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熱中症対策

7月から猛暑続きの日本では、連日のように熱中症関連のニュースを目にする。毎年20人前後で推移していた熱中症による死亡例は、この7月だけで100人近くに達しているというから、今年の日本は異常である。地球温暖化による気候変動を指摘する向きもあるが、根本的な熱中症対策が求められるのではないだろうか。 熱中症が多発する以前に「水中毒」なるものが紹介されていた。毎年2~3月に開催される東京マラソンで「水中毒」で倒れて途中棄権する選手が後を絶たないという。脱水を防ぐことを意識して、十分な水分摂取を心がけていて発症している。これは水だけを大量摂取していると、汗とともに排泄されてしまう血液中の電解質(主にナトリウム)の濃度が急激に低下して意識障害にまで至るものだ。水中毒も熱中症の一種と考えられる。 これまで熱中症対策として、水分の摂取がうたわれてきたが水分だけでは駄目で、意識的に塩分摂取を心がけることが重要であることがやっと周知されるようになってきた。運動時に足がけいれんしてしまったという経験がある人は少なくないと思うが、この多くは血液中の電解質異常が原因であると思われる。少し休んでいると回復することが多いので対策もなく運動を続けていると、そのうち意識を失い、最悪の場合は死亡する。 塩分摂取に関しては、血圧との関係で摂取を控えることばかりが強調されてきた。熱中症で病院に搬送されたり、死亡したりするのは65歳以上の高齢者に多い。高血圧治療のために医師の指示を守り一生懸命塩分を控えた食生活を送っている人も少なくないだろう。日本高血圧学会の指針では、成人における一日の塩分摂取目標は、男性で10g、女性で8gまでとしており、さらに高血圧症の場合は6g未満にするように「一律」に求めている。一般の人に難しい面倒な話にならないように、単純化した目標でないといけないという議論もあるかもしれないが、少し乱暴ではないかと常々思ってきた。汗をかく、つまり電解質を失いやすい夏場も、反対に排泄される電解質が少ない寒い季節も、どちらも同じ塩分摂取量で良いという話はないだろう。熱中症で倒れた高齢者の中に、医者から指示された塩分摂取を控えることを、忠実に守っていた人もあるはずだ。 運動時の積極的な塩分摂取はとても大切だ。通常の汗の成分は塩化ナトリウム、つまり塩を0.65%含む。ところが運動時に大量発汗するときは0.9%くらいにその濃度が上昇する。汗腺でつくられた汗は体外に分泌(排泄)されるまでの導管部分で塩分の再吸収が行われるが、大量に汗をかくときは再吸収が間に合わなくなって、血液中の塩分濃度とほど同じ濃さの塩分を排泄してしまう。特に運動時の塩分摂取が重要であるという理由だ。夏のハイキング中など、2リットル程度の水を飲むことは珍しくないが、単純に考えるとこれで18gもの塩分を失ってしまうことになる。一日の塩分摂取目標のほぼ倍量を失うわけだ。特に夏場の運動時における安全確保のためには、水分摂取と塩分摂取は車の両輪といえるだろう。 最後に、梅干しの効用を・・・一時は塩分の多さから控えられたこともあった梅干しではあるが日本の伝統食品として極めて優れているものだ。疲労回復効果大量に含まれるクエン酸などの有機酸は、疲労物質の乳酸を分解する能力にたけている。殺菌作用特にクエン酸の作用により、強力な殺菌作用を発揮する。昔から弁当には梅干しが付き物だったのも、その腐敗を防ぐという知恵からだ。(おにぎりなどには練り込んでしまった方が良い)塩分梅干しに含まれる塩分濃度は10~20%。大粒のものであれば可食部分が10gほどある。昔ながらのしょっぱい梅干しを1個食べれば、1~2gの塩分摂取になる計算だ。日中大量発汗しているハイキング時などは、1日5~10個食べても塩分の摂取過剰にはならない。もちろんそのほかの食品からの塩分摂取もあるので、その点を割り引いて考える必要はある。 「朝の梅干しは一日の難逃れ」というそうだ。梅干しは健康食品として扱われるが、特に夏の運動時には積極的に食べたほうが良さそうだ。もちろん「酸っぱい」「しょっぱい」梅干しが良く、最近はやりの食べやすく加工した「調味梅干し」ではそれほどの効果は期待できない。

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シガテラ中毒

時々発生を聞くシガテラ中毒であるが、先日も香港で4名の患者が発生したことが報道された。 シガテラ中毒は、サンゴ礁に棲む大型の魚を食べた時におきるものであるが、この中毒では、原因となる魚がもともと毒素を持っているわけではない。サンゴ礁がある海域に毒素を持つプランクトンが発生し、これを小さな魚が食べる。さらにこの小魚を中型の魚が食べ、さらに大きな魚にこの中型魚が食べられるという食物連鎖の中で、体内の毒素が濃縮していく。重さ2kg以上の魚が危険性が高いといわれ、サンゴ礁に生息する魚、たとえばガルーパなどを食べるときは、一度にたくさん食べることは避けるよう注意が出されている。 シガテラ中毒の毒素はシガトキシンと呼ばれるものでプランクトンの一種鞭毛藻が持っている。死ぬほどの毒素ではないが、下痢やおう吐などの腹部症状に加え、手足の痛みや神経症を伴うのが特徴で、回復には時間がかかることも少なくない。冷たいのもに触れたときに、やけどした時のようなピリピリした痛みを感じるドライアイスセンセーションという感覚異常も、シガテラ中毒に認められる特徴的な症状だ。この症状が完全に回復するには数か月も要することもあるから厄介だ。 香港ではレストランで出される高級魚の多くは熱帯のサンゴ礁を棲み家としているものが多く、このような魚を一度にたくさん食べてしまうことは、中毒の危険性が大きくなる。大きな高級魚がテーブルに乗ると豪華ではあるが、大きな魚ほど中毒の危険性が高いと見ておいて間違いない。ほとんど食べるところではないが、内臓には大量に毒素が蓄積されているので特に危険性が高いと言える。

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中毒情報

日本の厚労省は今月16日に最新食中毒発生状況について公表した。(2010年1月から5月)http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html 気温が低い時期の食中毒はノロウイルスによるものが圧倒的に多いが、気温が高くなるにつれて細菌性食中毒の割合が増えているのが良くわかる。昨年の統計をみても同じ傾向に変わりはない。 ノロウイルスの最大の感染源は魚介類と言われるがその多くはカキを代表とする二枚貝だ。日本のカキ養殖業者は無菌化処理を行うなど安全性確保に努めてはいるものの、ノロウイルス フリーにすることは難しい。また一旦感染者が現れると、その強い感染力で周囲に感染を拡大する恐れがあることもノロウイルスの特徴だ。下痢便やおう吐物に大量に含まれるウイルスが室内に浮遊するようなことにもなるため、空気感染様の感染拡大を起こすことも稀ではなく、時として多数の感染者を出すことになる。ノロウイルスによる食中毒を予防するには食品を十分加熱するしかない。生カキを食べる場合は、少なくとも体調が悪い時は避けた方が良い。もちろん食品を扱う人は手洗いの励行が必要であることは言うまでもないことだ。感染者の介護に際しては、二次感染に十分注意することが必要で、おう吐物などの処理は必ずゴム手袋の着用が必要だ。 一方、気温の上昇とともに感染者が増える細菌性食中毒は、これからの季節に十分な注意が求められる。なかでも最近注目されているのが、カンピロバクター。動物の消化管内に棲息している細菌で、人には特に鶏肉からの感染が多い。鳥刺しが危険であることは言うまでもないが、親子丼などに使われる鶏肉の不完全加熱でも感染の危険が生じる。余談であるが親子丼は卵の加熱不足が原因となるサルモネラ中毒の危険性が指摘されているメニューだ。 細菌性食中毒予防で重要なのは保存と加熱だ。保存期間が長くなれば細菌は増殖する。冷蔵庫に入れていても過信は禁物。細菌増殖の余地を与えないように、なるべく早く消費(喫食)することが基本だ。ノロウイルスは保存していても増えることはないが細菌は確実に増殖を繰り返す。また食中毒菌は腐敗菌とは違うので、食品の安全性を臭いで判断することはまったくできない。ノロウイルスを含めて、加熱処理が最も効果的な食中毒予防となるが、黄色ブドウ球菌の毒素のように加熱しても無毒化されないものもある。 食中毒予防三原則を守ることが大切。 1、食中毒菌をつけない  清潔を保つこと。手洗い。生ものと他の食品が触れないようにする。2、食中毒菌を増やさない  食品購入後は迅速に持ち帰り、低温管理する。  5度以下の低温保存が望ましい。  加熱された食品であれば65度以上の高温保存。  喫食までの時間をなるべく短くする。3、食中毒菌を殺す。  中心温度75度、1分以上が規準。 どんなに注意していても完全に食中毒の危険性を回避することは不可能だ。調理者の日常の衛生管理が必要であることはもちろん、体調が悪い時に危険だと言われる食品(生かき、生卵、レバーを含む生肉など)には手を出さないことが基本だ。

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HIV感染者数統計(香港)

今年第一四半期におけるHIV感染者数と新規AIDS患者数が公表された。香港での新たな感染者数は101人。感染から発症までの年数は人によって大きな幅があるものの、積極的な治療を受けないでいると、およそ半数の感染者がAIDS患者となる。今年第一四半期の新規患者数は19名だ。 ちなみに1984年以来の香港での総感染者数は4544人、AIDS患者は1125人となっている。 新規感染者101人の性別は、男性75人、女性26人。感染経路としては・・・20人 異性間性交渉41人 両性間性交渉4人  薬物使用1人  母子感染35人 感染経路不明 またこれまでに確認された総患者数1125人のうち異性間性交渉が原因となったのは42%である。かつてHIV感染者は男性同性愛者に特殊な病気であると思われていた時代もあるが、今では異性間での感染もほぼ同じ数あるものと考えられている。特殊ではあるが、麻薬の回し打ちも感染経路として重要だ。 1990年代、香港から海路広東省に港から入境する外国人に対し、一定の条件(過去の渡航回数や滞在日数など)以上の該当者に対して無作為に抽出してHIV検査をすると通達が出たことがあった。検査されることよりも、採血されるリスク(注射針の使い回し)を考えて日系企業の中には、出張時に検査されることになったら検査を受けずに、その時点で出張を取りやめるよう社員に指示を出したところもあった。特に中央政府の方針でもなく、また検査自体も、結果を当時の先進国の検査技術水準では考えられない10分以内で出せるとするなど、出てくる結果にも信頼性が極めて疑わしいものであったため、その対応に一時振り回されたものだ。その後、いつの間にかそのような検査もしなくなってしまった。(実際に検査していたのかどうかも判らないが…)、当時は中国内のAIDS問題など論じられることは一切なかった。 ところが、2000年ごろからシンセン市や広東省でHIV感染者についての具体的な数が公表されるようになり、ある時は感染の危険性が、ある風俗産業まで具体的に紹介するなど、政府のエイズに対するとらえ方が大きく変化している。かつては自国の恥部ともいえる問題には一切触れることがなかった中国が、これだけ方向転換しているということは、おそらく政府としてその危険性あるいは問題を、危機感を持ってとらえているものと思われる。中国国内でのエイズ問題がそれだけ深刻になっていることのあらわれだろう。おそらく中国国内のHIV感染者数は、検査を受けていない感染者を含めると、相当な数になるのではないだろうか。

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新型インフルエンザ情報

豚由来の新型インフルエンザに関して、WHO(世界保健機関)では流行の「最盛期」を越えたとの声明を発表した。ただし、これから冬期を迎える南半球の状況を見なければこのまま終息するのか判断がつかないため、警戒レベルは最高度のフェーズ6に据え置いたままとするという。終息宣言はしばらく先になりそうだ。 6月1日に開催された「新型インフルエンザに関する専門家緊急委員会」では、感染が目立つ熱帯地方のうち、カリブ海、東南アジアでは流行が弱く、散発的な発生に留まっているとし、さらにこれから冬に向かう南半球の温帯地方でも感染の拡大は起きていないことを確認している。しかし、昨年の例を見ると、南半球では秋以降の気温低下に伴って流行が急拡大しており、今の時期は流行状況を注意深く見守る必要がある。 おそらく比較的近い時期に、豚由来新型インフルエンザ流行の終息が宣言されることになるだろう。しかし、これで安心してはいけない。今回の新型インフルエンザは結果的に弱毒であり、対策に過剰反応していたものの人類に大きな混乱を招くこともなかった。今回の新型インフルエンザは、本当に深刻な問題になる可能性が大きい「鳥由来新型インフルエンザH5N1」に対する予行演習であったような気がするのは私だけだろうか。 H5N1新型インフルエンザは、現在特にエジプトで散発的な発生を見る。インドネシアなどでも患者が出ているが、なぜかエジプトに局在している。ハト料理で有名なエジプトでのことなので、鳥(ハト)と直接接触する機会が多いことも、患者発生が多い理由ではないかと漠然と考えているが、本当の原因は定かではない。 原因がわからないことでは、豚インフルエンザ流行が続いていた北半球の冬の季節(昨年11月から今年3月)に、季節性インフルエンザの流行がほとんど見られなかった。毎年流行を繰り返していたA香港型インフルエンザ(H3N2)の患者発生が極端に少なかったことは専門家の間での大きな疑問になっており、今でもその理由は解明されていない。日本では季節性インフルエンザによって毎年1万人が亡くなると言われているが、これがほとんどなかったことになる。新型インフルエンザを恐れて、政府はもちろん個人までもが対策に躍起になっていたが、その死者は日本では約200人にしか過ぎなかった。昨シーズンにおけるインフルエンザによる死亡者数は激減していることは間違いなく、この点だけを見れば、豚由来の新型インフルエンザは人類に恩恵となっているという見方もできないわけではない。歴史的な新型インフルエンザ流行でも同様の現象がおきていたらしい。たいへん興味深い現象であるが、だからと言って近い将来に起きるであろう次の新型インフルエンザ(H5N1)でも同じことが起きるとは限らない。今回の新型インフルエンザに際しては、結果的に季節性インフルエンザによる死亡者数が激減したというだけであってこのことを理由に新型インフルエンザに対する警戒を緩めても良いとの議論には、もちろんならない。 豚由来の新型インフルエンザの危機はほぼ去ったといえる。しかしこれを教訓にして、「次」に備える道筋をしっかりつくって欲しいものである。個人レベルでは日常の健康管理、衛生管理を怠ってはいけない。

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手足口病

自分の子供から手足口病に感染したと思われる35歳の看護師が、その合併症で死亡したことが公表された。この看護師の娘が通う幼稚園では、14日間の休園を決定している。 またKowloonの小学校でも、10歳の学童が手足口病による脳髄膜炎で重体に陥っていることから、14日間休校することを発表している。 香港では今年に入って手足口病の患者は32件確認されており、そのうち3件は重体例だ。この数字は昨年同期に比べて1件多いだけであり、今年の状況が特別とはいえない。しかし今年は集団発生が目立つことや、成人患者が死亡していることなどから、ウイルスの変異が心配されている。今のところ香港衛生署ではウイルスの変異に関しては否定的だ。 手足口病は、口腔粘膜や四肢末端に現れる水泡発疹を特徴とするウイルス性疾患であり、流行の中心は幼児だ。患者の発生は世界中で認められ、決して珍しくはなくしかも症状が軽いウイルス性疾患であるとの認識であったが、1990年代後半から台湾や中国での死亡例が目立つようになってきている。日本でも1997年に死亡例あるいは重篤な神経症状を合併した症例が複数報告されている。 手足口病をおこすウイルスは単独ではないが、もっとも注意が必要なのはエンテロウイルス71(EV71)である。感染経路は経口、飛沫、接触と様々で、身近に患者がいた場合には、非常に感染しやすいと言える。潜伏期間は4~5日くらい。効果的な抗ウイルス薬やワクチンが開発されておらず積極的な治療、予防は行えない。多くのエンテロウイルスに共通して言えることだが、症状が消失しても3~4週間は糞便中にウイルスが排泄されることがあるので、回復したからといってもしばらくは周囲への感染拡大に対して注意が必要となる。 回復後もウイルスの排せつが長期間続くことから、手足口病への対応として、感染した子供の登園・登校を中止するだけでは意味がないというのが専門家の見解である。本来は軽い病気であるということから、これまでは積極的な感染拡大予防がなされていなかった。死亡例が目立ってきたので、厳しい対応をとるケースが出てきたと言える。 感染しても症状が出ないこともあり、成人は子供のころに知らずに感染して抗体を持っていることが多い。ただし同様のウイルスは複数あることから、あるウイルスの抗体を持っていても、もちろん他のウイルスには無効で感染のリスクは残ることになる。今回の死亡した患者の場合がこれにあたる。重症化することは稀であるものの、髄膜炎の症状である頭痛、けいれん、吐き気といったものには要注意だ。 確実な予防法はないが、経口感染することから手をしっかり洗うことが大切。SARSやインフルエンザでも同じ。手洗いは感染症予防の基本行動であることを忘れてはいけない。

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ホタテによる貝中毒

本日の報道によると、今月14日と16日の両日、17名がホタテ貝を喫食した後、麻痺性貝毒の症状を訴えていることが衛生署より公表された。 患者は、おう吐や腹痛といった食中毒症状に加えて舌や口の痺れ、視力障害など麻痺性貝毒特有の症状も発現している。ただし一人が入院しただけで、他の患者の症状は比較的軽くすんでいる。 有毒プランクトンを捕食した貝類は、その内臓の中腸腺に毒素をため込んでしまう。暖かくなるとこの有毒プランクトンが大量発生することがあり、特に貝類が毒化しやすいと言われている。ホタテ貝の場合、中腸腺を除いて食べれば確実に中毒を防ぐことができるが、アサリなど小型の貝類では取り除くことができないため中毒を起こしやすい。同様の貝毒では、1940年代に百数十名(資料によって死亡者数が違う)もの死者を出した、浜名湖アサリ中毒事件が特に有名だ。 ホタテ貝の中腸腺は、貝柱の横にある小指の頭大の黒っぽい袋状の塊なのでわかりやすい。今回香港でおきた中毒事件は、複数の街市で購入されたホタテ貝が原因であるが、鮮魚店での処理が不完全であった可能性が極めて大きい。街市でホタテ貝を買う場合はもちろん、スーパーなどで開いて売っているホタテもこの中腸腺が確実に除かれていることを確認したい。 日本では貝毒の検査を常に行っており、規準以上の貝毒が検出されると、その海域から水揚げされるホタテが完全に出荷停止となるため、ホタテはもちろんのことアサリなどでも中毒は起きにくくなっている。しかし潮干狩りで収穫された完全に天然のアサリはまったく監視されていないため、今でも時々中毒が発生している。海水温が高いこれからのシーズンは特に注意が必要になる。 貝毒には、毒素の違いで今回のような麻痺性貝毒と下痢性貝毒の2種類がある。毒素は熱に強く、加熱しても無毒化されることはない。なお毒化するのはホタテやアサリといったプランクトンを捕食する二枚貝であり、サザエやアワビなど巻貝は毒化しない。(アワビは巻貝の仲間です!)

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A型肝炎患者急増

おもに魚介類の生食で感染するA型肝炎の患者が日本で急増していることから、国立感染症研究所では生鮮食品を食べるときには十分加熱することを呼びかけている。 A型肝炎は、感染したすべての人が発症するわけではないが、ひとたび発症すると最低でも1カ月は回復に時間がかかり、その間仕事や家事もできなくなる。重症化することはまれだが、日本で今年に入って4月までに報告された患者のうち1人が死亡しているので、B型肝炎に比べて軽いなどといって決して侮ることはできない。 例年、日本での患者数は年間150人程度であるのに対して、今年は4月18日までで、すでに121人もの患者が報告されている。また3月中旬までの患者発生が毎週5人くらいだったものが、それ以降毎週15人にまで増えているという。原因ははっきりしないが、危険な食品は生鮮食品であることは間違いなく、カキなどの2枚貝には特段の注意が必要だろう。 国立感染症研究所では、食品内部まで85~90度で少なくとも4分間は加熱して食べるように呼びかけている。となると生かきは感染覚悟の上で食べなければいけないことになる。最近の日本産のカキは無菌処理されるものが多いので、従来に比べてA型肝炎やノロウイルス感染する危険性か低くなっていることは確かではあるものの、現在、日本で感染者が増えていることから、しばらくの間は十分な注意が必要となる。 ウイルスは下水処理場で取り除くことが難しい。患者の便からはウイルスが大量に排泄されることから、感染者が増えると川や海といった水系でのウイルス数が増加する。貝類は餌となるプランクトンを取り込むときに、これらのウイルスも同時に取りこんでその体内で濃縮すし(生体濃縮)、それを生食した人が感染する。新たな患者からはウイルスが排泄され再び…。 感染者の手には排便後に大量のウイルスが付着している危険性が高い。発症していなくてもウイルスは排泄されるのでとにかく排便後(トイレの後)は、石鹸でしっかり手洗いする習慣をつけてくことがA型肝炎感染予防の大切なポイントとなる。飲食店従業員は衛生管理の基本動作として身につけておいてほしいものだ。 肝炎であると診断を受けても入院が必要ではないケースもある。しかし、万一の劇症化を避けるためにも、たとえ症状が軽くてもゆっくりと休むことが大切で、決して無理してはいけない。肝炎の治療の第一は休養だ。 A型肝炎の予防接種は必須と考えておきたい。ちなみに香港での感染者数は、報告があるだけではあるが今年3月までに17名となっている。人口あたりで計算すると日本の3倍程度の発生率であるが、報告されていないケースも相当数あるものと思われる。

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悪玉コレステロール測定への疑問

2008年4月に始まった特定健診・特定保健指導の制度(メタボ検診)が丸2年を迎え、今年は制度開始から5年後の評価判定までのほぼ折り返し点になるが、これまでその意義や規準に関して多くの疑問が投げかけられてきた。それでも、評価判定で目標を達成できていないと判断されると後期高齢者向け医療費への拠出金を増額されるとあって、特に企業の健康保険組合では、疑問を感じながらも国の指針に従っている状態だ。 ここにきて悪玉コレステロールの測定に関して、日本動脈硬化学会から大きな疑問が投げかけられている。日本動脈硬化学会は、脂質関係の規準や判断に関して多くの研究調査を行っており、総コレステロールの治療ターゲットに関しても医学界に提案したこともある。ちなみに総コレステロールに関しては、高血圧、高中性脂肪、高血糖、喫煙といった循環器のリスクを持たない人に対しては180~240mg/dlを適切なレンジとし、これに合わせて高コレステロールの治療ターゲットを240mg/dlにするよう提案した。私・個人的にもこのレンジは極めて適切であると思うが、医学界からはまったく支持を受けなかった。ここで説明すると長くなるので詳しくは控えるが、医学界の不支持は決して患者の立場に立ったものではないことは確かだ。 さて、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)に関して何が問題かというと、検査法による測定誤差が大き過ぎその結果を判断根拠とすることができないこと。つまりコストをかけて直接測定をする意味がないばかりか危険であることもわかってきたからだ。 同学会では2007年に脂質異常症を判断するための指標としてLDLコレステロール値の採用を提案し、総コレステロール値はその判断材料から外している。ただし総コレステロールを測定しないのではなく、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪を測定し、それらの値からLDLコレステロールを計算法で算定する方法をとっている。 特定健診が制度化されたことで、検査業界ではLDLコレステロールの直接法を開発したが、その精度に大きなばらつきが生じていることが判明し、今回の提言につながっている。 なお悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールは決して悪いものではなく、肝臓で作られた(代謝された)コレステロールを全身の細胞膜やホルモンの原料として使うために末梢に運ばれていくコレステロールのことを指す。ただし多すぎると動脈硬化の原因となる。 日本のメタボ健診の規準は、諸外国のものと比べて様々な疑問があることから、今回の提案だけではなく今後徐々に見直されていくものと思われる。

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ダイエットその後

先日配信した私のダイエットはその後も継続しており、80kg台にまでなっていた体重が、現在ではなんとか60kg台に突入するところまでいきました。あと2kgくらい減量し、そこで安定させて、70kg台にはたとえ一時的にも戻らないようにしたいと考えています。 前回の配信後、いくつかご意見をいただいておりますが代表的なご質問やご批判を取り上げてみます。 1、痩せれば良いというものではないのでは?その通りとも、そうではないとも言えます。肥満が健康阻害要因になっているのであれば、とにかく痩せることが良いことははっきりしています。無理な絶食など危険な方法でなければ、どのような方法であろうと痩せることが健康状態の回復につながることは間違いありません。私の場合はこれに該当します。その一方で、多くの太り気味の女性に共通の「健康肥満」の場合は無理に痩せる必要はなく、健康状態を維持するために運動量を増やす努力をした方が良い場合もあります。また、もともと痩せていたにもかかわらず太ったことで標準体重になり、しかも血液検査の結果に脂質異常などの問題が生じている場合は、減量するべきです。メタボリック症候群の判断の有無とは関係ありません。 2、栄養バランスが悪いのではないか。世間一般的な常識からすると、私の食事はバランスが悪いと思います。しかし、ヒトは雑食の哺乳動物です。栄養バランスを考えながら餌を探している野生動物は聞いたことがありません。ヒトと比較すると動物は極めてバランスが悪い食餌になっているわけですが、大昔に狩猟生活をしていたころのヒトも同じではないでしょうか。生物学的に考えて、栄養バランスを第一に考えることはそれほど大きな意味をもつとは思えません。それよりも食べ過ぎがもたらす健康被害の方がはるかに大きく危険なことは確かです。 3、急激に痩せるとしわが増えたり肉がたるんだりする。高齢者が痩せると確かにこのようなことが考えられますが、今年50歳になる私の場合は、今のところ「キレイな痩せ方」だと思って満足しています。(笑)痩せることでしわが増えたりすることは、年齢が高くなるほど可能性が高くなると思います。したがってできる限り若い時に健康的な体系にしておくことが大切ではないでしょうか。若い時から太って循環器系に問題を抱えていると、その後の身体的ダメージも大きくなります。脂質異常が10年続く場合と20年続く場合とでは、血管に対する影響は格段に違います。 4、厳しすぎて話にならない!私が行っているダイエットは厳しすぎて現実的ではないとの意見も頂いています。確かに一日一食主義は厳しいかもしれません。しかしこの一食に基本的には制限を設けていません。飲酒もOKです。ただし一食で以前の摂取カロリーをまとめて摂取してしまうというのであれば、これは間違いでかえって太りやすくなってしまいます。たとえば晩御飯が接待(外食)になるのであれば、朝・昼をぐっと抑えておく。昼食にしっかり食べてしまったということであれば、夜には極力食べないでいることです。ただそれだけのことです。もちろん飲み過ぎ注意ですが、私の場合は飲酒には制限を設けていません。(大酒飲みではありません、念のため・・・) 空腹であることに慣れることが必要です。やはり動物としてのヒトを考えると、空腹な時間が多少長くても当たり前ですし、これが健康状態に影響するなどとは考えられません。極端な場合、一日中座っていても、ちゃんと3食腹いっぱい食べることができる環境は、生物学的に異常です。 三食ともダイエットだと言って制限してしまっては辛いだけです。とんかつなど脂っこいものはやめましょう、などなど言いますがたまには食べたいものではありませんか?もちろん絶対にダメとは言いませんが、一日の全体のカロリー摂取量を考えてからにしたほうが良いでしょう。内容によっては昼食だけで一日の基礎代謝程度のカロリーになってしまうはずです。そう考えると・・・、わかりますよね。 5、運動も必要ではないか。確かに!!! ただし痩せるという目的のためだけを考えると、摂取カロリーを制限しないとかなり厳しいものです。脂肪1kgは7000kcalくらいになり、フルマラソン2回以上の運動量に相当するそうです。となると余分に溜まったエネルギーを運動エネルギーとして消費することがいかに困難であるかがわかります。ただし運動が無駄であると考えることは早計です。筋肉量は年齢とともに少なくなり、それに比例して基礎代謝が低下していきます。つまり中高年になると太りやすく痩せにくい体質になっていくわけであり、そうなることを防ぐために運動して筋肉量を維持しなければいけないのです。全身の筋肉はその6割が下半身にあります。年齢とともに衰えるのも下半身ですし、老化は足腰から来るともいいます。とにかく歩くことです。ジムに通ったり、何らかのスポーツをすることも素晴らしいのですが、これだけが運動ではありません。できる限り乗物に乗らないで、自分の足で歩くことが大切です。エスカレーターを使わないで階段にするなど、日常生活での小さな運動の積み重ねが健康維持・増進に大きく貢献します。