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フードファディズム

「食べものや栄養が健康と病気に与える影響を過大に信じること、科学が立証した事実に関係なく何らかの食べものや栄養が与える影響を過大評価することである。科学が立証したことよりもその影響を信じて固執していること。フードファディズムの対象となりやすいものは健康に好影響をもたらしそうな食品、有害性が疑わしい食品をはじめとして、ダイエット食品、健康食品、ミネラルウォーターなど様々である。」 Wikipedia より 思い返してみるとこれまで、バナナ、納豆、寒天、ココア、にがり、白インゲン・・・・・・・・、などなど色々な食品に一時的に消費者が飛びつき、市場を混乱させてきました。その多くはテレビの健康番組が発端となっており、スーパーの仕入れ担当は、番組で取り上げられる食品情報をなんとか早くつかみ、仕入れを増やしておくかが腕の見せどころとなっていたようです。 今回はトマトだそうです。どうやら日本ではトマトジュースが品切れだとか…トマトに含まれる成分で中性脂肪が低下するという研究結果が発表されたことがきっかけになったそうですが、まったくばかげた話です。確かに実験・研究としてはそういうことがわかったという成果は認めましょう。しかし、だからと言って単純にトマトジュースを飲みさえすれば、中性脂肪が下がると考えるのは、とてもあさはかです。 最近気になることは、○○を食べれば(飲めば)、△△が良くなる・・・というように、摂取するものをあたかも薬のごとく思いこませる表現があまりにも多いことです。巷では様々な健康食品が売りだされ、その効能がそれとなくうたわれていますが、はっきり言って、そんなもので健康になるなどありえない!少なくとも肥満解消(メタボ解消)、コレステロール・中性脂肪低下などあるはずがないと思っていた方が無難です。何かを入れて(食べて)、何らかの効果を期待する考え方はもう捨てたほうが良いでしょう。現代人はとにかく食べ過ぎている人が多いのが現状。今食べているものの中から、食べなくても良いものを除く作業が必要で、結果的に摂取カロリーが減れば、減量につながります。 しっかりしろよ、日本人! 少しは自分で考えろ! そんな気分です。こんな単純な思考をする民族は、世界広しといえそれほどいないのではないでしょうか。サプリメントばかり飲んでいるアメリカ人もおかしいですが、日本人の特徴はマスコミに極めて踊らされやすいこと。自分の判断力を簡単に放棄してしまって、テレビの映像をただ盲目的に信じ込んでしまうことが特徴です。 今回のトマトでは中性脂肪ですが、本当に中性脂肪を落としたければそんなものを飲むことより体重を1%だけでも落とすことです。近所のスーパーに車で出かけてトマトジュースを買ってくる姿が目に浮かびます。たとえ目と鼻の先にあるスーパーでも、帰りの荷物が重いからといって、車で出かけることは当たり前のようです。中性脂肪を低下させたいのなら、車に乗るのではなく歩きなさい!中性脂肪や血糖など、その気になれば簡単に落ちます。 フードファディズムは、何らかの食品を過剰摂取することだけではなく、反対にまるで毒物でも見るかのような扱いをして避けることもその意味に含まれます。「ご飯は血糖値を上昇させるので食べない方が良い」これもフードファディズムです。

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マラソンは危険なスポーツ

先週末に開催された香港マラソンでは、20歳代の男性がひとり死亡し、多くのランナーが救急搬送されました。約7万人もの参加者がいたわけですから、このくらいの事故は起きるだろうと、他人事のように考えて走るのは危険です。マラソンやジョギングでの死亡事故は、スポーツの中では最も多いといわれている割には、その危険性についての認識は多くのランナーにはないようです。 走ることは、心臓に対する負担がきわめて大きいことが、危険であるとされる主な理由ですが、私自身は違った視点からその危険性を個人的に理解しています。動物としてのヒトを考えてみましょう。ヒトのDNAは他の哺乳動物と大差はなく、生物としての基本的な特徴をすべて共通して持っている・・・。これが考え方の基本です。野生動物が走るときは、「危険を回避する時と獲物を追う時」くらい。つまりマラソンのように長距離を何時間も、「無理を強いた状態」で走り続ける動物はヒト以外にないのです。自身に負担をかけ過ぎることは、生命維持に影響するものとして本能的に避けているともいえましょう。 本来の動物に、生きるために備わっている走ったり、飛んだりするという運動能力を、高度に発達して自分自身の基本的な能力で危険回避などすることが無くなったヒトは、スポーツとして楽しむようになったといえます。自分の能力を試したい、他の人に勝ちたいという競争心を前面に出したのが競技スポーツです。 ところでジョギングは、誰もが、ひとりで、どこにいてもできる手軽な有酸素運動であり、これ自体はとても優れた運動であることは間違いありません。ただし一歩間違えるととたんに危険なスポーツにもなるという二面性を持ち合わせることも事実です。ジョギングとマラソンの違いは、会話を続けながら走ることができるかどうかです。走ることを健康の維持増進に役立てるのであれば、会話を楽しみ、笑顔をつくれるくらいの運動負荷にしなければいけません。苦しさに顔をゆがめて、それでも無理して走るのはとても危険な行為です。 繰り返しますが、マラソンという競技は、心臓への負担が極めて大きなスポーツであり、危険性が高い運動の筆頭です。自分の体力を見極め、決して無理しないことがとても大切です。 ちなみに健康のための運動として最も優れているのはウォーキング。野生動物は歩かなければ餌にありつけません。足を傷めて歩けなくなった動物には死が待っています。ヒトが失いつつある歩くという基本動作を、現代では積極的に補う必要があります。歩き方によっては、かなりのエネルギー消費になりますから、ダイエットにも最適でしょう。 春から初夏にかけてウォーキングには最適の季節です。週末、ちょっと歩いてみてはいかがでしょうか。

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健康診断の目的

皆さんはなぜ健康診断を受けるのでしょうか? もちろん基本的には日本の労働安全衛生法にのっとって受診し、家族もそのベネフィットを受けているわけです。国内とは違って、海外では嫌々・仕方がなく受診しているあるいはさせられているという人はとても少ないように思いますし、健康に対する意識レベルは、一般に海外在住者の方が高いように感じます。ただその目的をしっかりつかんでいる人が多いかというと必ずしもそうではないようです。 健康診断は、病気の発見が第一の目的ではなく、自身の健康状態を理解したうえで、さらなる健康増進を図るべくその基礎資料を得るためのものです。もちろん現在の健康状態が悪い人にとっては、その改善を考えるデータとなるわけです。その目的の上で受診した健診で、たまたま病気が発見できることもありますが、これはプラスアルファーのメリットと考えておきたいものです。 あくまでも私が考える健診の目的ですが、これは将来死ぬまで自分の足で歩けるようにするために、どのように健康の管理を行うかを考えるための基礎資料を得ることです。人の死亡原因はがんまたは循環器系疾患だけで3分の2から4分の3程度にもなります。がん死のトップ3は肺がん、胃がん、そして大腸がんであり、このうち胃がんと大腸がんはそれぞれの検診をきっちりと受けていることで完治可能な状態での早期発見が可能です。また発見が難しい肺がんはタバコを吸わなければそのリスクが大きく下がります。一方で循環器系疾患のリスクですが、特に男性の場合、肥満が大きいことは間違いありません。肥満を避ければ脂質異常や高血糖、高血圧など血管を傷める疾患の罹患の可能性が低下します。つまり心臓血管系疾患や脳血管疾患の罹患リスクを有意に下げることができるのです。 最近、「チャーミーグリーンを目指しましょう」というお話をよくします。チャーミーグリーンは洗剤ですが、そのCMでかなりの高齢かと思われる老夫婦が手をつないで歩いていくほのぼのとした姿が映されているのです。年をとっても手をつないで仲よくしましょうというのではなく、いくつになっても夫婦ともに自分の足で歩くことができる姿が素晴らしいのです。高齢化とともに最近は老老介護が増えています。夫婦どちらが介護を受けても、あるいは反対に介護者になっても不幸です。 いくつまで生きるということを目標になんてことは言いません。とにかく死ぬまで元気にしていたいものです。その結果として元気に長生きできれば本望です。そのためには若いときからきちんと身体のケアをしていかなければいけません。現代のような食生活や運動不足の状態では余計に意識しないといけません。「俺は太く短くいければ良いんだ」と言っている人もありますが、そういった人にかぎって脳梗塞を起こし、それこそ死ぬに死ねずに長期間にわたって介護を受けて生きていくしかない状態に陥る可能性が高くなります。 話が逸れますが、長生きすると「お金」のことも考えていかなければいけなくなります。一昔前までは年金で何の不自由もない老後を思い浮かべていればよかったものが、これからは年金枯渇など急速に深刻な問題になってきそうです。たとえ健康であったとしても、生活に困窮するのであれば、これも困りものですね。これからの社会、自身の健康と将来の資金繰り、両面を考えていかなければならなくなってきたことで、人生そのものが難しくなってきたように感じます。

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退伍軍人症

ここ数カ月、「退伍軍人症」について報道される機会が多く、日本人の方からも質問を受けるようになってきました。私自身もかなり以前から気がついてはいましたが散発的に老人が感染しているだけで、日本人には影響がないものと思い、この医療情報でも触れませんでした。 ところが、先日、教育局長が感染発症。勤務先である新築のセントラルガバメントオフィスのトイレなど多くの場所から原因菌が認められたことで、問題が大きく扱われるようになってきたことで、日本人の関心も高くなってきたようです。 退伍軍人症は日本ではレジオネラ感染症と呼ばれており温泉などの入浴施設での感染例が目立ち、毎年のように死亡例が出ています。もちろん健康な人が風呂に入っただけで感染するわけではなく、高齢者など免疫力が低下した人が特に危険だといわれています。潜伏期間は2~10日間。レジオネラ肺炎を起こし、死亡率は15~30%とされています。 1976年、米国ペンシルベニア州で開催された在郷軍人会に参加した人や周辺の住民221人が感染し、うち34人が死亡したことが、この感染症が発見されるきっかけとなり在郷軍人病(中国では退伍軍人症)と呼ばれることになりました。この時の感染源は、会場近くの建物にあった冷却塔から飛散したエアロゾル(霧状の水滴)にレジオネラ菌が含まれていたためです。 このように感染には水が深くかかわっており、特にエアロゾルを発生させるような状態が危険であり、十分な衛生管理を求められています。香港のセントラルガバメントオフィスでの感染は、トイレが疑われていますが、フラッシュウォーターを流した時には当然ながらエアロゾルが発生しており、その水にレジオネラ菌が増殖していれば当然ながら感染源になりえます。まだ新築のビルではありますが、施設が新しいかどうかなどは関係ありません。 日本では循環式の家庭風呂が問題になり、1996年経産省から業界に対して改善指導がなされています。(翌年から対策済みの24時間風呂のみ販売されています)また加熱しないで霧を発生させる加湿器も重要な感染源となっています。実際、病院で使用されていた加湿器が原因でレジオネラ感染が起き、乳幼児が死亡している例もあるので注意が必要です。 免疫力が低下した人に対しては危険性が大きいもののレジオネラ菌自体、環境中にいくらでも存在する常在菌ですから、通常は恐れるような病気ではありません。エアコンの水がマンションの高層階から降ってくるような香港では、実際問題として確実に感染予防することなど不可能でしょう。感染予防は水回りの衛生管理につきます。一般家庭では最も危険だとされる加湿器の水を毎日取り換えることなどは常識です。またシャワーノズルや水道の蛇口もレジオネラ菌が増殖する場所ですから、時々塩素消毒しておくと安心です。どこまでやるのか、個人の問題ですから何とも言えませんがどんなに頑張っても、様々な病気を確実に予防することは不可能であることだけは認識しておきたいことです。神経質になる必要はまったくありません。

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鳥インフルエンザで死亡(シンセン)

12月31日、広東省シンセンで39歳の男性が鳥インフルエンザ(H5N1)によって死亡したことが確認され、この情報は中国衛生部よりWHO(世界保健機関)や香港、マカオなど関係地域に直ちに通報されました。死亡した男性はバスの運転手をしており、鳥を直接扱うようなことはなく、感染ルートは確認できていませんが、患者との接触があったと思われる120人からは患者の確認はありません。 鳥インフルエンザ(H5N1)は、1997年に香港で18人が感染し、そのうち6人が死亡しており、この時はさすがにショッキングなこととして世界的にも大きな影響がありました。最近ではエジプトを中心に感染死亡例が続発しているものの、少し日常的になってきたような印象です。 現在、鳥インフルエンザはアジア、中近東地域を中心に感染拡大を続けていますが、このところとくにエジプトでの感染事例が目立っており、そのほかでは散発しているといった程度です。WHOが昨年12月15日に発表した最新の統計では2003年からこれまでに全世界で573人が感染発症しており、そのうち336人が死亡しています。中国に限ってみると、40人の発症に対して26人が死亡しています。 鳥インフルエンザは北半球の中低緯度では今の時期に目立ってくるようです。これは越冬のために南下する渡り鳥がウイルスを運んでくる可能性が高いためであり、日本でも朝鮮半島を経由してくる渡り鳥にとって運ばれたウイルスが原因で、特に西日本の養鶏場で何度か大きなダメージを受けています。 鳥インフルエンザは今後、ヒトあるいはブタの体内で変異をして、人から人に感染しやすいタイプに生まれ変わる危険性が大きく、WHOにとっても目下最上級の監視対象となっていることは間違いありません。豚由来の新型インフルエンザはすでに季節性インフルエンザとして定着してしまいましたが、本当に危険視されていたのは、鳥インフルエンザです。今後の動向には十分注意する必要があります。 一般の人々の場合、これまで同様に自身の衛生管理に注意してください。基本的には従来のインフルエンザ予防と同じです。手洗いの励行は最重要ですが、鳥由来ウイルスに対しては、鳥への接触を極力避けることが大切です。ペットとして飼っている鳥類は屋外には出さないでください。野鳥からの感染を防ぐためです。当然のことながら死んだ野鳥には近づかない方が無難ですが、現状では神経質になる必要はまったくありません。生きたニワトリには触れないこと。野鳥には、逃げるので近づくことはまずできませんが、弱っている鳥がいても絶対に触れないこと。ハト等に餌をやることも止めましょう。エジプトで患者発生が多いのは、食用のハトを大量に飼育し、その糞も肥料にしているからだと個人的には思っています。鳥の糞は最も危険です。 なお同じ鳥インフルエンザでも高病原性や低病原性などタイプが分かれることから、高病原性のものをHPAI(High Pathogenic Avian Influenza)と呼ばれています。今後、マスコミでもHPAIと呼称されるようになる可能性が考えられます。

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鳥インフルエンザ情報

香港の家禽類市場で見つかったニワトリの死骸よりH5N1型インフルエンザウイルスが見つかり、昨日、17000羽が殺処分され、今後3週間は生きた鳥の輸入が止められることになりました。 現在、H5N1型鳥インフルエンザは、世界中で人への感染事例が散発しており、感染力は弱いものの毒性が強いので死亡例も少なくはありません。ただし今のところは鳥のインフルエンザウイルスが「たまたま」人に感染してしまったものであり、人から人への感染が確実に確認された事例はありません。 2009年の春から流行した豚由来新型インフルエンザ。鳥インフルエンザに対する警戒レベルが高くなっていた時期に、まさかの豚インフルエンザでしたが、実は豚は人のインフルエンザにも、鳥インフルエンザにも感染する動物で、新型インフルエンザ発生に重要な位置に存在しているのです。 すでに豚がH5N1型インフルエンザウイルスに感染していることが確認されています。もちろん現在流行中のA香港型ウイルス(H3N2)も日常的に豚に感染しています。豚の体内には3種類のウイルスが同時に存在する状態も考えられ、お互いのウイルス遺伝子が融合して新しいインフルエンザウイルスが生まれてくる危険性をはらんでいる事になります。最近では鳥インフルエンザに人が感染する事例も増えてきているので、人の体内でも同じことが起きる可能性があります。 10年から40年の周期で新型インフルエンザが生まれてくるものと考えられていますが、一昨年、新型インフルエンザが流行したばかりなのに、近く、再び新しいインフルエンザが世界中で流行する危険性が危惧されています。感染力が強いH3N2(現在世界中で猛威をふるっている流行性インフルエンザ)ウイルスと強力な毒素を持ったH5N1鳥インフルエンザウイルスが融合して、感染力が強くしかも強い毒性を持った新型インフルエンザが流行するとまさにスペイン風邪の再来ともなりかねません。 ただしスペイン風邪が流行した当時(1918-9年)の医療水準人々の栄養状態、教育レベルなど、現代とは著しく異なり当時の流行と同じ状況が生まれるかどうかは、はなはだ疑問です。世界中で新しいタイプのインフルエンザワクチンを開発する競争が繰り広げられており、完成まで今一歩のところまで来ているようです。先頭を走っているのは日本のチーム。万能型のインフルエンザワクチンが完成する日も遠くないかもしれません。 現在の注意としては、とにかく鳥に近づかないこと。死んだ野鳥を触るなどもってのほかです。そのほかは一般的なインフルエンザに対する注意と変わりありません。なお、火が通った鳥(調理された鳥)にはまったく感染性はなく、食べても感染を心配する必要はありません。

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ホリデーシーズンの注意

クリスマス、新年、そして旧正月と休みが多い季節は旅行に出かける機会も多いのではないでしょうか。旅先で病気にならないよう、あるいは感染症をもらわないように、そして不慮コ事故に遭わないためのご注意です。 食中毒旅先では生ものに特に注意してください。南国のリゾートで刺身など食べる人はいないかもしれませんが、特に途上国では氷にも問題があると思っていた方が良く、飲み物には入れない方が無難です。その土地特有の食べものにも気をつけなければいけません。たとえばタイなどのソムタムというサラダ。沢蟹の仲間が生で使われることがあり、肺吸虫の感染リスクがあります。地元でも保健当局より蟹を使わないように指導があるとのこと。蟹が入っていないことを確認してください。食中毒はどこに住んでいても、そのリスクから免れる事はできませんが、旅行中は疲れから免疫力を落とし感染しても発症しないで済むはずのものでも、寝込んでしまうことが多いようです。特にノロウイルスなど、免疫力が低下していると、特に発症しやすいものです。 マラリア、デング熱蚊が媒介する病気で、熱帯、亜熱帯で「かぜ」のように頻繁に患者が発生しているので油断禁物です。もちろん蚊に刺されないようにすることが大切です。リゾート施設内では害虫駆除されているところが多いので、それほど心配はありませんが、一歩その外に出るとどこでも危険性があるものと思ってください。帰国後、発熱があった場合は、医師にはどこに旅行したかを必ず伝えてください。熱帯では「かぜ」程度に扱われてしまうほど慣れた感染症ですが、先進国の医師には経験がないので、なかなか診断がつかないこともあります。旅行先で感染してきたマラリア患者の死亡は、特に珍しいことではありません。 海での注意特に熱帯地方には、猛毒をもった生物が少なくありません。イモ貝の仲間は危険です。横長の巻貝ですが、綺麗だと思って手に持っていると、とても危険です。刺された場合の死亡リスクは極大です。ヒョウモンタコも注意しなければいけません。小さなタコですが持っている毒は強力です。とにかく海で泳いでいても、やたらと「モノ」に触らないことです。健康とは関係ありませんが、慣れないシュノーケリングも止めておいた方が良いかもしれません。私はあるリゾートで、正月早々に2日連続で溺死事故に遭遇しました。(日本人と韓国人でした)原因は推測するしかありませんが、初めて使ったシュノーケルでの事故でしょう。水を吸い込んでしまってパニックになったものだと思います。リゾートホテルでは、シュノーケルなどを経験に関係なく貸してくれますが、正しい使い方を知らないと、極めて危険な道具になります。その使用にあたっては、十分な注意が必要です。 旅行に際しては無理な計画を立てないこと。せっかく旅行に来たからといって、睡眠時間まで削って遊ぶようなことはしないことです。免疫力が落ちることがもっとも懸念されることですが、海での事故にもつながります。 皆さん、楽しい休暇をお過ごしください。

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牛レバーとO157

長年にわたって食品衛生の専門家からその危険性が指摘されてきた、いわゆる「牛レバ刺し」に対して、厚生労働省がとうとう重い腰を上げて本格的な規制に乗り出そうとしています。 1996年、大阪の堺市で起きた腸管出血性大腸菌(O157)による集団食中毒を記憶されている方も多いと思いますが当時から牛レバーに対する危険性も認識はされていました。直接食品衛生指導をする現場の指導員は飲食店に対してその危険性を機会あるごとに伝えていたようですが、国としての法規制がなかったため、その指導に従う飲食店は皆無でした。 ちなみにO157による食中毒は、日本国内で2010年までの10年間で2599人が発症し、そのうち10人が死亡しています。 肝臓は腸に近いため、食肉加工の際にその表面をO157で「たまたま」汚染してしまうのが原因だと思われていたのですが、最近の厚労省の調査で、肝臓内部にもO157がいることが初めて確認されたため、規制に動くこととなりました。消化管から胆のう、そして胆管をさかのぼり肝臓に達するようです。 動物の内臓を生で食べるようになったのは、いったいいつからでしょうか。先に問題となったユッケは80年代のグルメブームに乗って全国に広がった料理でしたが、もともと日本の食文化になかったものを、その危険性を理解することなく受け入れてしまったことに問題があります。見よう見まねで調理された魚介類の刺身を、海外で食べるのは危険だということと同じです。日本の食文化のイロハを理解した板前さんが調理している信頼できる飲食店でないとリスクがあるのは当然です。これは日本国内でも同じことがいえます。ちなみにユッケを良く食べる韓国ではO157による中毒事件はほとんど起きていないそうです。 O157ほど毒性が強くはありあませんが、食中毒の原因別でいま最も注目されているのが「カンピロバクター」です。動物の消化管には頻繁に感染している細菌で、実は牛のレバーにも感染していることは早くから判っていました。カンピロバクターにもっとも注意しなければいけないのは鳥。鳥レバー、鳥刺しが危険であることはもちろんですが、鳥肉の不完全加熱で意外に多くの食中毒が発生しているものと思われます。香港では、週末夜の屋外バーベキューを楽しむ人が多くいますが、暗がりで鳥肉を串に刺して焼いている姿を見るたびに、危なっかしさを感じてしまいます。ただでさえも焼き加減が判り難い鳥肉を暗いところで焼いているわけですから、生焼けを食べていてもわかりません。表面化しないだけで香港ではかなりの件数の食中毒が起きているはずです。日本で売られている鳥肉でも、カンピロバクターの感染率は極めて高いので、刺身で食べることは極力避けた方が無難です。 クリスマスから新年にかけて飲食の機会が増えることと思いますが食中毒予防のため、生ものには十分注意してください。

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新タイプ豚インフルエンザ

米国CDC(疾病対策センター)によると、アイオワ州で、新しいタイプのインフレンザに3人の子供が感染していたことがわかり、いずれも豚との接触がなかったことから、ヒトからヒトに直接感染した可能性が高いとして、注意を呼び掛けています。 このウイルスは今年7月以降アメリカの4つの州で合計10人に感染していることがわかっています。ヒトからヒトへの感染が強く疑われるケースが今回認められた事から、ウイルスがすでにヒトの間で感染しやすいタイプに変化してきているこが示唆されることから今のところ状況は限定的とはいえ、いっそう監視を強める必要があります。 今回新たに確認されたウイルスは、本来豚の間に流行していたインフルエンザ(H3N2型)に、2009年メキシコで発生し、世界中で流行した新型インフルエンザ(H1N1)ウイルスの遺伝子を一部含んでいることが確認されています。 豚は、ヒトのインフルエンザにも、鳥のインフルエンザにも感染するため、新しいインフルエンザが生まれるにあたり、たいへん重要な役割を担います。つまり豚の体内に両者のインフルエンザウイルスが共存すると遺伝子融合する機会となって、新いウイルスが誕生するわけです。 現在、最も警戒されているのはH5N1型インフルエンザの今後の行方です。エジプトなど世界各地でヒトへの散発的な感染を繰り返しており、今のところ感染者の死亡率が非常に高い強毒タイプのウイルスです。今のところ鳥から「たまたま」ヒトに感染してしまった例ばかりですが、豚への感染もすでに確認されています。その体内で、毎年で世界中で大流行を繰り返しているA香港型ウイルス(H3N2型)と融合して新しいウイルスが生まれる可能性が懸念されているのです。鳥インフルエンザの毒性を持った上に、A香港型ウイルスに備わった強い感染力を備えた、最強タイプの新型インフルエンザが出現するかもしれません。 これまで歴史上、スペイン風邪、アジア風邪、ソ連風邪、香港風邪などと呼ばれてきた新型インフルエンザはすべて鳥のインフルエンザに起源があることが判明しています。その意味で現在のH5N1ウイルスの存在は不気味です。 これまで人類はインフルエンザとの戦いを繰り返してきましたが、近年、ワクチンやタミフルに代表される特効薬といった武器を持つことができ、昔のような高い死亡率ではなくなってきました。しかしインフルエンザウイルスはその構造を容易に変えることができることからそのワクチンには肝炎ワクチンの様な高い効果が期待できません。 現在、万能型インフルエンザワクチンの開発が進められており、完成の可能性が大きくなってきています。実際にいつごろ実用化されるかは判りませんが、開発に成功すればノーベル賞間違いないでしょう。この分野、日本でも研究が進んでいるようですから大いに期待したいものです。 現在のところ確実な予防手段に乏しいインフルエンザ対策です。やはり一般的な予防法を確実に行うことしかなさそうです。1、確実ではないがワクチン接種を受けて、感染確率を減らす。2、流行期には人混みを避ける(特に人で密集した室内)3、手洗い。(一般感染症予防にも重要)4、自分にとって必要な睡眠時間を確保する。5、ストレス回避。(最も難しいことですが・・・)6、食べ過ぎない。適度な運動。7、ガーゼマスクの着用。(呼気の加湿ができます)8、室内を加湿すること。(ウイルスは湿度に弱い) 罹ったかな?と思った時は早めに休むことです。周囲に感染を拡大しないためにも重要です。 うがいは上記に入れていません。日本人だけで国際的には効果が追認されていません。また巷では栄養摂取についても触れられていますが、現代人の食生活においてその内容はともかくとして、栄養不足で感染症にかかりやすくなるなど、ちょっと考えにくいです。(一般的な日本人の場合)またマスクに関しても、個人的にはその効果に疑問があります。(専門家が効果があるとしていることに、お前なんぞが何を言う、というお叱りは覚悟しています。)マスクは「自分からウイルスなどの病原菌を周囲に拡散することを防ぐための障壁」です。 香港では天気が安定し、とても気持ちが良い毎日です。病気のことなど、この青い空を見ているとイメージできませんが、インフルエンザの大流行は確実に近づいています。十分な注意が必要です。風邪とインフルエンザはまったく違います。怖い病気であることを認識しておきたいものです。

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風邪の季節です

気候の変わり目です。周囲では咳やくしゃみが多くなり自分自身も体調を壊すことが多くなる季節です。気候が良いので気分的にも心地良いのですが、一日の寒暖差が大きくなるとともに、乾燥する毎日が続きます。このような季節は病原ウイルスにとっても都合が良いものです。 インフルエンザもぼちぼち発生し、おそらく来月下旬には日本で(北半球の多くの地域では)大流行になっている可能性が大きいと思われます。 本格的なインフルエンザの季節を前にして、現在は風邪(普通感冒)が香港で大流行しているようです。今のところ衛生署は具体的なコメントを出していませんが、私が感じるところ、風邪をひいている人は相当な数になっているものと思います。症状は咳や鼻水など呼吸器系の症状に加えて38度未満の軽い発熱と頭痛、さらに嘔吐が加わることもあるようです。あくまでも私が把握している範囲のことですが現在の流行の主流である可能性が大きいと思います。 風邪をひかないためには免疫力を高めるしかありません。というより、免疫力低下を防ぐことが大切です。インフルエンザであれば特効薬がありますが(インフルエンザと風邪はまったく違う感染症です!)、風邪の原因になっているウイルスや細菌は、細かく分類すると数百種類になるとのことでこれが理由で薬は対症療法的なものしかできないのです。 免疫力を上げる手法が巷で紹介されていますが、そうではなく下げないようにすることを考えるべきでしょう。不摂生を止めること。夜は7時くらいから食べ始め、その後2~3軒ハシゴして、帰宅は夜中の1時2時。こんな毎日の人もいるかと思いますが、これでは感染症にかかりやすいだけではなく循環器にも問題が出そうなことは誰にでも想像できます。外での飲食が悪いのではなく、ずるずると飲み食いして、結果睡眠不足になってしまうのが良くないのです。 運動不足も良くありません。適度な運動は免疫力を低下させないばかりか、その活性を高めることになります。機会を見つけては歩くようにしてください。 しっかり栄養を摂ってなどと言いますが、今の時代、食べ過ぎている状態であり、反対に過食を避けることが必要です。「栄養を摂って感染症予防」するという概念は、卵が貴重品だったころの名残です。病気の時、食欲がなくなるのは、免疫力を高めるための手段だともいわれます。動物も具合が悪い時は何も食べなくなります。ヒトも同じです。 風邪をひいたからといって、やたらと薬を飲む人もいるようですが風邪に効く薬は一切ありません。発熱することが多いので、しっかりと水分を摂ってください。熱が高い時は冷やしてください。酷い発熱でなければ解熱剤は不要です。38~39度で免疫力が最高になります。解熱剤で免疫力を低下させてしまうことにもなりかねません。とにかく寝ること。昼間寝ることができないかもしれませんが横になっているだけでもまったく違います。 風邪であるなら2~3日寝ていればかなり回復します。