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今季インフルエンザ 爆発的流行

今季は9月に沖縄で始まったインフルエンザ流行が、その後も急速に全国に拡大しています。先日公表された11月終わりから12月初めにかけての週の患者数は、昨年に比べて約6倍にも達しているとのことです。地域間の格差も大きいものの、札幌市では37倍にもなるとのことで、まさに異常事態ともいえる状況となっています。学級閉鎖なども全国で933件と、こちらも昨年同時期の9倍に達しているなど、流行による社会的な影響も大きくなっているものと思われます。  日本で、例年になく流行が早く、そしてここまで流行拡大している大きな理由として、ラグビーワールドカップをあげる専門家は少なくはありません。流行が終息していない南半球からも多くの観光客が来日したからだといいます。インフルエンザは12月から翌2月くらいまでがピークだと認識している人が多いと思いますが、世界に目をむければいつもどこかで流行しているものです。したがって人の往来が多くなれば、他の地域に流行拡大するリスクはいつもあるのです。もちろんウイルスが運ばれていった先に、流行を起こし得る気候条件が整ってればですけど。 さて、これから本格的にホリデーシーズンを迎えます。日本へも多くの人が渡航することでしょう。一時帰国して日本でお正月を過ごすという日本人も多いと思います。日本での流行のピークが今季は年末年始にあたるのではないかとの予想があります。もちろんお正月ではなくてもクリスマス休暇を利用して日本を訪れる観光客が急増する時期にあたります。その人たちが日本でインフルエンザに感染して、ウイルスを持ち帰ってくる危険性が非常に大きいのです。香港では、日本に少し遅れて流行が本格化することが多いので、1月は非常に危険な月になるものと思われます。  流行のピークは例年2月いっぱいまでは続きます。終息は3月下旬になります。この時期、十分な感染予防をしておきたいものです。接触感染のなかだちとなるのが手指です。外出から帰ったら必ず石鹸で手洗いしてください。うがいをする人も多いのではないでしょうか? うがいの効果に関しては国際的なエビデンスはなく、ほぼ日本人のみが行う習慣のようです。うがいよりも、水やお茶を頻繁に飲むことの方が感染予防には有効だといえそうです。ある日本人医師は診療の傍ら、緑茶を飲んで感染予防に努めているそうです。しっかりと睡眠をとって身体を休めたり、十分な栄養を摂ったりすることも免疫力を落とさないことにつながるようです。 インフルエンザを含めて、風邪と呼ばれる上気道感染症に感染するリスクが非常に高い季節です。個人でできる感染予防にしっかりと取り組むことをお勧めします。

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インフルエンザ予防接種

今年もインフルエンザ予防接種が開始されています。昨年と同様ワクチンは4種類のウイルス株に対応するもの(4価)になっています。H1N1(A型 2018年ブリスベーン)H3N2(A型 2017年カンサス)B型に関しては2017年コロラド、2013年プーケットの2種類です。(B型に関しては昨年と同じ) ちなみにプーケット株は、元は山形で分離されたものです。 WHO(世界保健機関)が直近の南半球の流行株を分析して、その年の北半球での流行株を予想します。この情報は北半球の政府機関に対して毎年6月ころに通知されます。これに基づいて各国では、自国での流行株情報を加味したうえでワクチンに加えるウイルス株を決定して製薬会社に対してその製造が委託されます。(南半球ではこの反対です) なぜウイルス名に地名がついているのか?疑問に思う人も少なくないと思いますが、これらはそのウイルス株が初めて分離された(発見された)場所と年を表します。実際にはその場所で何番目に分離されたかといった数字やほかのどのウイルスの系列になるのかも記載されて正式なウイルスの種類として登録されています。 インフルエンザワクチンはその効果を保証できるものではありません。しかし、やっと流行が治まってきた南半球の状況を反映しているものであり、さらに短期のうちに流行株が大きく変わってしまうことは考えにくいことなので、ある程度の効果を期待できることは確かです。もちろんウイルスは常にその構造が変化しており、当然のことながらせっかくの効果が希薄になってしまうことも十分に考えられることです。 では、接種をしたほうが良いのか、その必要性は低いのか? 疫学的な観点で考えると、接種したほうが良いと思われます。また社会全体の接種率が高いほど、全体の感染率が確実に下がるとされています。肝炎のワクチンのように、抗体ができれば100%の効果が期待出来るのであれば良いのですが、残念ながらいまだに万能ワクチンは開発できていません。(開発は試みられています) ちなみに接種費用は250~400香港ドル程度で、医療機関によって大きな差があります。診察を必要とする場合は、この倍額程度ではないでしょうか。費用については希望医療機関で確認してください。 インフルエンザワクチンは接種して3週間くらいで血中の抗体価がピークに達し、その後およそ5~6ヶ月ほど効果が持続するといわれます。さらに流行期間中はインフルエンザに感染してしまうことも少なくはなく(感染と発症は別です)、ブースター効果(増強効果)を期待することもできます。今の時期に接種すればシーズンいっぱい効果が持続するものと思われるので、できれば本格的な流行が始まるまでに受けておきたいものです。急に流行が始まったことがニュースになると、一気にワクチンが不足する事態にもなります。日本の流行状態をみると、香港や華南での今年の流行開始時期は早まりそうです。

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結核に対する注意

過去の病気であるというイメージが強い結核感染です。しかし、現在でも集団感染事例が散発するなど、十分な注意が必要であることを改めて認識しておきたいものです。最近の日本の事例ですが、大阪の社会福祉施設で30人もの集団感染が起きたり、北九州市でも会社勤務の8人が集団感染が起きるなど、全体の感染者数は、かつてに比べて減ってきてはいるものの決して安心できる状態にはありません。 日本の新規感染者数は10万人当たり13人強となっており、先進国の中ではまだまだ非常に多いものとなっています。20数年前には30人にも達し結核非常事態宣言がなされたときに比べると激減しているようには見えますが、今後東京オリンピックを迎えるにあたり、海外からの旅行者が増えることで結核感染が再び増える懸念があります。さらに海外からの労働力移入も制度化された現在では、しっかりとした対策を実施していかなければいけません。 さて、香港はというと、昨年の統計で新規感染者数4326人、医療統計上用いられる10万人当たりにすると50人を大きく上回っているのが現状です。もちろん中国あるいは東南アジアなど香港との交流が盛んな国々の感染者はさらに多いことから、海外に暮らす日本人も結核感染に対しての特段の注意が必要となります。私の耳に直接入ってくる情報だけでも、毎年ひとりは香港で日本人感染者が現れているので、実際にはさらに多くの感染者が出ているに違いありません。単純に1万人当たりの感染者数が5人であると考えれば、香港の日本人数人の感染者がいるものと考えられます。ほとんどの患者は半年間に及ぶ投薬治療を受けつつ、通常の生活を送っているので、昔、恐れられていた不治の病というイメージはまったくありませんが、知らないあだに周囲に感染を広げてしまう危険性に関しては今も昔も変わりありません。毎年一度は、必ず胸部レントゲン検査を受けるべきです。結核感染の多いところでは、胸部レントゲン検査は結核の検査だといっても過言ではありません。毎年受診する健康診断での胸部レントゲン検査は、思っている以上に重要な検査であるといえます。

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麻疹の流行に関しまして

現在、麻疹が流行していること関してはご存知の方も多いことと思いますが、香港でも感染事例が増えており、市民の不安も膨らんでいるようです。香港政府は香港人の予防接種率が高いことを根拠に不安を抑えようとしていますが、大陸からの観光客が多いことなどから、簡単に不安払拭はできないのではないようです。現在、香港のワクチンはすでにサプライヤーの元にはなく、医療機関によって買い占められたような状況です。 ところで日本では過去10年間に限ると、2007、12、14、15、16、18、19年と7回流行しており、先進国としては異例の事態となっています。また、2001年には20万人以上の麻疹患者を出し、「麻疹輸出国」の汚名を着せられたこともありました。その後、2007年に「麻しんに関する特定感染症予防指針」が出されて対策が強化されたたものの、麻疹流行を完全に抑え込むことが難しかったようです。 患者が多かったのは免疫のない人が多い18~40歳(2017年調査時)。50歳以上の世代は子どもの頃に麻疹にかかり抗体ができており、若年世代は2回の予防接種を受けているが、その世代は抗体を持っていないか不十分なため(予防接種を1回しか受けていないため)です。 厚労省は2007年の流行を受け、08年から13年までの時限措置として、麻疹抗体保有率が低い人たちのうち、中学1年生相当と高校3年生相当の2グループに追加の接種を行い、国内からの「麻疹排除」を目指しました。その対策は一定の成果を上げ、2015年に日本は麻疹排除状態にあると一旦は世界保健機関(WHO)に認定されています。 ところが、翌16年には関西国際空港をはじめ多数の地域で、17年には山形県などで、さらに今年は沖縄県や愛知県などで麻疹のアウトブレイク(流行)が起きています。この原因は、海外からの渡航者が麻疹ウイルスを持ち込んだためです。アジアではフィリピンで大規模な流行が起きており、十分な注意が必要な状況が続いています。 予防接種は麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の形で2回接種します。1歳児の1回目接種、小学校就学前の2回目の接種ですが、2回接種が始まったのは2006年からです。 日本の予防接種事業の混乱から、接種を受けることができなかった年代があったことや、1回しか接種を受けていない人のブースター効果が期待できる感染機会が限られてしまったことなどで、現在の流行を引き起こしている可能性があります。抗体の有無を確認し、抗体を失っている人の場合、あるいは低い抗体価しか保有しない人の場合は予防接種を受けることが望まれます。 世界的な麻疹流行という事態に対応するため、弊社健康診断の追加項目にあります麻疹抗体検査料金を特別価格でご提供することといたします。麻疹抗体検査 通常550ドル  特別価格400ドル健康診断申込み時に追加していただくか、あるいは健診当日までにお申し出ください。なお、麻疹抗体検査のみの受付はしておりませんので、あらかじめご了承ください。

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春節後のインフルエンザ流行拡大懸念

今年は異常なまでに暖かい春節となりました。暖かいことでインフルエンザの流行拡大が収まれば良いのですが、それほど簡単な問題ではありません。春節で多くの人が旅行します。中華圏では年間を通して最も多くの人が移動する時期にあたります。ヒトが動くと感染症も運ばれます。今の時季、運ばれる病原体の筆頭は、もちろんインフルエンザウイルスです。 今年は、中国人にとって人気の旅行先である日本でも大規模な流行となっています。今年も今の時期、多くの中国人が日本を訪れていることでしょう。彼らは日本でインフルエンザに感染してそのウイルスを持ち帰っていきます。毎年、年が明けてからインフルエンザの流行が急拡大する傾向にあるのは、休み明けに学校で急激に感染が拡大して、子供が持ち帰ったウイルスに家族が感染して…ということになるからだともいわれています。春節明けも同じことが言えます。もちろん職場でもリスクは同じです。 日本のある中学校のはなし、「あること」をして今季の感染者数が激減したそうです。この方法はまねたほうが良いと思うのでここで紹介しますが、毎日放課後に椅子と机、あるいはドアノブなど誰もが触れるところを除菌シートで拭いたそうです。除菌シートといっても既成のものではなく、消毒用アルコールで拭けば良いだけのはなしです。このことからわかるのは、インフルエンザ感染は、飛沫よりも接触によるものがはるかに多いのです。ウイルスが付着した手を顔にもっていくという無意識の動作が感染につながります。手洗いの重要性は改めて説明するまでもありません。 インフルエンザの流行のピークは今月いっぱい続き、その後徐々に感染者は減るはずです。ただし、流行の終盤にはA型よりもB型の感染者が増えてくるのは例年のこと。A型は現在2タイプが流行しているので、最大3回もインフルエンザに感染してしまうこともあるので、一度感染した人も含めて今しばらくは十分な感染予防に努めてほしいものです。これは自分自身のためだけではなく、学校や職場、そして家庭での感染拡大を予防するためでもあります。個人の意識が高まれば、地域的な流行規模は小さくなることが期待できます。