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インフルエンザ騒動

昨日はインフルエンザの流行拡大を阻止するため、全香港の小学校、幼稚園等を全面休校することを香港政府が急遽決定したため一部で混乱も生じたようだが、政府がとった措置はもう少し早くても良かったかもしれないが大いに評価できるものだと思う。また前言を翻すように対応したことも批判を呼んでいるようであるが、通常のインフルエンザである以上、問題視する必要はないだろう。 日本では学校単位で学級閉鎖や学校閉鎖が判断される。香港でSARS以来はじめてとられたこのような措置について、日本人の感覚としては大きな不安材料としてとらえられた可能性があることは否定できない。 日本のマスコミ報道でも香港のインフルエンザ流行と小学校以下の閉鎖が報じられている。どこかの通信社が流したものだろう。事情を知らない日本側での不安を煽るような記事になっていると感じたのは私だけだろうか。子供が3人死亡したことは確かに事実ではあるが、人口700万人を抱える香港でのこと。インフルエンザが直接的な死亡原因になっているケースは、3人の子供にとどまることなく、まだまだあってもおかしくはない。ちなみに日本国内ではインフルエンザが直接的な原因で、毎年数百人が死亡しているという。 今回の香港での出来事は小さな子供が死亡したことをその子供の写真なども交えて大げさに報道している香港のマスコミが市民の不安を増幅させ、当初は通常のインフルエンザ感染であるが故、各学校の対応に任せるはずであった香港政府が、急きょ方針を転換さざるを得ない事態となったとはいえないだろうか。 また一部日本人の間で、鳥インフルエンザウイルスはすでに人から人に感染するタイプに変わっており、この新型ウイルスで小児死亡例がでているのだという噂がまことしやかに広がっていると聞いた。とんでもないガセネタだ。本当にそのような噂があり、日本人社会の中で広がっているのであれば、どうか冷静になって事実関係を判断して欲しいと願いたい。無責任な話をすることはいらぬ混乱を招くだけで、決して利益にはならない。 今回の事態を日本向けに流したマスコミも同じだ。学校が一斉に休校になったことや3例の小児死亡例が出ていることも事実ではあるが、はたして日本向けにわざわざ流さなければいけない情報なのか考えて欲しいものだ。「情報」の垂れ流しでは困る。(昨日のメールで4名としたが、4例目は未確定) SARSの時には、日本で受ける感覚と香港での実態に温度差が生じたがために、香港の日系企業は必要以上に日本側から行動を制限された。このため日系企業の活動に重大な影響がでたという。これも本社サイドが見ている日本でのマスコミ報道が強く影響していたと思われる。 いま、最も警戒しなければいけないのは「新型インフルエンザ」である。今のところウイルスが急にその性質を変えているとの情報はない。今回のインフルエンザにしても政府はウイルス変化については完全に否定している。WHOも特別に警戒してはいるが、今のところ人人感染を起こすようなタイプに変化したとの事実はつかんでいない。 しかし新型インフルエンザは必ず生まれてくる。どのような形で人類を脅かすのかまったくわからない。ワクチン開発が間に合って軽微な影響にとどまることを期待したいが、こればかりは神のみぞ知ることだろう。 一般市民としては、通常のインフルエンザ対策を今後も継続するべきであることは間違いない。新型インフルエンザは従来のインフルエンザシーズンにだけ気をつければ良いというものではない。過去において新型が夏場に生まれていることもあるからだ。

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小学校など全面休校措置決定

香港政府(食物衛生局)の周一嶽局長は、昨晩10時15分に開いた臨時記者会見で、香港のすべての小学校、特殊学校、幼稚園といった教育機関を28日まで一斉に休校すると発表した。28日は金曜日にあたるため、実質的な学校等の再開は31日になる。直前までは学校個別の問題として現場での判断を優先するとしていたが、2月24日以降の児童の死亡が4名に達したことから、急遽方針を転換したものだ。このような措置は2003年のSARS以来のこと。 子供の死亡が相次いでいることが異常事態のように報道されているが、インフルエンザによる乳幼児・小児及び高齢者の死亡は決して珍しいことではなく、日本でも毎年数百人が亡くなっているはずで、世界的にも衛生状態が悪い途上国を中心にインフルエンザによる死亡者は相当な数にのぼるものと思われる。 インフルエンザを、風邪がちょっと酷くなっただけの病気と思っている人も少なくないが、風邪(普通感冒)とインフルエンザは全く異なる病気であるということを、一般の認識として浸透してほしいものだ。ただし現在香港で起きている事態は決して異常なものではなく、日本でも冬場に学校閉鎖などが起きるのと同じものであると考えても間違いではない。 香港は今回の措置のように時としてドラスティックな措置をとることがあり、1997年の鳥インフルエンザ流行(18名感染6名死亡)の際にも、飼鳥を含めて全香港の鳥を殺処分して流行を押さえ込んだことは、その後世界的に高い評価を得ている。 今回のようなインフルエンザ流行に関してとられた措置は、集団生活における患者発生(いわゆるエピデミック)が容易に感染拡大して全地域的な流行(パンデミック)となることを抑制することに非常に効果的であり、政府の措置を大いに評価しても良いだろう。 ところで香港でも処方が多いタミフルであるが、日本の厚生労働省は子供の異常行動などの副作用に関して十分な注意をするよう指導している。香港ではタミフルの服用で高所からの飛び降りなどの異常行動は報告されていないが、インフルエンザと診断を受けてタミフルの処方を受けた場合は、十分監視するようにして欲しい。異常行動について、それが本当に副作用であるのか議論されているが、WHOや製薬会社では、副作用であることを否定できないことから、タミフルの処方に関しての注意事項としている。 何度も書いているがタミフルにはインフルエンザウイルスを殺す作用はまったくない。細胞内で増殖したウイルスが細胞外に出て行くことを阻止するもの。劇的に症状が改善するため、治癒したものと勘違いしてしまうが、その状態で通学や出社などすると確実に感染を広めてしまう。処方されたタミフルはすべて服用することで、服用期間は自宅で安静にして欲しい。最終的には患者自身の免疫力で体内のウイルスを排除して治癒するのであって、薬はその助けとなるものに過ぎない。 余談だが、タミフルの原料は中華料理に多用される「八角」だ。スイスのロッシュ製薬が製法の特許を持っており、八角から抽出されるシキミ酸から10回程度の化学反応工程を経て生産されるが、八角自体にはインフルエンザに対する効果はまったく期待できない。

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新型インフルエンザワクチン

鼻腔に噴射するだけの新型インフルエンザワクチンが、日本の国立感染症研究所で開発された。鼻の中に噴射するだけで接種が完了する簡便さで、注射器を必要としないので、世界中どのようなところでも使える。さらにウイルスが変化しても その効果が見込めるというから、これはとても素晴らしいことだ。 このワクチンはベトナムで2004年にH5N1ウイルスに感染した患者から分離したウイルス を元に開発したものであるが、同じウイルスでも遺伝子が一部異なる1997年香港株や2005年インドネシア株にも効果を示しているという。現在のところマウスを使った実験でその効果を実証したという段階であるが、2010年には人における臨床試験を行なうそうだ。 今現在話題になっているのは鳥インフルエンザH5N1。このウイルスが直接人に感染する ようになってきており、その強い毒性ゆえ世界中で死亡者が散発している。つまりH5N1ウイルスは少しずつ変化して鳥固有のウイルスではなくなりつつあり、人への感染性を示すようになってきているわけだ。近い将来人から人へ感染するタイプに変化(進化?)し、世界中で多くの犠牲者を出すのではないかと心配されている。 今回開発されたワクチンは、このように変化するウイルスタイプにも効果が期待できるところが画期的なところで、しかも鼻に噴射するだけというから素晴らしい開発成果だ。まだ実用化には時間がかかるのが残念であるが、新型インフルエンザに関しては悲観的な報道が優先する中、極めて明るい話題ではないかと思う。(実は現在のインフルエンザワクチンでも鼻に噴射するタイプがあるが、今回のものとは予防メカニズムが違う) 鳥インフルエンザや新型インフルエンザに関しては、少しずつ不安が膨らんでいるところで各企業でも対策を考えるようになっているようだ。今回の国立感染症研究所の成果に限らず世界中でワクチン等具体的な予防に関しての研究が進められており、これまでもその成果がいくつも公表されている。新型インフルエンザに対して決して悲観的になることはないと思う。おそらくワクチンは最も効果的な予防手段になると思うが、最終的にどのようなワクチンが開発される不明だ。今はできる限り早い開発実用化を望むわけであるが、量産体制の確保や特許権の扱いが問題になるかもしれない。 従来の新型インフルエンザには、人類は白旗を立てるような状況であったが、次回は少々状況に変化がおきるのではないかと期待したい。問題は新型がいつ現れるかという、時間との競争かもしれない。 一般の人々も個人レベルでインフルエンザ対策にあたり、自らの感染予防に努めなければいけない。鳥インフルエンザ(H5N1)が偶然に人に感染している現在の段階では、鳥との接触を最も警戒するべきだ。人から人に感染したのではないかと疑われるケースもあるがWHO(世界保健機関)としては、人-人感染を起こすようなウイルスに変化していることを確認しているわけではない。今のところはすべての感染事例で鳥が介在していることは間違いなさそうだ。 歴史上の新型インフルエンザ(スペインかぜなど)で多くの人が死亡しているが、感染者がすべて発症したわけではなく、ましては死亡したわけでもない。やはり免疫力の違いが大きいのだろう。免疫力を落とさないような生活も大切だ。もちろん言い古されていることであるが手洗いの励行などは当然の感染予防として身につけておかなければいけない基本事項であることは言うまでもない。

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香港でインフルエンザが流行

日本でのインフルエンザ流行は峠を越えて、患者数が徐々に減ってきているとの報告が国立感染症研究所から出されたが、香港での流行は先週くらいから本格化したようだ。女児の死亡を受けて受診者が増えているのか、確定診断を受けた患者数が急増している。 本日の新聞紙面ではたいへんな事態が起きているかのごとき大きな記事で紙面をさいているが、オーバーな表現は香港の新聞報道につきものなのでそれを額面通りにとらえることはないが、インフルエンザに対して十分な注意が必要であることは言うまでもない。 政府系総合病院では患者数の増加から、見舞い患者等の訪問時間を制限するなどの措置をとっているが、これは患者が集まる病院での感染を予防することでも意味があることだ。また政府は様々な手段でインフルエンザ予防を啓蒙し、今になって予防接種を老人などのハイリスクグループに実施するようであるが、抗体ができるまでに時間がかかるので即効性はなく、「やらないよりはやったほうがまし」程度の効果だろう。 それよりも個人の日常生活での基本的な予防が大切だ。以前のメールでも書いたことであるが、インフルエンザ予防は下記の通りだ。 ①人込みを避けること。無用な外出をしない。②換気を良くすること。③手洗いの励行。うがい。④適切な栄養摂取。⑤十分な休養、睡眠。適度な運動。⑥禁煙。⑦ストレスを避ける。 予防法は感染の機会を減らす(①から③)、免疫力を落とさない、増強する(④から⑦)に分けられる。マスクの使用は自身を感染から守るためのものではない。空気中に飛散しているウイルスは乾燥しているため極めて小さな粒子になっているため、マスクの網目を通り抜けてしまう。最近は抗菌効果をうたった商品も増えているが、過大な期待をしないほうが良いだろう。もちろん患者がマスクをすることは、咳やくしゃみなどにともなうウイルスを含んだ唾液の飛散を防ぐことができるため、他者への感染予防が期待できる。 感染が疑われる場合は、無理に出社しないことだ。風邪ぐらいで仕事を休むものではないという考え方は、インフルエンザに限っては間違っている。日本だけでも毎年数百人が死亡している病気であることを理解するべきだろう。

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インフルエンザで女児死亡

香港でインフルエンザに感染した3歳の女児が死亡したと、昨日の新聞に大きく報道された。診断結果が出るまではH5型鳥インフルエンザではないかと緊張がはしったものの、結局はH3型インフルエンザで毎年の流行タイプのものであることが判明した。 H3型はA香港型インフルエンザで、感染力が強く、比較的症状も重い。特に老人と乳幼児など免疫力が弱い年齢層では重症化する症例も少なくなくインフルエンザが直接的な死亡原因となることもある。実際にインフルエンザが原因となる死亡者数は、日本でも毎年数百人に上ると言われており、流行が長く続く年には1000人に達することもあるというからインフルエンザは決して侮ることができない病気だといえる。インフルエンザは風邪がちょっとひどくなった程度という認識もあるが、これは大きな間違いだ。このところ鳥インフルエンザが怖がられているが、今、現に流行しているインフルエンザに大しても十分な警戒が必要だ。 今回死亡した女児の両親は、治療に対して不信感をつのらせているが、インフルエンザから心筋炎などを発症した場合は、その診断も治療も非常に難しくなることは確かで、担当した医師の責任を問うことは困難だろう。日本でも心筋炎で子供を亡くしてしまった親が民事訴訟を起こすケースが何件もあるが、医師の責任が認められた話は聞かない。 今季のインフルエンザの主流は、Aソ連型(H1N1)。これまでA香港型(H3N2)が毎年流行してきたが、今年はなぜかソ連型が主流で患者の8~9割はこのタイプだそうだ。インフルエンザ流行はそろそろ収束に向かうと思うが、年によっては3月いっぱい全国的に警報が発令されていたこともあり、4月にはいるまでは気を緩められない。

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レジオネラ感染

国立感染症研究所は鹿児島県にある足湯をボランティアで清掃した50歳代の男性がレジオネラ菌に感染して肺炎を発症して入院していたことを発表した。 1976年、アメリカ・ペンシルベニア州において開かれた在郷軍人会でその参加者や付近住民など200名以上に原因不明の肺炎が発生し、34人が死亡したことがきっかけで発見された病原菌がレジオネラ菌だ。レジオネラは在郷軍人(Legionnaire)の意味。 レジオネラ症は高熱に咳や筋肉痛が伴い、進行すると呼吸困難をおこし、さらに意識障害等を併発する病気で、死亡率は高く約30%程度。日本でも毎年数名が死亡している。 温泉などの公共浴場での感染が問題となっているレジオネラ菌は、20度以上の水温で、ある種のアメーバに寄生して増殖する。本来土壌中の細菌であるが、温泉のほか一般家庭の24時間風呂での感染、あるいはビルの冷却塔等から飛散した水滴粒子(ミスト)にレジオネラ菌が含まれ、感染原因となったケースもある。レジオネラ菌は市中に広く分布しているのではないかと思われる。日本で一時流行した?循環式24時間風呂は、レジオネラ感染が原因で販売が中止された。身近なところでは超音波式加湿器が感染源となった例もある。 昨年香港でも11件のレジオネラ感染が報告されている。もちろんこれは公式に発表されたものだけに過ぎないので、レジオネラ感染とは診断がつかなかったケースも少なくはないと思われる。 香港(中国)で問題になりそうなのは、ビルの冷却塔からの水滴の飛散とサウナだ。日本式に浸かれる浴槽があるマンションは少なく、広い浴槽で足を伸ばしたいといってサウナを利用する人も少なくはない。サウナに併設されている浴槽の温水がどのように管理されているかわからないが、もし調べればレジオネラ菌に汚染されているところも多いのではないかと思う。 もちろんレジオネラ菌を吸い込んだからといって誰もが肺炎を発症するわけではない。今回足湯で感染した男性の場合、糖尿病を患っていたので感染しやすかったようだ。免疫力が高ければ感染を恐れる必要はないが、特に免疫力が低下している乳幼児と高齢者にとっては危険性が高い。年齢に関わらず体調がすぐれないときに、サウナに入ることは避けるべきだろう。 一般家庭では加湿器のタンクを清潔にすることくらいが感染予防法だろうか。感染事例があったか不明であるが、感染経路を考えると熱帯魚の水槽も要注意だろう。泡が出ないようなエアレーションやエアレーションの気泡から生まれたミストが室内に飛散しないような工夫が必要だと考える。

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タミフルが効かないインフルエンザ、 日本で初の集団感染

今朝のニュースだが、「やっぱり来たな」というのが私の感想だ。報道によると、タミフル耐性インフルエンザウイルスに感染した患者は横浜市内の8~13歳の男女で、いずれも血縁などはないという。同一地域で発生していることから、小規模な集団感染があったことが強く疑われるため、調査報告した横浜市衛生研究所はWHOに届け出るという。 WHOによると、ノルウェーやフランスでタミフル耐性インフルエンザウイルスの検出率が今季急増しており、今後世界的な感染拡大が懸念されるという。これらの国ではタミフルの使用は少ないため、66%もの耐性ウイルスの検出率となったノルウェーでも今のところ大きな問題にはなっていないが、新型インフルエンザの出現に備えて各国がタミフルを大量に備蓄しており、今後、備蓄計画にも大きく影響することだろう。 海外ではタミフルだけではなく他の治療薬の備蓄も進めており、タミフル備蓄に頼る日本では今後大きな対策変更が迫られるだろう。日本の問題はタミフルの過剰使用だ。私がかねて懸念していた耐性ウイルスの出現は、なぜかタミフルの使用が少ないヨーロッパでおきたが、潜在的な危険性が高いのは日本や香港などこれまでにタミフルを大量に使用してきたところではないかと思う。 インフルエンザに感染しても一般的には身体を休めることで回復する。熱が出たらすぐ解熱剤を飲まないで、できる限り冷やすようにしたい。発熱は免疫力を高める手段であり、ウイルスの活動をおさえることができるものだ。ウイルスにとって38度を超える環境は活動しにくいので、あえて発熱元を解熱剤でたたいてしまうのではなく、外から熱を奪ってやるわけだ。 タミフルは今のところインフルエンザに対して確かに効果的な薬ではあるが耐性ウイルスの出現が現実となったことから、その使用に頼ることはできる限り避けた方が良いと思う。

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インフルエンザ情報

日本ではインフルエンザ流行のピークがどうやら過ぎたらしい。これは国立感染症研究所情報センターが発表した調査結果によるもので、2月11日から17日までの1週間に、定点観測を行なっている全国5000医療機関での平均患者数が2週連続で減少したためだ。今季の流行のピークは1月28日から2月3日までであり、その2週後には患者数が半減しており、急速に患者が減少している。なおピークの患者数は17.62(1施設平均患者数)だったが、これは過去10年間では2番目に低い数字。また都道府県別では、宮崎を筆頭に熊本、大分の順に患者数が多く、九州での患者数が多かったといえよう。来月には日本での流行は完全に収束するものと思われる。今季の流行タイプは当初からAソ連型が主流(9割)であり、この傾向は今も続いている。昨年10月に例年になく早く流行が始まり、しかも予想されたウイルスとは異なったタイプであったためワクチンの効果が少なく大流行が心配されていたものの、結果的には患者数は少なく、しかも収束も予想以上に早くなりそうだ。 ところで、香港におけるインフルエンザ患者の動向を衛生署のホームページで調べてみると、インフルエンザ様疾患としての患者数が医療機関平均で示されていた。年間を通して患者数の大きな変動はないようだ。おそらく日本のように簡易キットを使ってインフルエンザ患者を確定診断しないからだと思うが、そうであったとしても最近の患者数にあまり変化がないということは、インフルエンザの大きな流行は今のところないと判断しても構わないのではないかと思う。香港のインフルエンザの流行シーズンは3月までなので、しばらくは十分な注意が必要だ。 さて、このところ人への感染報告が相次いでいるH5N1鳥インフルエンザであるが香港の隣、広東省で患者が発生したことを中国国務院衛生部と広東省衛生省が公表し、今月24日に香港政府に通達している。患者は44歳の女性。2月16日に発症し22日に入院したものの25日に死亡している。患者は自宅で飼育していて死んだ鶏を料理して食べており、鳥との接触が感染原因になっていると思われる。患者と接触したと思われる人の追跡調査を行っているが、今のところ周囲に異常は認められないという。これで中国での患者発生は30人、死亡は20人となった。 香港にごく近いところで患者が発生し死亡したことを受け、香港政府は防疫体制を強化して、患者発生地域からの帰港者で発熱などインフルエンザ様の症状がある場合は検査を実施するという。 現在のところあくまでも鳥のインフルエンザであって、それがたまたま人に感染しただけといって間違いない。人人感染を疑うケースも出ているものの、家族内など非常に限られた範囲で起きているに過ぎない。WHO(世界保健機関)では、今のところH5N1ウイルスが人人感染を起こすようなタイプに変化しているわけではないとしているが、今後監視体制は強化していくだろう。 鳥には近づかないこと。特に死んだ鳥(野鳥など)には絶対に触れてはいけない。特別に何をしなければいけないということはないが、現時点では通常のインフルエンザ予防を個人衛生の一環として心がけておけば良いと思われる。

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ノロウイルス感染

最近、日本人家庭でどうやらノロウイルスに感染したのではないかと思われるケースを立て続けに耳にした。ノロウイルスは軽い発熱と下痢や嘔吐など食中毒症状を特徴とし、俗に言う「お腹に来る風邪」と呼ばれる感染症のひとつだ。 感染経路は食物を介するルートと患者の嘔吐物などのミストの吸入が原因となる空気感染的なルートに大別され、感染力はきわめて強い。したがって学校などで大規模な集団感染もおきやすく、また全体の感染者数も極めて多い。特に冬場に多い感染症であり、日本でウイルスが食中毒統計に加えられてからは、例年12月から2月くらいにかけての原因別統計で患者数は常にトップだ。 食品が感染経路になる場合は、その多くが貝類だ。特に消費量が多い生食のカキからの感染が多い。 話がそれてしまうが日本の生食用カキは無菌処理されることが多くなってきたので安全性は非常に高まってることは確かだ。養殖場から引き上げられた生食向けのカキは、無菌槽に数日浸けられる。この過程でカキ体内のウイルスが吐き出されて安全なカキになるという。ただこのような処理をするとカキが痩せてうまみ成分も抜けてしまう。カキフライの材料にもなんとなく「より新鮮そうな」 生食用カキを使う人が多いらしいが、これは間違い!うまみ成分が失われていない加熱用カキを使った方が美味しいそうだ。ちなみに加熱用カキと生食用カキの違いは無菌処理するかどうかではなく、養殖された海域によるもの。ちなみにこの海域は水質検査を行なう管轄の保健所が決定する。生食用、加熱用の両者に鮮度による違いもない。 さて、ノロウイルス感染に話を戻そう。感染発症すると激しい下痢や嘔吐を繰り返す。症状は個人差が大きいが、平均すると完全に症状がなくなるまで1週間くらいであろうか。死に至るような重篤な感染症ではないものの、かなり辛い思いをすることは確かだ。 感染予防は非常に難しい。100個程度ののウイルスで感染してしまうほど感染力が強く、空気感染することから具体的に予防できる手立てに乏しい。カキ等の二枚貝が食品としてはもっとも大きな感染源となるが、免疫力さえ落ちていなければ、たとえ感染しても発症には至らないことも多い。体調が悪いときに生カキを食べることは止めた方が良い。また原因がわからなくても嘔吐や下痢の患者が家庭内にいる場合は注意が必要だ。もしノロウイルスであればしばしば家族全員が感染してしまうことも珍しいことではないからだ。特に嘔吐物の処理には気をつけたい。処理する人以外はできる限り遠ざかること。処理にあたる人はゴム手袋の着用は必須となる。またふき取ったものはビニール袋に密封して捨てることが重要だ。 下痢や嘔吐で診察を受けると、「お腹に来る風邪ですね」との診断を受けることがあるが、これは診断にはなっていない。ただ冬場におきるこのような症状はノロウイルスである可能性が大きいことも確かで、ノロも「お腹に来る風邪」に含めても差し支えはないだろう。どうせ風邪に効く薬なんかない。下痢や嘔吐には、水分摂取を怠らないこと。電解質を失うので塩分の摂取も必要になるのでスポーツ飲料などは効果的だ。子供に飲ませるときは倍量に薄めたほうが良い。

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チクングニア熱(シンガポール)

米国CDC(疾病予防センター)が2月13日に発表した感染症流行情報によると、2月5日時点で、シンガポール保健省が同国内の限られた地区からチクングニア熱の可能性がある患者13名の発生を報告しているという。患者はいずれも海外渡航歴がなく、しかも狭い地域で集団的に発生していることからシンガポール国内で感染したものと考えられる。 チクングニア熱は、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカ(ヤブ蚊)に刺されることで感染する。急激な発熱と全身の関節の激しい痛みを特徴とするほか、患者の多くに特有の発疹を認める。症状が緩和した後も、関節痛だけは数ヶ月にわたって続くこともある。ちなみにチクングニアとはタンザニアのマコンデ族の言葉で「前かがみになって歩く」という意味で、患者が関節の痛みに耐えながら歩く姿を意味してるそうだ。 この病気で死亡することは稀で、感染者の多くは症状が出ない「不顕性感染」であるが、インド洋の島国・レユニオンでは2006年に総人口の3割にあたる約26万人が感染・発症し、200人以上が死亡しており、軽く見ることはできない。 チクングニア熱は1952年にアフリカで発見された感染症で、元はサルが持っていたウイルスだといわれている。これまでサハラ砂漠以南のアフリカからインド洋、東南アジアにかけて流行したり、散発的な患者が発生しているが、香港や日本では輸入例(海外で感染して帰国して発症した患者)が数件認められているだけである。 チクングニア熱を媒介する蚊は、香港や日本でも広く生息しているため今後チクングニア熱患者が発生することはないという保障はなく、他のマラリアやデング熱といった熱帯病と同様に、地球温暖化に関係してその流行地域が拡大する危険性は十分考えられる。 CDCではシンガポール保健省の発表を得て、シンガポールへの渡航者に対して感染予防を勧告している。現在のところ治療薬やワクチンはなく、感染発症しても対症療法しかない。唯一の予防法は蚊に刺されないこと。特に夜間の外出や昼間でも薄暗いところ(ブッシュ)などに入るときは、肌の露出をできる限り少なくすることや忌避剤(虫除け)を使用することを勧めている。チクングニア熱予防は、マラリアやデング熱など蚊が媒介する病気の予防に共通しているので、シンガポールに限らず、特に熱帯圏への渡航に際しては十分心得ておく必要があるだろう。