの感染者が認められ、さらに多数の死者が出ていることが公表された豚由来の新型インフルエンザは、その後アメリカやカナダにも急速に感染拡大した。対岸の火事ととらえていたわけではないが、日本への侵入は水際で防ぐとして検疫体制を強化したものの間もなく飛び火して関西地方で患者が発生した。その後、短期間のうちに多くの感染者が確認され、現在もその数が日々増えている状況だ。福岡でも、やはり小中学生を中心に感染が急拡大しているが、こちらは患者に海外渡航歴はなく、最初の感染が何故始まったのか今のところ確認されていない。 日本での感染拡大の理由は議論されるところではあるが、当初、海外渡航暦がなければ症状が出ていても見逃されていたということも問題になっている。そもそも検疫で感染拡大が阻止できるかのように考えられていたことが現実的ではなかったわけで、今後もさらに感染拡大が続くことは間違いない。 さて、新型インフルエンザの流行状況に応じて発令される「フェーズ」が早ければ今晩にも大流行を表す『6』に引き上げられる可能性がある。フェーズ6への引き上げは5月中旬から議論されてきたが、これまで日本を含む各国の反対で発令できない状況にあったが、感染がさらに世界的に拡大していることから、これまで反対してきた国々にとっても自国の感染拡大でフェーズ引き上げになったと見られるような状況ではなくなった安心感から、フェーズ引き上げに従来のような反対姿勢をとることはないだろう。 フェーズ6になったからといって、即座に新型インフルエンザ流行が深刻な状況を迎えるというわけではけっしてない。これまでの流行が継続するだけだが、もちろん世界の感染者数は増え続け、それに伴い死亡者数も確実に増えていく。しかし過度に心配することはなく、もちろん過剰に反応する必要も一切ないだろう。従来どおりのインフルエンザ対策で十分だ。 日本では、季節性インフルエンザで毎年1万人が死亡していると推計されており、全世界では50万人がその犠牲になっている。その事実からすると、今回の新型インフルエンザは恐れるに足るものではなく、冷静に対処するべきものである。季節性インフルエンザへの注意を呼びかけてもほとんど反応がないことと、H1N1新型インフルエンザに対してはマスクが売り切れるほどまでにパニック的な行動に走ることは極めて矛盾している。 間もなくフェーズ6が発表される。あわてることなく冷静に対応することが求められるだろう。

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マスク観察

新型肺炎SARSが流行したころを香港で過ごしていた人は、今ではかなり減ってしまったことだろう。当時、香港はまるで病窟のように思われ、香港から日本への帰国を止めさせられたり、やむを得ない場合は帰国後10日間の自宅待機が命じられたりしたものだ。持病の検査で帰国した人は、マスクをして病院の裏口から院内に入るように指示されたという。多くの人が理不尽な扱いを受け、不愉快にさせられたものだ。日本のテレビでは、「悲惨さが伝わる映像」が好んで報道に使われていたため、実際に香港に住んで生活している者と、日本でかたちづくられたイメージとのギャップが大きく、それが仕事はもちろんのこと、プライベートにまで影響したものだった。 さて、今度は豚由来の新型インフルエンザだ。あれよあれよという間に世界第4位の患者数を記録した日本。「厳格な」検疫を実施していたはずなのにいつの間にかウイルスは国内に侵入していた。国内で疑い例にあげる条件として、海外渡航歴があることが条件だったので、国内感染事例を逃してしまい、これが感染拡大につながった大きな理由だという報道に驚き、呆れてしまった。今や日本が「危険な国」になり、SARSの時とは立場が完全に逆転してしまった。 そんな日本の状況を自分の目で観察する機会を得た。身内の結婚式で帰国し、東京、横浜で過ごしたが、移動中にさまざまなマスク姿を観察することができた。今回は医療情報ではないが、マスクがどのように使われているのかを報告したい。 まずは、香港から成田に向う機内。満席の機内には思っていたほどマスク姿はいない。それでも日本人と思われる乗客が、5人に一人くらいの割合でマスクを着用して搭乗している。それでも全体からすればごく少数派だ。搭乗前に早速マスクをつける姿も何人か目にしたが、離陸後、飲物が運ばれてきたら隣の日本人はマスクをはずして飲んで、そして飲み終わったらまたマスクをした。次に食事だ。やはりマスクをはずして食事している。そして、食後にまた同じマスクをつけている。マスクを触っているその手にウイルスがべっとり付いているかもしれない。手が最も汚い部分だという認識はなさそうだ。もしマスクの内側、つまり口が当たる部分に触れたら、もう感染の可能性は十分考えられる。 SARSの時に飛行機に乗ったが、あの時の台湾の航空会社は非常に厳しかった。マスクは強制着用。しかも機内食は出てこない。代わりに配られたのはカステラとペットボトルの水。機内では食べないようにとの注意もあり、乗客はほとんど話もせずにただじっと座っていた。ちょっと不気味だったが、機内ではマスクを外させないようにしていたのだ。 東京についた翌日、薬局では早くもマスクが売り切れ。入荷したら5分で完売ということも珍しくなかったようだ。どうやら前日東京で感染者が見つかったことから、慌ててマスクを買いに走ったのだろう。これじゃあ、まるで石油危機の時のトイレットペーパー騒ぎだ。テレビをつけると、マスクが手に入らないのなら自分で作ろうということで、専門家の指導のもと、キッチンペーパーを使ったマスクづくりが紹介されていた。そこまでする人はいないよ、と思いながら見ていたが、翌日、横浜への移動中の電車内で手製のマスクを見る機会を得た。目の前の子供がガーゼマスクをしている。ガーゼマスクで間に合わせたんだと思って親を見ると、なんと自家製のマスクをしているではないか。まさかとは思いながらもじっくり観察してしまった。父親のマスクは布製。たぶん奥さんが縫ったのだと思うが、耳にかけるのはゴムではなく、ただの木綿糸だった。もちろんブカブカで「マスク」は完全に浮いてしまい、下を向くともはや隙間ではなく、マスクは顔面から離れてしまっている。症状がある感染者なら周囲に感染を広げないために、これでも効果が期待できると思うが、自分の感染予防ということであれば、効果はまったくゼロだ。ガーゼマスクの子供は、気になるのかしきりにマスクを触っていた。その手が汚いんだけどなあ・・・。 東京の山手線内。向かいの7人掛けにマスク姿が3人。一人は不完全装着。顔にフィットしていないので、マスクをする意味なし。別の女性は、きっちり着けている。これなら大丈夫だと思った矢先のこと、彼女はマスクをはずしてハンカチで汗をぬぐっている。東京はこの日、30度近くまで気温が上がってとても暑く、マスクをしているとかなり汗をかくことは間違いない。しかしその汗をぬぐうハンカチ。手洗いせずに触れているそのハンカチもたぶん「汚染」されている。このようにマスクをはずして汗をぬぐう姿は、この日とても良く目にしたが、これもマスクをしている意味がなくなる行為だ。もう一人は、化粧が崩れるのを嫌ってか、ふわっと着用している。これでは意味がない。鼻の脇、頬、そしてあごにも隙間ができている。感染しないためにマスクをしていると本人は思っているのだろうが、やはりマスクの意味がない。この「ふわっと着用」は女性ではとても目立った。 夜、ホテル近くをブラブラして、食事できるところを探していた時のこと。大学生くらいのカップルが目に入った。男性はマスクをしていて、マスクをしていない女性にマスクを着けてあげていた。これから地下鉄に乗るらしいので、そこでマスクをつけるのは問題ない。しかし、しかしだ。二人はマスク越しにキスしている。おいおいおい、それはないだろうが。思わず声を上げそうになってしまったが、とても滑稽な光景だ。誤解がないように言い訳しておくが、一連の光景は5秒くらいのごく短い間の出来事で、別に好んでそのカップルをじっと観察していたわけではない。 マスクの着用は、感染者からの病原体が周囲に飛び散って感染を拡大させないことが最も大きな目的であるはずだ。自分自身が感染を逃れるための道具として過大に期待してはいけない。「した方がまし」と考えていて十分だ。今は用途を勘違いし、マスクさえつけていれば感染を免れると思って一生懸命マスクをつけているのが現状のようだ。 幸いH1N1新型ウイルスは弱毒型で、通常の季節性インフルエンザと同等のものだとする専門家意見が大勢を占めている。今回は予行演習と思っていても良いだろう。次に来るであろう本当に怖いH5N1型インフルエンザはまだ人類にどんな被害をもたらすのかわからない。それに備えて正しい「感染予防策」を身につけておきたいものだ。

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マスク、うがい、手洗いの効果

日本では、特に関西地方でマスク姿が非常に目立つようになってきた。とにかく誰もがマスク着用をするようになってきており、企業や公的機関においてもマスク着用を義務付けるところが急増している。 しかし、マスクによる自身の感染予防の効果は科学的に認められていないといってもよく、感染予防のためだと思ってマスクを着用している人が、それを過信するが故にかえって危険だという議論もあるほどだ。 WHOはもちろんのこと日本の厚労省でも、マスクは咳やくしゃみといった症状がある人が、「咳エチケット」として着用するべきものであるとして、一般の人の着用を特に勧めているわけではない。 うがいも日本人にとっては大変身近な感染予防法だが、これは日本だけのことで、その効果が科学的に証明された文献は見当たらないようだ。ちなみにうがいは「鵜飼い」からきている。鵜飼いの鵜が魚を飲み込もうとするときの仕草に似ているところから「うがい」と呼ばれるようになったそうだ。 ウイルスの侵入経路は鼻、目、そして口だが、一旦侵入したウイルスはごく短時間のうちに細胞内に入り込んでしまう。外出から帰ったときにうがいしても、すでに「手遅れ」だ。うがいが効果的であるなら、鼻も洗浄したいところ。鼻洗浄は、食塩水を片方の鼻から吸い込み、口から出すというもので、慣れないとちょっと難しいかもしれないが、このほうが単にうがいをするよりも効果があるのではないだろうか。いずれにしても効果の程に対してはエビデンスがない。うがいの効果が専門家も含めて広く信じられていることは不思議だ。 最後に手洗いであるが、実は、手洗いが最も感染予防に効果的であるとのことはWHOも認めること。外出後はもちろん、機会あるごとに頻繁に手洗いすることが、インフルエンザに限らず多くの感染症の感染予防につながることは医学的に証明されている。 先日見ていた日本のテレビニュースのなかで、手洗いの具体的な方法が大学の先生の指導によって紹介されていた。指先や爪の間、指の一本一本まで入念に洗って、最後手首まで洗った後、水を止めずに先に手を拭き、手を拭いたその紙タオルを使って蛇口を閉めるように指導していた。まったくいい加減にして欲しいものだ。そこまでしないと新型インフルエンザウイルスを洗浄できないのかと恐怖心を植えつけるだけのものになっており、その報道姿勢に腹立たしさをも覚えたものだ。 手からの感染は、その手を口や鼻、あるいは目に知らず知らずに持っていってしまうからであって、最も注意しなければいけないのは指先の洗浄であるはず。手術の執刀医が手洗いするわけではない。一般生活の中での手洗いであることが大前提であるはずだ。 最後にWHO(世界保健機関)が公に提唱している流行時の感染予防法を紹介したい。  1、症状がある人から最低1m以上離れる。 2、口や鼻を触らない。 3、手を石鹸と水で頻繁に洗うこと。 4、人ごみにいる時間をできる限り短くすること。 5、部屋をよく換気すること。 うがいはもちろんのこと、マスクの着用にも触れられていない。

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日本国内で新型インフル感染拡大

関西地方での新型インフルエンザの患者数が急増しており、これまでに96人の感染者が確認されている。感染者は高校生に集中しており、学校での集団生活や若者のライフスタイルも感染を広げている原因ではないかと専門家は見ているようだ。 これま日本へのウイルス侵入を断固阻止しようと空港や港での検疫体制を強化してきたが、チェック体制をすり抜けて既に国内にウイルスが侵入していることが明らかとなった以上、これまでの検疫体制を見直す必要が出てきたのではないだろうか。 メキシコや米国などこれまでに感染拡大が認められていた国からの航空便、船舶の乗客乗員に対して、機内(船内)検疫を行なってきたが、防護服に身を固めた職員が発熱患者などの発見に向かう姿は物々しく、恐怖心を煽ってきたようにも思う。一般の人に対して、H1N1インフルエンザに対して何かとんでもない恐ろしい病気のような意識を植えつけてきたことは間違いなく、感染した高校生や学校などに言われなき誹謗や中傷、差別が投げかけられた原因になっているのではないだろうか。 その検疫体制も感染拡大とともに対応が困難になりつつあり機能不全寸前の状態だそうだ。病院に設けられている発熱外来も、関西地方を中心に受け入れ体制が間に合わなくなってきており、このままでは一般の診療にも支障が出てしまうという。 今回問題となっている新型インフルエンザは、感染力はそれなりに強いようだが、毒性は季節性インフルエンザとほぼ同じ程度であることが既に明らかになっている。そろそろ季節性インフルエンザと同じ扱いにしても良いのではないだろうか。 現在、感染者が出た自治体では、該当の学校に限らず、市内のすべての学校を休校にするなどの措置がとられているが、明らかに過剰反応だ。北九州市の学校では、関西地方への修学旅行から帰った生徒の登校停止を求めている。学校が無知であるのか、あるいは万一感染者が出た場合の糾弾を恐れてのことなのか、いずれにしてもまったく馬鹿げた話だ。季節性インフルエンザと同等の扱いにするのであれば学校閉鎖はもちろんこと学級閉鎖にも該当しない。修学旅行を中止したり、帰ってきた生徒を登校させないなどという措置がとられるはずもないだろう。イベントの中止も相次いであるが、冷静に対応するべきだ。 季節性インフルエンザでは、日本国内だけで毎年数百人から千人、見方によれば1万人もの死者を出していると推計されており、全世界では毎年数十万人がその犠牲になっているという。それにもかかわらず季節性インフルエンザに対して、我々は今回の新型インフルエンザのような認識を持っているわけではない。H1N1新型インフルエンザに対して騒ぐのであれば、毎年インフルエンザ患者が増える冬季には、パニックが起きてもおかしくはない。 関西地方では多くの人がマスクを使用しているが、皆どのような意識で着用しているのか?たぶん全員が自分が感染しない手段としてマスクを着用しているのだろうが、その効果の程は「しないより、したほうがまし」程度。それよりもマスクは感染者からのウイルスの排泄を防ぐという意味合いの方が大きい。感染したら周囲の目が怖いという気持ちが大きくはないだろうか。 どんなに感染を防御しようとしても、感染を確実に予防することはできない。マスクも手洗いも、そしてウガイもだ。もちろんインフルエンザに限らない基本的な衛生管理としてはこれらは有効であるが、感染しても発症しない免疫力を維持することがとても大切だ。 感染者はこれからも増え続ける。米国では10万人に達するだろうという専門家の見方もある。(季節性インフルエンザの患者数は米国内だけで毎年2000万人!)WHOも間もなくフェーズ6への格上げをすることだろう。フェーズ6は人から人に持続的に感染が拡大していることを意味するだけで、その毒性などを考慮したものではない。季節性インフルエンザも、流行シーズンはパンデミックといえフェーズ6に該当する。H1N1新型インフルエンザに対しては、そろそろ扱いを季節性インフルエンザと同じにするべきだろう。