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インフルエンザ予防接種

秋の気配を感じるようになった香港ですが、日中は暑くなかなか気持ちの良い気候にはなってはくれませんね。夏がしぶとく同居しているにもかかわらず、街中では風邪をひいている人が少し増えてきたのではないかと思います。今のところ普通感冒の流行ですが、例年10月下旬には日本でインフルエンザの流行が始まります。香港など近隣では流行の時期が若干ずれるとはいうものの、日本の情報を元にインフルエンザに備えておいても良いかと思います。 さて、今年もインフルエンザ予防接種がすでに開始されています。今年のワクチンは4種類のウイルス株に対応するもの(4価)に統一されており、従来の3価のものよりもいっそうの効果が期待できそうです。 とは言うもののインフルエンザワクチンの接種には賛否両論があり、最終的には当然のことながら個人の判断が優先されます。ネット上には様々な情報が飛び交っているので、何を信用したら良いのかわからないという意見が少なくはありません。私個人的にはワクチン接種を全面否定する意見には賛同できません。マイナスの側面を強調するだけで、メリットにふれることがないものは、自分の意見を押し付けているだけのような気がしてしまうからです。もちろんリスクについて正面から向きあおうとしていない全面賛成意見も困ります。その有効性にも疑問が投げられていることから、判断は難しいかもしれませんが、接種を受ける受益者に向けて多角的に説明されている情報に複数アクセスしてみるのが良いのではないでしょうか? 今年のワクチン株はH1N1(A型 2009年カリフォルニア)H3N2(A型 2013年スイス)B型に関しては2013年プーケット、2008年ブリスベーンの2種類です。 なぜ地名がついているのか?疑問に思う人も少なくはないと思いますが、これらはその株が初めて分離された(発見された)場所、そして数字は分離された年を表します。実際にはその場所で何番目に分離されたかといった数字も入っているものです。これらはWHO(世界保健機関)が直近の南半球の流行株を分析して、北半球での流行株を予想したものです。北半球の政府機関に対して通知され、その情報に基づいて製薬会社が製造します。(南半球ではこの反対です) 正直なところインフルエンザワクチンはその効果を保証できるものではありません。しかし、やっと流行が治まってきた南半球の状況を反映しているものであり、流行株がガラリと替わってしまうことは考えにくいことです。ただしウイルスは常にその構造が変化しているので、当然ながら効果が希薄になってしまうことも十分考えられることです。インフルエンザワクチンはその感染を防ぐものではありません。感染後のウイルスの増殖を抑え、発症しないようにする、あるいは発症しても症状を抑える役割をするものです。このことは憶えておきたいことです。 医療機関によっては接種費用が1000ドル近くすることもあるようです。さすがにこれはちょっと高いなという印象ですが、近所の医療機関で200~400ドルで受けることができるはずです。今の季節、どこのクリニックでもワクチンを準備しているので、近所のクリニックをのぞいてみてはいかがでしょうか。ちなみに弊社の健康診断提携先であるMetro Medical Centreでは300ドルとなっています。 インフルエンザワクチンは接種して1ヶ月後くらいに血中の抗体価がピークに達し、その後およそ5ヶ月ほど効果が持続するといいます。今からであればシーズンいっぱい効果が持続するものと思われます。接種を希望するのであれば本格的な流行が始まるまでに受けておきたいものです。   

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敬老の日

本日は日本の「敬老の日」です。敬老の日にあたり総務省より公表された高齢者の人口推計によると、80歳以上の高齢者がついに1000万人を超えたそうです。女性に限って言えば10人に一人が80歳以上ということになり、日本の超高齢化社会はさらに顕著になってきたものといえます。また、およそ4人に一人となった65歳以上の人口も、2030年には36%を超えると推計されています。もちろん100歳人口も増え続けており、誰もが高齢化について自分の問題として考えておかなければいけない時代となっています。 「死ぬまで元気、ピンピンコロリ」これが目標。太く短く生きたいという人も少なくはないようです。もちろんその考え方、生き方が問題だとは言いませんが、現代は医療が著しく進歩していることで、簡単には死ねない時代です。循環器系疾患でも、昔は助からなかったケースでも、生かされてしまうことが多くなりました。もちろん救命率が著しく上がったことは素晴らしいのですが、このことが必ずしも幸福には繋がっていないといえるのです。とにかく病院では助けてしまうわけです。死なせない。そして、病院での役割が終わると、身体が思うように動かなくても退院をさせられてしまうのです。太く短く生きたかったはずなのに、ここで細く長く生きなければいけないという悲劇が生まれてしまうのです。 どうせ生きなければいけないのであれば、とことん元気でいたほうが特ではありませんか?これから100歳人口が益々増えるというのは間違いがなく、自分自身がその仲間入りしてしまうことだって十分考えられるのです。あなたは100歳まであと何年ですか?反対にその同じ期間の過去を振り返ってみてください。昔は今の超高齢化社会など誰も予想はしていませんでした。数十年先、自分が100歳を迎える可能性は決して小さくはないと考えておかなければいけません。 私の提案です。人生のおおよその折り返し点となる40歳を、できる限り健康体で通過してください。この場合の健康体と言うのは、循環器系疾患のリスクを極力排除しておくということです。残念ながら高血糖、脂質異常、高血圧などを抱えたまま通過してしまったということであれば、早急に改善する努力をして欲しいのです。そんなことまで言われたくないという声が聞こえてきそうですが、将来寝たきりにならないことはもちろん、介護なしで生きていける可能性を高めるためです。介護は受ける方も施す方も大変な負担となります。 40歳を過ぎた頃から基礎代謝が落ちるスピードが早くなります。これに対抗しようとしても大変なので、出来る範囲で体を動かすことが求められます。歩くことです。とにかく日常生活の中で歩いてください。背筋を伸ばして早足で。歩くことは健康の基本です。将来、ロコモティブ症候群(運動機能障害)にならないためにも、歩こことはとても大切です。 寝たきりにならないために、早くからの準備が必要です。超高齢化社会で介護人口が増えている問題は、決して自分だけがその例外になるとは考えられません。年齢とともに運動機能が確実に低下します。飛んだり跳ねたり走ったりといった運動ができなくなるだけであれば生活にはほとんど支障になりませんが、普通に歩くことはもちろん、自分の足でただ立つことさえできなくなる可能性があるのです。 敬老の日を機会に、自身の「老化」に関して考えてみることも大切だと思います。

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メタボリック健診、効果検証できず

  2008年から始まった特定健診(メタボリック健診)の効果を調べる厚生労働省の事業で、構築したデータベースに不備があり、多くの健診データが検証作業に利用できないことが会計検査院の調査でわかったそうです。 特定健診の大きな実施理由は、毎年膨れ上がり国の財政負担が増え続けている医療費の抑制にあります。厚生労働省は特定健診の実施に補助金を出しており、その総額は2014年度までに1257億にのぼっており、今回の会計検査院の調査によって、そのムダが指摘されたともいえるものとなっています。 特定健診の結果は今年2月末までに1億2千万件が厚労省に保存されています。その一方で、国民が医療機関を利用した際のレセプト(診療報酬明細書)データは87億8900万件もが保存されています。健診の受診者をレセプトで追跡することによってその効果を検証するはずでしたが、データ入力に問題があって、健診データとレセプトが照合できたのはわずか22%にしかすぎず、メタボリック健診の効果を判断するには程遠い状況となっています。 実はメタボリック健診の、隠された?目的は、後期高齢者医療費の国負担額の軽減です。後期高齢者の医療費は本人負担が軽減されている分、国と市町村、健康保険組合が分担しています。この内の国負担分を減らし、誰からも異論が出ない方法で市町村と健康保険組合の拠出を増やそうとして実施されているのがメタボリック健診です。国としては現段階では思惑が外れてしまったかたちですが、せっかくできた制度なので、検査を受ける側としては、そのデータを個人としてしっかりと活用したいものです。 メタボリック健診は40歳以上が対象ですが、仕事をしている人であれば年に一度は健康診断を受けなければいけません。健康診断は国の政策のためでも、会社のためでもありません。自分自身のためです。もっと具体的に言えば、将来、「寝たきりにならないため」に自分自身の健康を確認し、さらに増進するための手がかりを得るための手段として活用するのです。医療が著しく進歩した現代は、たとえば脳梗塞で倒れても簡単には死なせてくれません。もちろん将来の健康不安は循環器の病気だけではなく、がんもとても大きいものですが、自分自身の努力でリスクをいくらでも低減できるのであれば、実行しておいたほうが絶対に良いはずです。寝たきりになって、下の世話までしてもらわねければいけなくなってしまったら、自分自身もつらいものですし、介護する方にも極めて大きな負担となってしまいます。 メタボリック健診はもちろん、定期健康診断の結果は最大限に活用してほしいものです。

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日本人女性の平均寿命、3年連続世界一

厚生労働省が30日に公表した簡易生命表によると、2014年の日本人女性の平均寿命は3年連続で世界一となる86.83歳でした。ちなみに男性は80.50歳で第3位ですが、何れも前年を上回り過去最高の寿命となりました。医療技術の進歩や健康意識の高まりがその背景にあるものと考えられるようです。日本が長寿であることは誰もが知るところではありますが、香港人の長寿にも毎度のことながら驚かされます。このことに関して、食品は中国からが多いし、水道水の水質も良くない。大気汚染は酷く、そのうえストレスも大きいと思われるのに、なぜ長寿なのかが納得出来ないと言ってその理由をよく聞かれます。ここでは説明しませんが、日本とのある共通点がその理由になっているようです。 さて、寿命が長いことは喜ばしい一方で、介護を含む老人医療費の増大など長寿社会での問題は大きくなるばかりです。家庭内での介護問題など、見えにくい部分ですが極めて深刻な事態となっているはずです。お年寄りの姿を見て、長生きなんかしたくない、太く短く生きたいと願う人も少なくはないようですが、現代医学は思いのほか進歩していて、昔なら願いどおりにポックリ逝けた場合でも、なんとか生かされてしまいます。身内が脳梗塞などで倒れても、なんとか死なずにすんだと言って喜ぶのは一瞬のこと。間もなく退院後の介護の負担の大きさに気が付き愕然とすることになりかねません。病気になった本人にとっても、嫌なものです。 これからまだまだ寿命が伸びます。自分自身が超高齢者になる可能性が、思っているよりはるかに大きいことでしょう。100歳人口もますます増えるに違いありません。とにかく簡単には死ねない時代です。介護を受けながら、本人の意思に反して細く長く生きることになる不幸もあります。どうせ生きるのであれば、とことん健康を維持していきたいものです。長寿社会においては、長生きして死ぬまで元気、ピンピンコロリが理想であり、何よりも介護が要らない姿は家族にとっても自分にとってもとても幸せなものです。 いつまでも健康で元気でいるためには、若い時からの準備が必要です。循環器系疾患のリスクを極力低くするために、特に男性は太らないことです。摂取カロリーに常に注意するとともに、とにかく歩きましょう。出来る限り乗物には乗らないこと。階段を使うことです。日本に帰ってからも、車に頼った生活をしないことも大切です。二足歩行は極めて特殊な機能であり、ヒトだけに与えられたものです。足を使ってあげなければもったいないのです。歩けなくなってそのありがたみに気がつくのではなく、早くから意識して出来る限り足を使うようにしなければいけません。

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中東呼吸器症候群MERS

2012年9月、中東に渡航歴がある重症肺炎患者から、新種のコロナウイルスが分離されたとの報告が英国政府よりWHOになされたのが、MERSの初発例として記録されています。 MERSコロナウイルスと呼ばれる新型のウイルスは、感染発症すると重篤な肺炎を起こし、さらに腎疾患も併発することを特徴とします。現在のところ4割ほどの致死率とされていますが、治療法がなく、発症しても隔離されて対症療法を受けるだけで、自然回復を待つしかありません。 最近、韓国での感染者数が増えており、初期対応に遅れた韓国政府に対して、韓国国内から大きな非難がおきており、関係が深い日本などでは水際での対策を強化しています。事態をいまさらのように重く見た韓国政府は、患者と接触したと思われる人の隔離政策をおこなっており、現在約1600人を病院や自宅で隔離しています。韓国ではこれまでに36人の感染者が確認されており、うち3人が死亡していることを背景に、韓国では1100以上もの教育機関が休校になるなど、社会的な影響が大きくなっています。 MERSコロナウイルスは、2003年に世界を震撼させた新型肺炎SARSを彷彿させます。実際、このウイルスはSARSと近縁種にあたるウイルスであり、どちらもコロナウイルスという犬やネコなど動物にとって重要なウイルスの変種です。SARSはコウモリが起源だったとの説が有力であるのに対し、今問題になっているMERSコロナウイルスはラクダが起源であろうとされいます。感染が徐々に拡大しており大変不気味ではあるものの、SARSとは決定的に違うのは、初期に感染を拡大させたスーパースプレッダーの存在がないこと。最初の患者が確認されてからの患者数の増加が非常に緩やかであり、新規患者も院内感染など感染者との濃厚な接触に限られているようです。また現在感染発症者に対する死亡率を4割くらいであると見込んでいますが、感染しても発症していない人も少なくない可能性もあり、死亡率はかなり下がるのではないかとみる専門家もいます。 今回の事態に対して、2週間程度新規感染者を出さない事ができれば、収束に向かうのではないかと比較的楽観視する専門家もいますが、個人レベルでも対策を講じておくことは必要です。インフルエンザウイルスと違って感染力が非常に低いので、個人での対策は非常に有効かと思われます。感染予防は風邪やインフルエンザと同じで、手洗いの励行や咳エチケットです。中東や韓国など感染者が出ている地域からの帰国後、発熱や咳などの症状が出た場合は、早めに医師に相談すること。マスクをするなど咳エチケットを守ることが大切です。 今回問題となっているウイルスはヒトコブラクダが起源だと疑われていますが、新型のウイルスは野生動物との直接的・間接的接触が起源となっており、ヒトと野生動物との「接点」に関して今一度考えなければいけない機会にもなると思います。人類の、開発と環境問題が関連してくることでもあります。

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2015年新規がん患者数の推計

2015年に、日本で新たにがんになる患者数の推計が、国立がん研究センターより発表されました。 それによりますと、これまで第3位だった大腸がんが1位になった一方、長くトップを維持してきた胃がんが3位に落ちています。また前立腺がんが増え、第4位になるようです。肺がんは第2位のまま不動です。 大腸がんが増えた理由は高齢化であり、また胃がんが減ったのはピロリ菌の感染率が落ちているからだそうです。また報道内容にはありませんが、前立腺がんが毎年増えていると言われています。これは発症が増えているというより、高齢化という理由とともに検査する人が増えていることが大きな理由です。 大腸がんが増えていることの理由としてあげられている高齢化ですが、大腸がんの進行が遅いので、高齢になって症状が出て検査する人が多いということが理由ではないでしょうか。つまり、早くから大腸内視鏡検査を行なっていれば早期がんの状態で発見できる可能性が高く、手遅れになることを避けられることを意味します。大腸がんの検査は、50歳以降に5~7年に一度で良いとされるのは、進行が遅いがんなので、頻繁に検査しなくても早期発見が可能ということです。 前立腺がんは、PSA検査を受ける人が世界的に急増しており、これが患者数を増やしている原因になっているようです。前立腺がんも進行が極めて遅く、かつてはがんになっていることを知らずに他の病気で死亡してしまうことが多かったようです。ところが最近、高齢化で生きているうちに発症する人が増えていることも患者数の増加につながっているようです。 さて、がん死亡者数に目を移しますと、部位別3大がん死は肺、大腸、胃の順番に変わりはありません。これらのうち、大腸と胃は内視鏡検査で早期発見が可能なので、もし全員が検査を受けると仮定すると、がん死は大幅に低下するに違いありません。男性の前立腺がん、女性では子宮頸がんも早期発見が可能ながんです。乳がんや、男性のがんとして注意が必要な精巣腫瘍は自分自身で触診が可能であり、早期がんの発見さえ期待できるものです。 がんは確かに怖い病気ですが、胃がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、精巣がんなどは治るがんであるという認識が高くなっています。やるべきことをやっておけば、大腸がんや胃がんといった死亡者数が多いがんであっても怖くはありません。ぜひ早期発見に努めてほしいものです。

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紫外線対策

4月に入ると、北半球では紫外線量が大幅に増えてきます。本格的な夏を迎える前の5月には、すでに極めて強い紫外線を浴びているのに、気温がそれほど高くないためか、強い紫外線に気がつかない人も多いのではないでしょうか。知らないだけともいえますね。今から日焼け対策などを心がけなければいけません。  紫外線対策というと、イコール日焼け対策と思う方も多いと思いますが、実は目にも大きな影響があります。強い紫外線を浴び続けると、白内障や黄斑変性症などを起こし、視力に深刻な影響を与えてしまうことがあるのです。もちろん目には瞳孔があって、明るい光に当たると瞳孔が収縮して、紫外線の侵入も少なくなるという防御機能が働くので、日常の生活ではほとんど問題にはなりません。海や山での行楽、あるいは農作業など長時間屋外にいる場合にはサングラスの着用が勧められることになります。もちろん帽子や日焼け止めは必需品です。  ところで色の濃いサングラスほど紫外線透過率が低いと思っている方はありませんか?そう思ってしまう方は意外と多いものですが、実はサングラスの色と紫外線透過度には直接的な関係はありません。それどころか、色の濃すぎるサングラスを着用すると、視界が暗くなる分瞳孔が開いてしまいます。したがって紫外線対策用のサングラスでなければ、より多くの紫外線を網膜に当ててしまうことになります。サングラスでも紫外線透過度が低いもの、つまり紫外線をより通しにくいものを選ばなければいけませんし、場合によっては通常の眼鏡でも紫外線対策になるものもあるので、購入時にはメガネ屋さんとよく相談してください。  紫外線対策にもっとも神経質になっている国はオーストラリアです。かつては肌の色が濃い先住民(アボリジニー)しか住んでいなかった土地に、白人が移り住んでいるわけですから、その影響は相当大きく、眼疾患、皮膚がんなどが好発しています。日本人が熱帯地方に住むといった比ではありません。もちろん日本人など黄色人種もそれなりに影響があるので十分注意することが大切で、サングラスまではしなくても、帽子をかぶり、肌には日焼け止めを塗るなどの対策をとっておくことをお勧めします。  WHO(世界保健機関)によると、香港は中緯度地方でもっとも紫外線量が多いところだそうです。これからの季節、十分に注意しておきたいですね。 

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インフルエンザ流行情報

香港でインフルエンザが猛威を振るっています。連日のように死亡者数が報道され、個人的には2003年のSARSの時を彷彿させられてしまうほどです。このまま死亡者数が増えると、流行が続くと思われる3月末までに500~600人もの死亡者数になるとの予想もあります。若干の動揺もあるようですが、実際問題として今季のインフルエンザ流行をどのように捉えれば良いのでしょうか?  インフルエンザの死亡者数を日本の統計で確認すると、多い年は1万人を超えています。その幅は大きく、年によっては10倍以上もの開きがあるわけですが、日本と香港の人口比をごく大雑把に20倍と考えると、香港での500人の死亡者数は日本では1万人になります。このように考えると今季の香港でのインフルエンザ死亡者数は驚くほどのものではないといえます。もちろん例年に比べると非常に多いということは間違いありませんから、厳重な注意が必要です。  ところでこの死亡者数は、統計上「超過死亡概念」が含まれるということです。香港での報道では死亡者の多くは65歳以上。それ以上の情報はほとんどありませんが、基礎疾患をかかえている人が多いのではないかと推測されます。つまり、例えば心疾患を抱える人がインフルエンザを発症して心不全を起こして死亡した場合、この死因はどうなるのかということです。この死因をインフルエンザとした場合、超過死亡概念によるインフルエンザによる死亡となるわけです。今季、香港でインフルエンザ死亡としてあげられている数字の多くはこのようなケースが含まれていると考えられます。一節によると、インフルエンザを原疾病とした死亡者数と、超過死亡者数との間には10倍程度の開きがあるそうです。  したがって、今季のようにインフルエンザが特に流行している場合、持病がない人にとっては、一般的な感染予防を怠らなければ問題は少ないといえますが、一方で心疾患や糖尿病など循環器系疾患を持病としている人、何らかの慢性疾患を抱える人は、特段の注意が必要となります。  インフルエンザは風邪の親戚のような病気ではありません。症状が呼吸器に集中する普通感冒(風邪)とは異なり、死亡リスクを伴う全身疾患です。普通感冒も流行する今の季節は、医者であっても風邪との鑑別は難しいといいます。それでも39度を超える急激な発熱はインフルエンザを疑い、早い段階で医師に相談するべきです。風邪とは違って重い感染症ですがインフルエンザには特効薬があります。  今の時期には、インフルエンザに感染しないことは難しいのかも知れません。人口密度が高い香港では尚更のことです。大切なのはたとえ感染しても発症させないこと。休養(睡眠)、適切な栄養摂取、軽い運動といったことで免疫力を低下させないことができます。手洗いの励行は言うまでもありません。また万一インフルエンザを疑う症状が出てきた場合は、即座に休むこと。無理して出社しても感染を拡大させてしまうだけで、かえって迷惑になってしまいかねません。まずは病院、そしてゆっくり休むことです。なお、発熱に際しては十分な水分摂取を忘れないことです。脱水を起こしやすい小児の場合、特に気をつけてあげたいものです。

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インフルエンザ流行拡大

インフルエンザの流行が、 今季は例年に比べてかなり大きくなっているようです。日本での流行開始時期は例年よりせいぜい1週ほど早かっただけですが患者数の増加は著しく、早い時期から小中学校では学級閉鎖や学年閉鎖が行われていました。例年、日本の流行を追うように、香港での患者数が増えてくるので、あくまでも個人的にではありましたが、今季は患者数が多いのではないかと思っていたものです。昨年11月頃にはバスなど公共の乗り物の中で、風邪症状を示している乗客が目立っていると実感。もちろん必ずしもインフルエンザ患者とは言えませんが、インフルエンザも風邪も感染経路は似ており、漠然とインフルエンザが大流行するという実感を持ったものです。もちろん個人的な感覚だけでは何の根拠もありませんが・・・。 さて、このところインフルエンザによる死亡者数が頻繁に公表されており、市民の間に不安が広がりつつあります。ちなみに今月6日昼までに、今年に入って126人が死亡したと報道されています。頻繁に公表される死亡者数や入院患者数を2003年春から初夏にかけて香港を大混乱させたSARSに重ねる市民もいるようです。 今季のインフルエンザの流行主体はA香港型(H3N2型)であり、特に変わったものではありません。中国で散発的に感染死を出している鳥インフルエンザ(H7N9)はまったく別のものであり、例年と異なる注意が必要なわけではありません。このままいくと死亡者数は600人程度になるのではないかと予想されています。 昨年の死亡者数が133人、一昨年が29人であったことを考えると急激な死亡者の増加に見えますが、2000年、04、05、07年にも死亡者数は増えており、公式な統計ではないもののこれらの年には800〜1000人が死亡したのではないかと推計されています。 実はインフルエンザ感染による直接間接的な死亡者数は日本でも決して少なくはなく、少ない年でも1000人程度、多い年には1万人に達しているものと推測されており、人口比で考えると香港での死亡者数が特に多いわけでもないことがわかります。なお、死亡者の年齢は65歳以上で特に多く、さらに基礎疾患がある人に死亡例が多いことは、日本も香港も同じです。また小児の場合は脳炎にも注意が必要です。死亡者数がマスコミによって大々的に報道されていますが、これに惑わされることなく、通常のインフルエンザ予防に努めてください。 手洗い、睡眠確保などの休養、適切な栄養に加えて軽度から中等度程度の運動を加えると、免疫力の低下を防ぐことができるようです。春節を前に暴飲暴食傾向が大きい人も少なくはないと思いますが、多くの人がいる場所に長時間止まるということがインフルエンザ感染に最も危険なことです。できれば人混みは避けたいものです。マスクを過信しないこと。最近の高機能マスクですが、機械的に検査したデータとしての効力は大きいものの、実際の使用にあたっては、吸気時に鼻の横などにどうしてもできる隙間からの空気流入が多すぎて、ほとんど感染予防になっていないとの研究データが公表されています。マスクは感染したな、と思った時に周囲への感染拡大を防ぐ目的で使用してください。なお、うがいは日本だけの習慣であって、国際的な評価はまったくありません。

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インフルエンザ大流行中

今季、インフルエンザが猛威をふるっている。日本での流行は昨年の10月下旬に始まったが、これは例年と大きく違うことはない。時期としては例年並みといえたが、その後の患者数の増加が著しかったことが例年とは違うところ。現在では西日本を中心に「警報」レベルの地域が多く、集団感染や死亡例も目立ってきている。ちなみに香港では流行のピークが日本より半月から1ヶ月遅れ、流行期は4月まで続くと衛生署ではアナウンスしている。今季のインフルエンザウイルスのタイプはH3N2香港型で従来のものと変わりがないものの、ウイルスの株が若干違ってきていることで、ワクチンの効果も低いのではないかと思われている。高齢者や乳幼児は重症化しやすく、特に注意しなければいけない。中国ではH7N9型鳥インフルエンザ感染事例がここ数年目立っており、死亡例も確実に増え続けている。これまでH5N1型鳥インフルエンザが最も注目されてきたが、ここ数年、世界中でヒトへの感染事例が続いているものの、感染の拡大が認められず関心が薄れてきたかのようであった。しかし、それに代わってH7N9型鳥インフルエンザへの注目度が急に高まってきている。今のところH5N1型と同じく、ヒトへの散発的な感染が確認されているだけで、ヒトの間で感染を繰り返すことができる能力は獲得できていない。H5N1型にしてもH7N9型にしても、。いつヒトの間で感染を繰り返すことができるようになるかは誰にもわからないことではあるが、とにかく備えは必要であることは間違いない。インフルエンザワクチンの効果を疑問視する見解も少なくはないが、現在開発研究が進められている最先端のワクチンは万能タイプのもの。かなり研究が進んでいることから数年内に完成する可能性があるが、これが実用化された暁には、人類にとってインフルエンザはまったく恐れる必要がない病気になる。世界中で開発競争しているが、この関係でノーベル医学賞の受賞者があらわれることは間違いない。ところで、日本人はマスク好きだ。高性能のマスクが開発されて、売り上げも毎年急上昇している。ところが、巷に売られているマスクは、感染症予防には効果がまったく期待できないという。実験によると、鼻との間にできる隙間から吸気の60~80%もの空気が入り込んでしまうため、病原菌をカットすることができないという。細菌やウイルスを100%近く捕えてしまうというマスク自体の性能は、確かに実験の上では間違いのないものであるが、実際に使用するにあたって、そんな数字はまったくあてにはならない。マスクは、自分から他人への感染を防ぐことに優れた効果を発揮するということに関してはどこからも異論は出ていない。マスクを過信しないで、基本的な感染予防に努めたいものである。