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人間ドックの健常者、わずか8.4%

人間ドック受診者における健常者とされる割合が過去最低の8.4%にまで下がったことがニュースになっています。メタボリック健診の導入が影響しているといいますが、あまりにも低い数字です。 何をもって健常者というのでしょうか? 検査した項目がすべて基準値に収まっている場合が健常者ということになるようですが、そもそも基準値とは何かです。これは健常者と思われる人のおよそ95%程度の人が入る値のことであり、身体的にどこも悪くない人でも、統計上は5%くらいの人はこの範囲を外れてしまうのです。 身体的に問題がなくても5%の確率で基準値を外れるということは、受診項目が多くなれば誰もが何らかの項目で基準値を外れてしまう可能性が大きくなることは明らかです。基準値を外れてしまった項目が一つでもあれば健常者ではないとされるわけですが、これはあまりにも乱暴な仕切り方です。総コレステロールなど、基準値と最適値とが一致しない項目があるのが常識になりつつあるのに、いつまでもおかしなことを言っています。 メタボリック症候群診断の絶対条件である腹囲の基準(男性85cm、女性90cm)を上回っただけで、内臓脂肪が多いと判断され、さらに血圧、コレステロール、血糖、そして中性脂肪といった項目の基準値の「異常」が重複した場合にメタボリック症候群と診断されます。コレステロールや血糖に関しては従来より判断が厳しくなっているので、それだけ該当する確率が高くなります。メタボリック健診では、メタボリックと診断された人への「改善義務」もあり、ご丁寧にも改善できなかった場合のペナルティー(罰則規定)まで設けられているのです。一方で、腹囲が基準を超えていなければ、血圧、脂質(コレステロール、中性脂肪)、血糖などすべてが悪くてもメタボリック症候群と診断されることはなく、指導の対象にもなりません。 いったい誰のための健康診断でしょうか。受診した人に最も大きな利益が還元されなければいけないはずなのに病気の人を発見し、治療機会をつくる医療者側の経済理論が優先されているような気もしてしまいます。特に「メタボリック健診」には後期高齢者医療への拠出金の問題が絡んでいるだけに、たちが悪いです。 それにしても特にコレステロールに関しては、脅しともとれるほどに徹底的に悪者扱いされ、その認識が一般の人にしっかり刷り込まれてしまっているようです。専門学会が高コレステロールに対する治療ターゲットの引き上げを提言しても、一蹴してしまう医療の現場は一体どこを見て医療を行っているのでしょうか。 健康診断は健常者と非健常者を選別する作業をしているわけでは決してありません。受診した人にとって、現在はもちろん将来に向けて、健康状態をより良くするにはどうすれば良いかを提言する機会であるべきです。その中で病気が見つかることもあるでしょうが、それはプラスアルファのことともいえます。 健診を受ける側も、医療機関の側も、健診の本当の意味をもっと理解したいものです。この点、海外在住者あるいはその経験者の意識レベルは非常に高いものだと実感しています。 今回はまとまりのない文章になってしまいました。ニュースを見てつい一言、言いたくなってしまいましたが一言ではないですね。長くなり失礼いたしました。

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生ものに注意

昔の香港国際空港の北西に隣接する九龍城地区は古くから多くのタイ料理店が集中する地域としても有名です。香港経済日報の記者がこの地域にある10軒のタイ料理店を覆面調査したところ、7軒において生エビを客に提供していたことが判明しました。 香港では刺身類を提供するには許可が必要であるほか街市(香港の市場)にて購入した生鮮を生で出すことを推奨していませんが、これらのタイ料理店では、そのどちらの条件も満たしているものではありませんでした。 香港では、タイ料理店で客に出された生エビが原因で立て続けにコレラ患者が発生したことがありました。この時は、タイから輸入されたエビを使っていたとのことですが、香港の街市であろうとタイから輸入しようとどちらも非常に危険であることに違いありません。 暑い夏に危険性が高くなる食中毒で有名なものに腸炎ビブリオがあります。海水中に棲息する細菌で海水温が高いと増殖スピードが急速に高くなります。真水では生息できません。刺身にする魚は、まず真水で全体を良く洗うことは日本では常識ですが、これは腸炎ビブリオ中毒の予防にとても大切なプロセスです。生エビはコレラ以外にも腸炎ビブリオ中毒の危険性が非常に高いものです。 海鮮以外では、やはり生肉が非常に危険です。生肉なんて食べないという方も多いと思いますが、ハンバーグは中まで火が通っていますか? 食品衛生上ハンバーブは中まで十分に加熱されていなければいけません。ミディアム程度にしか加熱していないものを出している店も少なくないようですが、ハンバーグでは危険です。O157などの病原大腸菌に汚染されないように食肉加工することは非常に難しく、それなりの施設が必要です。(そんな面倒なことしていません!) 鳥肉も危険です。日本で流通している鳥肉でも、その20~40%からカンピロバクターという食中毒菌が検出されるようです。生では一般に食べないものですが、調理過程でほかの食品を汚染する危険性を考慮しなければいけません。カンピロバクターは日本で非常に増えている食中毒原因菌です。 あまり知られていませんが生ハムも加熱処理しておらずやはり危険であり、フランスやイタリアといった本場では小さな子供には食べさせないというのが常識と言います。 話を戻しますが、生ものを食べる習慣がない国や地域で刺身などの生ものを食べるのは危険です。新鮮であれば安全だと単純に思っている節があります。エビは生きてるよ、だから食中毒なんてないよ、というのでは提供する側としては無知すぎます。いくら当局が指導しても客が求めるのであれば店は出しますから、客側で十分気をつけるべきです。 タイ料理や中華料理店で刺身を食べるような冒険はするべきではありません。また見よう見まねで始めたような「なんちゃって日本料理」も少なくありませんが、このようなところも安全とはいえず、避けておいた方が無難です。

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睡眠時無呼吸症候群

最近の調査で、香港人にも不眠を訴える人が多くいることがわかったそうです。中にはうつ状態に陥ってしまう人もいるようです。私がこのニュースを見て思ったことは、不眠を訴える人の何割かは睡眠時無呼吸が原因で良質の睡眠を得ることができず、昼間ぼうっとしてしまうのではないかということです。 睡眠時無呼吸は太っている人に多く、寝ている間に時々呼吸が止まってしまう現象です。具体的には睡眠中に10秒以上の呼吸停止が1時間あたり5回以上ある場合、あるいは7時間の睡眠中に30回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。 睡眠時におきる無呼吸で死ぬことはありませんが、長く続くと心臓に負担がかかることから、高血圧症の原因になります。睡眠時の無呼吸がなくなれば、確実に血圧が下がります。太っていて血圧が高い人は痩せることがその改善につながることは多くの人が知ることです。単純に太っているだけでも血圧が高くなるので、睡眠時無呼吸がある肥満者であれば、その改善はダブル効果で改善が期待できます。 睡眠時無呼吸症候群は同居する家族によって発見されることが多いものです。単純にいびきがうるさいというだけではなく、そのいびきが時々止まっている。そして再呼吸し始めた最初のいびきはさらに大きな音を伴っている。特に呼吸が長く止まってしまうことを心配して、診察を受けるように促されるようです。 いびきの原因は、気道の狭窄です。肥満によって周囲から押されるようになっている気道は、通常でも細くなりがちですが、睡眠時は加えて筋肉の緊張が緩むために舌根の沈下して、さらに気道を狭めてしまいます。吸気の際に粘膜同士が触れ合って大きな音が出るわけで、肥満で狭窄がひどくなるほど大きな音(いびき)になるわけです 睡眠時無呼吸症候群では高血圧や心疾患が慢性的に問題になりますが、日常生活では、日中も眠気がとれず会議の途中で寝てしまったり、列車の運転士がオーバーランしたりと、影響は小さくありません。よくある自動車の居眠り運転も睡眠時無呼吸が原因であることが少なくないと思います。 改善するには痩せるしかないのですが、痩せることは2~3日で出来ることではありません。それまでの間は寝る時に呼吸を補助する機械を装着します。これが具体的な治療(処置)になります。 肥満が増えている香港でも、睡眠時無呼吸症候群の患者は確実に増えているものと思われます。睡眠時無呼吸症候群とまではいかなくても、いびきがひどい場合は確実に睡眠の質が落ちます。この点からも太っている人はぜひダイエットすることをお勧めします。

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熱中症対策

毎年この季節になると、熱中症患者が多発します。日本では、節電モードと6月としては記録的な猛暑となったことが重なって、先月、熱中症による搬送者数は昨年に比べて約3倍の6877人にのぼり、そのうち15人が搬送後に死亡しています。 暑さと多湿が加わると、運動していなくても熱中症の危険性が非常に高くなります。日本の昔の家屋は夏を旨として建てたと言います。気密性が低く風通し良く設計されていたため、エアコンがなくても夏は過ごしやすかったようです。現在の住宅はエアコンを効率的に使ってこそ快適に過ごせるようになっているため、暑い季節に我慢してエアコンを使わないでいると、屋内で熱中症を発症してしまう危険性が高くなってしまします。 熱中症は、熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病に分類されますが、その原因の多くは体内の水分の消失(同時に塩分の消失)です。 熱失神脱水に末梢血管の拡張が重なり、体内循環水分量が少なくなって突然意識を失って発症します。患者の体温は上昇しませんが、脈は少なくなります。私自身もハイキング中に、かがんだ姿勢で花の写真を撮って、立ち上がった際にフラッとすることがあります。血管拡張によって血圧が低下している証拠であり水分補給が常に必要であることを実感します。 熱痙攣暑いからといって水分ばかり摂っていると、体内の電解質(特にナトリウム)が失われるために、筋肉の突然の痙攣がおきます。足がつったりする理由です。軽いものであれば少し休めばすぐに治りますが、無理は禁物なので、状況によっては塩分の摂取を直ちに行う必要があります。 熱疲労大量の発汗に水分補給が追いつかないときにおきます。皮膚表面は冷たく感じます。しかし体内には熱がこもっており、直腸温は40度近くにまで上昇します。水分と塩分の補給が必要ですが、とにかく患者の冷却が必要です。 熱射病(日射病)体温調節中枢が機能不全となり、40度以上にまで体温が上昇しますが、発汗はなく皮膚感想を認めます。危険な状態であり、速やかに冷却する必要があります。 これら熱中症の原因は、高温化での脱水と塩分消失です。これからの季節、屋外での娯楽が増えるかと思いますが、。熱中症対策が常に必要であることは言うまでもありません。 一昨年の東京マラソンでは「水中毒」が問題になりました。主催者は熱中症を予防するために水分補給を呼びかけていたものの、その意に反して患者が続発してしまいました。塩分摂取が足りなかったことからくる電解質異常がおきていたのです。主催者の呼びかけにこたえて、参加者は一生懸命水分補給を心がけていたのですが、水だけではなく塩分の積極的な摂取も必要だったわけです。 スポーツドリンクは塩分を適度に含むので手軽で良いのですが、糖分も意外に多くのどの渇きが強くなる傾向にあるようです。倍に薄めて、塩分を少し補充するようにすると良いのではないでしょうか。特に長時間歩くハイキングに際しては、水分に加えて塩分の摂取を特に心がける必要があります。夏のハイキングでは2リットルくらい水を飲むことは少なくありませんが、それだけ発汗しているということです。この際失われる塩分は、およそ18グラムにもなる計算ですから、それだけの塩分を補給しなければ身体の正常な機能が失われる危険性があるわけです。通常の食事で摂取している塩分は一日10数g程度。大量に発汗するときはこれでは間に合いません。日頃から減塩を心がけている人にとっては、発汗時の塩分補給には特に注意が必要です。 梅干しの効用梅干し1個に含まれる塩分は1~2g。そのほかクエン酸を大量に含んでいるので、熱い季節の運動時には電解質異常の予防と疲労回復におおいに効果が期待できます。塩分摂取を控えるように指導されている方でも、汗をかく夏場は塩分を多めに摂っても大丈夫です。夏のスポーツには、特に塩分摂取が必要です。梅干し持参はどうでしょうか?

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病原大腸菌O104

ドイツを中心に欧州の広い範囲にに拡大した病原大腸菌O104による食中毒事件の原因は、結局スプラウト(モヤシ)であったようです。ドイツ政府はモヤシ類の摂食を控えることを指導するとともに、他の野菜の安全を宣言しています。 当初、スペインから輸入されたキュウリが原因であることをほのめかしてしまったので、これに対してスペイン政府が抗議するなど、国際問題にまで発展してしまいました。今も欧州諸国では野菜類がまったく売れないなど、農家や生鮮食料品店は風評被害に苦しんでいます。 病原大腸菌とモヤシというと、日本ではO157による食中毒事件を思い出します。学校給食での感染は間違いなかったものの、原因食品に行きあたることができず、厚生労働省は結局根拠に乏しいまま「カイワレ原因説」を発表してしまったのです。怒ったのはカイワレ業者。裁判になり、結局、業者が勝訴。今もって確かな原因食品がわからないままです。 病原大腸菌は牛をはじめやぎ、羊、鹿といった反芻胃を持っている動物にのみ感染しているものです。今回のドイツの件も同じですが、そんな病原菌による食中毒の原因食品として野菜があげられることが不思議です。どこかで野菜を汚染する状況がなければいけません。 病原大腸菌に限った話ではありませんが、食中毒予防の三大原則に「付けない」「増やさない」「殺す」というものがあります。今回の一件では、どこかでモヤシを汚染させてしまった事が考えられ「付けてしまった」、さらに流通の過程で増殖「増えてしまった」、さらには生で食べたので病原菌を「殺すことができなかった」わけです。 細菌性食中毒のシーズンに入り、これから患者数がピークとなります。食中毒の発生は一般家庭で起きることが最も多く、皆が十分注意しなければいけません。最近では牛肉の問題が大きくクローズアップされましたが生のものを食べる場合はこれからの季節は特段の注意が必要です。 欧州での病原大腸菌O104による食中毒事件は、鎮静化してきましたが、これは対岸の火事ではありません。いつアジアで大流行してもおかしくはありません。特別な注意は必要ありませんが、食中毒予防の基本原則は守りたいところです。 ところでドイツを中心に問題になった病原大腸菌O104は通常より毒性が強く、どうやら新種のようです。抗生物質にも耐性があるとのこと。このことを突き止めたのは、シンセンにある中国の遺伝子研究機関(北京ゲノム研究所)。このところ中国では遺伝子研究に力を入れており、シンセンをそのハブとしてそのテクノロジーを集積させるそうです。計画が完了すれば中国のみならずシンセンが世界の遺伝子研究の中心になる可能性もあります。

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携帯電話と発がんリスク

WHO(世界保健機関)の組織である国際がん研究機関(IARC)は、携帯電話の電磁波と発がん性の関連について、限定的ではあるものの関連性があるものとの分析結果を発表しています。 これは5月31日までにフランス・リヨンで開かれた専門家(14カ国31人)による作業部会の結論として公表されたものです。携帯電話の電磁波は、5段階に分けられる発がん性分類で、上から3番目になる「2B 可能性がある」とされました。 これに対して各国の専門家からは発表が時期尚早すぎるとの批判が出ていますが、WHOの「健康被害が少しでもあると考えられることに関しては早めに注意喚起する」という予防原則に沿ったものであり、この発表自体には問題はないと思います。 ちなみにIARCの発がん性分類で一番上(グループ1)に分類されるものにはタバコやアルコール、放射線などのほかにもピロリ菌(胃がん)、ヒトパピローマウイルス(子宮頚がん)、B、C型肝炎ウイルスといった微生物も含まれます。また香港でもなじみの深い「塩蔵の魚(ハムユィ)」も一番上に分類されています。(ちょっと驚き!)ちなみに昨日お送りした医療情報にある可塑剤(DEHP フタル酸ジエチルヘキシル)は当初2B(人に対する発がん性が疑われる)からグループ3(人に対する発がん性が分類できない)に降格されています。今回の携帯電話の電磁波に対する分類は2B(発がん性が疑われる)ですが、この中にはなんとコーヒーも含まれます。興味深いところでは、複数の抗がん剤に発がん性が疑われていることです。 発がん性分類表をながめていると、現代生活では発がん性物質やそのリスクがある環境から逃れることはできないことに納得させられます。少しでもリスクから逃れなければいけないことは確かですが、リスクを軽減する努力も積極的に行わなければいけないのではないかと強く考えます。 1個のがん細胞が5ミリの大きさ、つまり画像診断が可能になる大きさにまで成長するのに5~20年もかかります。とくに早期段階においては免疫力でその成長を抑え込んでいる時期も長くあるようです。免疫力を落とさない生活、免疫力をアップする努力が求められることは間違いありません。コントロールは難しいものの、ストレスが最も良くないとも言われています。がん細胞を叩く重要な細胞、NK細胞(白血球)の活性は笑うと一瞬にして高くなります。作り笑いでも同じ現象が確認されています。少しでも多く笑って生活することががん抑制につながります。反対に大きなストレスになる「怒ること」を少なくしたいものですね。まったく難しいことですが…

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食品の化学物質汚染

発がん性が認められる可塑剤(DEHP フタル酸ジエチルヘキシル)の容器からの溶出が認められた台湾製飲料が回収され、またも大きな食品問題になっています。 可塑剤は合成樹脂に加えられてその柔軟性を持たせるために添加される薬品類で、合成樹脂製品にとって無くてはならない重要なものです。しかし今般問題になったDEHPは腎臓がんや肝臓がんの発症に関係することが疑われることから米国FDAではその使用を禁止しています。日本をはじめとした多くの国でもほかの可塑剤に切り替えており、現在では少なくとも食品関連容器や医療製品には使われなくなっているはずです。(医療関係では点滴バックやチューブ類に使われていました) 可塑剤はアルコールや油に溶けやすい性質があります。衛生管理を徹底するために、ある弁当製造工場では手袋の上から頻繁にアルコール消毒をしていたそうですが、この手袋から可塑剤が弁当に大量に移行していました。基本的に先進国では問題がなくなったと思われる可塑剤の問題が、今もこのような形で出てくるということは、出所のわからないプラスチック製品(合成樹脂製品)を食品用に使わないことが求められます。なお香港のレストランなどで使われる発泡スチロールの容器は、今回の問題とは関係ありません。

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肥満の増加を危惧する

10年以上前の香港ではそれほどでもありませんでしたが、今では大人から子供まで、肥満がとても目立ちます。スーパーのレジに並んでいる女性。ポテトチップ、ジュース、ケーキ・・・・・、高カロリーのものばかり。幼稚園児くらいの子供を二人連れていましたが、丸々と太っていました。きっと好きに食べさせているのでしょう。 香港は脂っこいものが多いから肥満が多いと思っている人も多いと思いますが、実際は違います。私が香港に来た当初(1990年)は、太っている人をあまり見かけなかったものです。「中華料理」である基本的な食事内容はあまりかわっていませんが、ファーストフードと言われるジャンクフードが増えて、肥満が増えたように思います。いつのころからか外食で食事中に飲むものが、お茶からコーラやレモンティーにかわってきたようです。肥満の原因に砂糖の摂り過ぎも加わります。昔から脂っこいものが多いのは仕方がないとしても、糖分の摂り過ぎが日常的になっては良くありません。 香港の人の平均寿命は日本と並んで世界トップですがこれから先、香港人の寿命は短くなるのではないかと個人的には思っています。子供のころに太ってしまうと肥満細胞が増え、たとえいったん痩せたとしても、大人になってから太り過ぎる傾向が強くなり、おまけに痩せにくい体質にもなります。 太ることは循環器系の病気、つまり心筋梗塞や脳卒中のリスクが間違いなく高くなります。血液検査をいつも受けられるわけではありませんが、体重が増えることは脂質異常と連動するため、循環器疾患のリスクが確実に大きくなると考えておいて間違いありません。もちろん循環器系に限らず全身の健康状態を悪くすることは当然です。健康診断の結果を見ていると、全体重の2%くらい増加するだけで、急に脂質や肝機能の異常、あるいは血圧の上昇などを認めることは決して珍しくはありません。これは特に中年男性に顕著です。 生涯を通して健康であるためには、太らないことが一番。すでに太ってしまっている人は、とにかく痩せること。ただし太っていることが悪いわけではありません。肥満である上に脂質異常、肝機能異常、高血糖、高尿酸、高血圧といったことを指摘されている場合は、ダイエットが急務です。痩せることが最良の治療になります。(特に男性の中年期の肥満) 検査の結果として健康状態に異常が認められない肥満は特に問題が無いことが多いようです。この場合、食事制限しても減量しにくく、無理して健康状態を損ねてしまうこともあります。(特に女性型の肥満)

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がん死を避けるため

俳優の児玉清氏が、16日、胃がんで亡くなりました。77歳でした。先月、肝機能障害で入院し検査を受けたところ、進行した胃がんが発見されましたが、すでに肝臓に転移しており、発見から死亡まであまりにも短い時間しかありませんでした。おそらく関係者は唖然としてしまったに違いありません。 肺がん、胃がん、大腸がんは部位別のがん死トップ3を締めています。このうち胃がんと大腸がんは早期に発見することが可能で、「治癒できるがん」とも言えるものであるだけに、これらのがんで亡くなるケースは非常に残念に思います。 胃がんの最大の原因はピロリ菌であると言われます。もちろんピロリ菌に感染していたら必ずがんになるというわけではなく、そのほかに高塩食や飲酒、喫煙、そしてストレスなどの要因が重なってのことですが、内視鏡検査によって早期発見が可能です。その際にピロリ菌が発見されれば、除菌することによって胃がんリスクを大幅に下げることができます。 大腸がんは進行が極めて遅いがんの代表で、やはり内視鏡検査で早期がんの発見が可能です。しかもポリープもない正常な大腸であれば、その検査は5年に一度で良いものです。これで十分早期がんが発見できるのです。 胃がんおよび大腸がんの検査を、仮に全国民が必ず定期的に受診するのであれば、日本のがん死は30%下がるものと期待できます。もちろんそのようなことは不可能ですが、個人レベルであれば、自分自身のがん死リスクを大幅に下げることが可能なわけです。胃や大腸以外では女性の子宮頚がんも早期発見が可能なので、定期的に検査しておく事が大切です。 乳がんや精巣がんは自己検診で発見できる可能性もあり、自分自身で検査する習慣をつけておくべきです。また女性の子宮体がんや男性の前立腺がんは、ちょっとした出血や排尿関連の症状が大きなサインになっていることもあるので、小さな症状を軽視しないできちんと検査を受けることが大切です。  “小さな症状、大きなサイン” 昨今がん死が増え、日本では今や2人にひとりががんで亡くなると言われるようになってきましたが、これは高齢化が進んでいることも大きな理由です。1個のがん細胞は5年から20年もかかって、やっとPET検診でわかる5mmの大きさになります。つまり長生きすればガンが発見される可能性が大きくなるという理屈です。 高齢になってガンが発見されたとしても諦めがつくのかもしれませんが、30歳代から50歳代の若いころにがんになり、たとえ手術が成功したとしても再発を心配しながら生活しなければいけないことは辛いものです。それだけに、たとえがんが発見されても再発の心配をほとんどしなくても良い早期発見を目指すことがたいへん重要になります。偶然がんが早期発見されるケースも少なくはありませんが、日頃から生活習慣を含めてがんにならないようにすることや、がんの早期発見を意識することが大切であことは言うまでもありません。

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病原性大腸菌食中毒

日本の焼肉チェーン店で腸管出血性大腸菌O111と、同じくO157による集団食中毒事件が発生し、4人が溶血性尿毒素症症候群(HUS)を発症して死亡しました。O157 は1996年に岡山や大阪の小学校などで集団感染が起きて死亡者も出ていますが、この時にマスコミが大々的に報道したことで感染症としての名前が一般に広がったようです。 今回の集団食中毒で確認されている原因菌であるO111とO157は、細菌の表面たんぱくが少し違うだけで基本的には同じ菌だと思っても間違いはありません。同じ種類の細菌は200種類ほどありますが毒性を持つものとして知られているものはこれら2種類のほかO26など限られたものしかありません。感染すると3~8日の潜伏期間の後、おう吐や下痢といった一般食中毒症状が現れます。下痢便に血液が混じることも特徴です。さらに発症者の一部は腎臓障害(溶血性尿毒素症症候群)や脳症を起こして死に至ります。その意味では非常に怖い食中毒であり、原因食品となる牛肉は確実に安全性が保障されたもの以外は食べてはいけないのです。私自身は、その危険性を理解しているので、レストランでユッケを食べることは、まずありえません。レバ刺しも人気なようですが、レバーは肉以上に危険な食品であり、生を食べるなど私にはとても考えられることではありません。ちなみに生カキも食中毒リスクが高い食品ですが、食中毒の症状の重さを考えて、こちらは「覚悟して」食べることはあります。 O157に関してはしばらく大きな中毒事件が起きていないので、油断もあったのかもしれませんが、今回の一連の報道を見ていると、生ものを扱うことのリスクをレストラン側がまったくといっていいほど認識していなかったこと、そして客としての消費者もほとんどその知識がなかったことが、集団食中毒が起きてしまった大きな原因になっていると思います。 牛肉は生でも大丈夫だとの大きな誤解があります。これはレアのステーキを食べることから来ているからかと思いますが、ステーキ肉はたとえ汚染されても表面だけで、とユッケに使う細切りにした肉とはまったく異なります。ひき肉をつかうハンバーグも危険であることに関しては同じです。O157やO111は牛などの消化管に棲息しており、屠殺場での食肉処理の際に肉表面を汚染してしまうわけです。菌が中にまで侵入することはないので、ステーキの場合はその表面さえ焼けていれば感染の心配がなくなるのです。牛のたたきも同じです。 ハンバーグの場合は中心部まで確実に火が通っていないとたいへん危険です。中が赤いハンバーグが出されるレストランもあると聞きますが、たまたま感染しないだけであって100%安全であるという保証は一切ありません。 ところで馬肉は生食用として流通しています。なぜなのかと疑問に思う人もあるかと思いますが、O157など病原大腸菌は牛、やぎ、羊、鹿といった反芻胃を持っている動物にのみ感染しており、馬には感染していないからです。牛などの動物の消化管の中では病原大腸菌も常在菌としてほかの腸内細菌と共存していますが、いったん人の消化管内に入り込むと著しい毒性を発現します。 日本ではレストランに、生かきは出さない方が良いとのアドバイスが保健所からあるそうです。生かきは古くから食されてきたものであり、ユッケよりも一般的な食品です。しかし、ノロウイルス感染の危険性がら出さない方が良いとの指導があるわけです。もちろん生かきはレストラン等で出してはいけないと法律で決められた食品ではありません。しかし店の責任といって客に出して、たった一度でも食中毒を出してしまったら零細レストランはいっぺんに吹っ飛んでしまします。そのリスクがあるから出さない方が良いとの指導になります。ユッケに使われている牛肉は生食用ではありませんが、これを禁じる法律もなく、店でユッケを提供することは何ら問題がありません。しかし食中毒を出してしまったら店としてはアウトです。しかも今回は複数の死者まで出してしまったわけですから、厳しく責任が問われることになって当然です。 食中毒は、例え食品の鮮度が良くても、味がおかしくなくても、起きるときは起きてしまいます。今回問題となった焼き肉店では店でチェックしていたといいますが、店のチェックなどあてになるものではありません。もちろん一般家庭でも同じです。 今回の集団食中毒事件は、食品に対する衛生管理の甘さが原因となった事件です。飲食店は衛生管理を徹底するとともに、やはり専門知識を持ったうえで責任もって客に食品を提供しなければいけません。また消費者も何が危険なのか、ある程度の知識をもって自衛するべきです。「中国野菜は危険」「日本食品は安全」「牛肉は生でも大丈夫」「新鮮だから安全」「高級レストランだから安全」といったような単なる「イメージ」だけで食品の安全を判断するようなことでは避けなければいけません。