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鳥インフルエンザ対策国際会議ー予想以上の成果

東アジアから鳥インフルエンザが拡大し、トルコで4人の死者を出したことから緊急に北京に召集された国際会議が18日終了したが、会議では予想を上回る拠出金の約束が各国から得られるなど、大きな成果をおさめた。 世界銀行は鳥インフルエンザの世界的な流行を抑えるために15億ドルの資金が必要であると訴え、その45%の資金をすでにウイルスが根付いてしまったと思われるベトナム、タイ、ラオス、カンボジア、インドネシアに向けるとした。 またWHOは、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)によって2003年以降77人の命が東アジアで失われており、その死亡率は50%に達することから、今後人の間で簡単に感染するように変異することを強く懸念している。 鳥インフルエンザがアジアからトルコに拡大したことから、各国の関心と懸念が高まったことが、予想以上の成果を収めた理由であろう。米国は1国としては最大の額である3億3400万ドルを拠出。日本は1億5900万ドルの拠出を表明したほか、EU本部が当初表明していたよりも2000万ドル多い1億2100万ドル、さらにEU加盟25カ国も合計で1億2000万ドルの拠出を約束するなど各国の関心の高まりを示している。 中国政府は18日会議終了直後に、鶏と接触して感染したと思われる35歳の女性の死亡を公表した。これで中国では6人が鳥インフルエンザで死亡したことになるが、この中国からの対策資金拠出額は1000万ドルと極めて少ない。 世界銀行では5億ドルを貸付金として用意する。さらに米国は人用ワクチン製造に今後3年間に数十億ドルを投資すると発表。 アナン国連事務総長は「もはや浪費している時間はない」とのビデオメッセージを会議に寄せている。 拠出額が少ない中国ではあるが、SARSでの対応が国際社会から強く非難されたことから、鳥インフルエンザに関しては情報の透明性を図るとともに、発生に関する情報や分離ウイルスの国際社会との共有を、首相自らが約束した。 スイスのロッシュ社が発展途上国向けに200万人分のタミフルを提供することに同意したことを、WHOが発表している。昨年もロッシュ社は300万人分のタミフルを鳥インフルエンザ発生地向けに提供しており、今年は1億5000万人分を製造するとしている。 鳥インフルエンザの拡大、人への感染、そして最大の懸念である人のインフルエンザへの変異に関して、ますます不安は大きくなってきているが、国際社会が資金を拠出し、情報を共有化するなど対策が一気に進むことが、今回の国際会議をきっかけに期待できるのではないだろうか。 国や地域での取り組みも大切であるが、感染力が強いインフルエンザウイルスが生まれると、一気に世界中に拡散することが強く懸念されることから、今後も各国が常に情報を交換し、世界レベルで対策を進めることが必要だろう。人の新型インフルエンザが生まれた場合、その国や地域の問題として扱うのではなく、国際社会の問題として一気に沈静化させることが唯一新型インフルエンザの世界流行を阻止する手段だと言われている。 今回の国際会議の意義は非常に大きかったと思う。新型インフルエンザの発生がいつかは誰にも予想できないが国際的な対策をさらに強力に進めてほしいものだ。アナン総長が言うように、浪費する時間はない。もちろん資金も無駄にはできない。戦争や紛争などに金をつぎ込んでいる場合ではないだろう。

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心臓病予防、魚に効果

魚を多く食べる人はあまり食べない人に比べて心筋梗塞や狭心症になるリスクが小さいことが、約4万人を対象にした厚生労働省研究班の調査でわかったという。 この研究は大阪大学の磯博康教授が中心となって、岩手、秋田、長野、沖縄の4件で食事アンケートをしたうえで、1990年より11年間にわたって追跡調査されたものだ。 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)になるリスクは、魚を食べる量が少ない人(1日20g)に比べて、最も多い人(1日180g)は37%低かったという。心筋梗塞に限定したうえで、魚の油成分であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量に換算して最大摂取の人と、最小摂取の人を比べたところ、そのリスクは65%も差が出たという。 さて、ここからが私の個人的な意見だ。この記事を読んだ人は、たぶん魚をたくさん食べると心臓病にはなり難いということを漠然と意識することだろう。確かにEPAやDHAの摂取は心疾患をはじめとして、心臓血管系疾患のリスクを下げることは確かだろう。 しかし魚をたくさん食べるということよりも、現在の食生活や運動習慣などの生活習慣を見直すほうが先であり、その方が心疾患予防には効果的であるはずだ。肥満、高脂血症(高コレステロール、高中性脂肪、低HDLコレステロール)、高血圧、多血傾向などを改善することが必須であり、その上で魚食を増やすのであれば、それはそれで良いだろう。さらに喫煙者は禁煙しないことには心疾患などでの死亡リスクは下がらないことも明らかだ。運動不足を改めることも大切。 心疾患など循環器系疾患の最大の原因は肥満だ。魚を一生懸命食べることよりも、1kgでも2kgでも減量することのほうが、心疾患予防には即効性があるはずだ。肥満を解消することを当面の目標としたい理由はここにある。積極的に魚を食べることを勧めるのではなく、食べ過ぎないことを啓蒙するべきだ。サプリメントのように何かを取り込むという考え方よりも、現在何も考えないで食べているものの中から不要なもの、身体によくないと思われるものを取り除くことを意識するべきだ。その意味では肉類や脂質の摂取を減らすことには大きな意味がある。 魚をよく食べる人は、その分肉類の摂取が少ないかもしれない。摂取カロリーも少ないかもしれない。喫煙者はどうだろう。肥満度はどうか。運動習慣は?遺伝的要因はどうか。調査対象となった人々に関してどこまでそのバックグランドを捉えた上でこの調査がなされたのか。食事アンケートという調査対象者側の答え方に大きく依存する方法で、どこまで正確性を図ることができたのだろうか。 とにかく心疾患にかかわる因子は多く、そして複雑に関連する。原文を読んでいないので今回の研究成果を批判する立場ではないが、そのあたりが大いに気のなるところだ。この研究成果は、今後の食生活や生活習慣の改善に役立てるひとつのきっかけとなることを期待したい。 ところで魚油に関しては、イワシやサバなどの青魚にEPAやDHAが多い。ある研究者によるとこれらの缶詰でも十分に効果を期待できるそうだ。もちろん缶詰を食べれば良いというわけではない。あくまでも参考までに・・・だ。

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下水処理水中のノロウイルス

本日の日本の新聞等で、下水処理水に含まれるノロウイルスの濃度が、冬季は夏季の60倍に達するとの報道があった。ノロウイルスが冬場の方が感染しやすいことは常識だが、具体的にウイルス量を定量した研修報告は初めてだろう。ちなみに下水処理場への流入水(汚水)に含まれるノロウイルス量は、夏と冬では40倍の開きがあったという。 カキなどで食中毒を起こすことで有名なノロウイルスは、通常の下水処理で完全に死滅することはなく、処理場へ流入するウイルスの約1%が処理後に残って、処理水と共に河川や海に放流される。 ノロウイルスは人の腸内で増殖するが、環境中で増えることはない。海水などに含まれるウイルスを貝類がその体内に蓄積し、それを生で食べることで食中毒を起こすことになる。熱には弱いので、完全に火を通せばまったく問題がないが、生カキからの感染はたいへんリスクが大きいといえる。 カキの生産地では、紫外線殺菌した海水でカキを無菌化する努力もされているが、冬はカキの活動が鈍く、その体内からノロウイルスを完全に除くことは難しいようだ。カキの産地近くの下水処理場では膜処理するなど、さらに高度な汚水処理をしなければノロウイルス感染を少なくすることは困難だ。 ノロウイルスは摂取した人すべてが食中毒を発症するわけではない。発症しても極めて軽くすむ場合もあるが、これは本人の免疫力に大いに関連する。少なくとも体調が悪いときには、生カキを食べることは控えたい。新鮮だから安心というわけにはいかない。カキの体内でウイルスが増殖することはないので、いくら鮮度が良くても食中毒の危険性とはまったく関係がない。 日本のある保健所では、管内の飲食店に生カキを出さないように指導しているところもあるそうだ。それだけ危険性が大きいということ。どんなに衛生管理に注意していたとしても感染事故を防ぐことはできないうえ、集団食中毒となれば即営業停止処分を食らってしまうので、飲食店にとっては頭が痛い問題だ。 ノロウイルスは食中毒であるばかりではなく、人・人感染をおこすことも知られている。下痢の子供の看病をするうちに感染することが多いので、家族内で下痢患者がある場合は十分に注意する必要がある。下痢便を処理するときは必ずゴム手袋を着用することが必要。もちろん調理前や食事前には良く手洗いすることも感染予防としては基本となる。 3月くらいまではノロウイルス感染が多い季節だ。2~3日で回復する感染症ではあるが、しばらくの間は十分に注意したいものだ。

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インフルエンザ流行始まる?-日本

 日本の国立感染症研究所が全国約5000箇所の医療機関のインフルエンザ患者動向に関する定点観測の結果をまとめた。それによると今期の流行は過去5年間ではもっとも早く、患者数の増加は先シーズンよりも約1ヶ月早いペースだという。  今年の流行型はA香港型とAソ連型。昨年はB型が非常に多かったので、多くの人がB型に対しては免疫を持っていると思われるが、今年の流行型が異なるため感染には注意が必要だ。特にA香港型は感染力が強く、爆発的に流行するため今後の患者数の増加が懸念される。  特にクリスマスシーズンで、外出や旅行の機会が増えることで感染拡大にはより一層の注意が必要になる。人ごみや乗物は特に感染しやすい場所だ。外出後は必ず手を洗い、軽くうがいをしておくことを勧めしたい。自分の手を顔に持っていくことも外出時にはもちろん、できる限り避けたいことだ。手指は最も汚染されている部分であり、鼻や目などはウイルスの侵入経路となるからだ。  日本の流行は観測地点によってはすでに始まっているといえるものの、全国的には年末の移動シーズンにかけて急速に流行が拡大すると思われる。香港の流行期は、日本にやや遅れて始まることが多い。ワクチン接種が可能であれば、1月上旬までには接種しておきたいが、香港にはワクチンがほとんどないので接種が非常に困難だ。日本へ行く機会があれば、日本で接種することを勧めたい。  しかし、予防接種を受けておけば安心というわけではない。逆を言うと、予防接種できなかったからといって感染を恐れる必要もない。日本ではワクチン接種の有効性を疑問視する専門家も少なくはない。  何度も書くことではあるが、インフルエンザに限らず感染症への対策は、自分の免疫力を高く維持しておくことに限る。要は不摂生をしないこと。折りしも忘年会シーズンで、通常より睡眠時間が短くなっている人もいることだろう。忘年会などでは人と人との接触が多くなる。テーブルを囲んで楽しく食事することは結構なことではあるが、残念ながらこのような状況は人から人へ感染する病気が容易に拡散する場面でもある。  連日の飲み会、睡眠不足、疲労蓄積といったことで、免疫力が著しく低下する可能性がある。少なくとも十分な睡眠だけは確保しておきたい。そして、おかしいと思ったときは早めに休むこと。休みを躊躇しているうちに状態は悪くなるばかりか、周囲にも感染を広げることになる。会社などではスタッフが休みやすい環境を造ることも、この際必要となる。新型インフルエンザ流行時の対策にもつながるはずだ。  ところでインフルエンザの治療薬タミフルは、年が明けてから香港に供給が再開されるそうだ。少し安心できるニュースかもしれないが、各国はタミフルの備蓄を積極的に勧めているので、香港にどのくらい供給されるかわからない。世界的に不足している状況に変わりないからだ。  このタミフルを個人備蓄する動きも世界的に見られ、インターネットでも取引されているそうだ。しかし米国FDAや製造元のロッシュ社では、ネットでは絶対に購入しないように呼びかけている。これは模造品があまりにも多いことと、タミフル自体副作用が起きやすい薬で、個人の判断で服用しても構わないという薬ではないからだ。ちなみにある偽物のタミフルにはビタミンCが含まれているものの、タミフル自体は痕跡程度だったという。  タミフルに対する抵抗力をつけたインフルエンザウイルスが出現する可能性がある。通常のインフルエンザ治療にタミフルを使用していると、現在懸念されている新型インフルエンザに対して、最悪、効果が期待できなくなることが懸念される。服用は慎重におこないたい。

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ホリデーシーズンを前にして

 香港から出かけることが多い海外リゾートといえば、タイなどの東南アジアリゾートだ。いずれの国も熱帯圏に位置する国々で、熱帯病のリスクが非常に大きい地域でもある。これらの国から香港に持ち込まれる熱帯病の輸入例も少なくはない。  旅行者が特に気をつけなければいけないのは、食中毒。多くの食中毒は完全に加熱された食品からは例外を除き感染することはない。生ものを食べないということは常識ではあるが、意外に落とし穴になるのが氷。ジュースや水割りのアルコール類などに使われる氷は、どのような水を凍らせているのかまったく不明だ。水道水は絶対飲まないと思うが、氷も水道水を凍らせただけというものも少なくないことを頭においておきたい。  生もので安全性が高いのは、自分で剥いて食べる果物くらいか。ココナッツも飲み物としては安全度が高い。  せっかくの休みだからといって無理なスケジュールでの行動は避けたい。疲れが溜まることで体力を落とし、感染症に対しての免疫力が低下する。飲みすぎや睡眠不足にも注意したい。免疫力さえ保っておけば、たとえ感染しても発症しないですむ可能性が高くなるからだ。  夜間の外出に関しては、蚊に刺されないよう注意して欲しい。マラリアの危険性があるほか、その何倍ものリスクとしてデング熱感染も心配だ。リゾート内に滞在するだけなら蚊は駆除されているのでほとんど心配ないが、そこから一歩外に出ると環境はまったく変わる。夜間の外出には長袖シャツを着るなどできる限り皮膚を露出しないような格好をしたい。  淡水の川や湖では泳がないこと。たとえ地元の人が泳いでいても、住血吸虫などが直接皮膚から侵入する寄生虫感染の危険性がある。泳がなくても裸足で水につかるだけでも危険だと思っていたほうが良いだろう。  旅行を終えて帰ってからでも1~2週間は体調の変化に注意が必要だ。旅行後に体調を壊した場合は、どこに、どのくらい滞在して、何をしていたといった旅行情報も詳しく医師に報告したほうが良い。いくら医療レベルが高い国の医師でも、熱帯病の診断には一般に慣れてはいない。マラリアの診断が遅れて死亡する例が日本でも毎年何件かおきている。医師にできる限りの情報を伝えることは、自分の身を守ることであると覚えておきたい。

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ノロウイルス集団感染

 香港の隣、シンセンの小学校で「謎の病気」が流行しているとの報道がある。学級閉鎖を余儀なくされたケースもあり当局からの警告文書でさらに住民不安が高まっているという。しかし、記事を一読しただけで、冬に流行する「ノロウイルス」の集団感染であることが容易に想像できる。ノロウイルスであればほとんど問題はなく、市民が不安に陥る必要もないことだ。当局から住民への警告書の内容はもちろん問題であるが、そのことを何も考えずに報道したマスコミも住民不安を増幅させたことに責任があるだろう。SARSの際にも報道が問題になったが、これではその教訓がまったく生かされておらず、今後予想される新型インフルエンザに対する報道姿勢も、不安をあおるものにならないかと心配になる。  さて、ノロウイルスだが、冬に流行する「非細菌性急性胃腸炎」を起こす代表的なウイルスで、カキなどでおきる食中毒の原因になる。感染力が非常に強く、ごくわずかなウイルスで感染するため、感染者が嘔吐したときに周囲に飛び散るミストなどでも容易に感染する。学校など集団生活の場で大勢の患者を一時に出すことも珍しくはない。昨年は香港の学校でも集団感染が起きている。  家庭内でも下痢や嘔吐の患者がいる場合は十分に注意することが大切だ。とくに吐物を処理するときは手袋をして、事後は石鹸で十分手洗いすることが必要。トイレでの手洗いなどは感染予防策として基本中の基本だ。  冬の食中毒はこのウイルスが主流であり、特に生カキには十分注意することが大切。体調が悪いときは免疫力も低下しているので、生ものは食べないほうが無難だ。はじめは食中毒でも、人から人に感染させてしまう可能性が大きく、時として集団感染を起こすのがノロウイルスの特徴だ。  予防接種など確実な予防方法は今のところ期待できない。感染発症しても、特効薬があるわけではないので、下痢に対する対応をして、ゆっくり休むくらいしか手立てはない。下痢には十分な水分補給が必要。  流行シーズンは春まで続く。クリスマスから旧正月にかけて外食する機会も増えると思うが、生ものには十分気をつけたい。

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インフルエンザワクチン・ハンドキャリーの危険性

 インフルエンザワクチンが極端に不足する中、日本からワクチンを香港にハンドキャリーして、それを香港の医師に依頼して接種してもらおうという動きがあるようだ。  ある会社は、日本の本社からの意向で駐在員とその家族にワクチンを接種するため、30人分を日本で調達してハンドキャリーで香港に持ち込もうとしている。香港では接種に協力してくれる医師を確保したというが、今一度、その妥当性を再考して欲しいところだ。  先週金曜日の地元紙で大きく報道されているので、多くの人にとっては既知のことかと思うが、中国から正規のルートを経ずして香港に持ち込まれたインフルエンザワクチンを、政府が緊急回収する事態となっている。このワクチンはフランスで生産されたもので、香港でも認可されているものと同じメーカーのものであるが、中国に輸入された後、国内向けに再梱包されたものだ。元の製品には問題がないと思われるが、正規のルートで輸入されていない、いわば香港への密輸品であることと、保管温度(2~8℃)などがきちんと保たれていたかどうかなど疑わしいこともあり、政府が大々的に広報して回収に踏み切った。  ライセンスを持つ企業にしか医薬品輸入は認められておらず、違法に輸入した者には罰金10万ドル及び懲役2年が課せられる可能性がある。  ハンドキャリーで持ち込んだワクチンを使用することは法律的な問題が生じるほかに、会社として日本からワクチンを持ち込んで接種する場合は、責任の所在がはっきりしなくなるというリスクも考えるべきだろう。全員接種するよう本社からの指示があるとも聞くが、日本から「不法」に持ち込んだワクチンによって、万が一副反応事故が起きた場合、いったい誰が責任を取るのか? インフルエンザワクチンはあくまでも任意で受ける予防接種だ。それを半ば強制するかのように接種したことは企業に責任が生じることは明らかだ。もちろん不測の事態に際しては、任意であったことを会社としては主張するであろうが、香港に違法にワクチンを持ち込み、それそ使用したということになると、接種した医師はもちろんのこと、当該企業は香港の法律に則って責任を負うことになるはずだ。  そもそもインフルエンザワクチンはそこまでして接種するほどのものなのか。今季は新型インフルエンザの流行が懸念され、いよいよ流行が始まった際に、感染の機会となるので医療機関になるべく行かなくてすむようにインフルエンザワクチンを接種しようとしているようだ。しかし、インフルエンザは毎年流行タイプが変化しているので、せっかくのワクチン接種が無駄になることも少なくない。昨年流行したものであれば、多くの人は免疫ができているため、ワクチン接種しなくても同じ型のウイルスには感染しにくいこともある。日本ではインフルエンザワクチンの有効性について疑問視する意見も少なくない。  新型インフルエンザに備えるのであれば、従来のインフルエンザに対するワクチンを接種することを第一に考えるのではなく、流行が始まった場合に、どのように対応するかを今からシミュレーションしておくことの方が大切だ。たとえば、スタッフにインフルエンザ感染が疑われた場合、即座に休ませることができる体制であるのか。業務繁忙でほとんど休みが取れないばかりか残業時間も極端に長くなっている会社もあるようだ。このような状態であっても「強制的」に休ませることができるようなシステムが必要だ。疲労やストレスは免疫力を低下させる。さらに感染が疑われているにもかかわらず、無理に出社すること(させること)は社内での急速な感染拡大につながり、生産性が低下することは明らかだ。  新型インフルエンザ対策として、まずやらなければいけないことは従来のインフルエンザワクチンの接種ではない。人間の免疫力ほど素晴らしい生体防衛手段はほかにない。この免疫力を最大限に高めておく、あるいは低下させないことが最も大切なことになる。よく言われる「栄養」はとりあえず満たされていると思われるので、あとは休養と運動、そしてストレスマネージメントだ。感染してしまったら、身体を休めることが最も重要なな回復手段となる。  最後に喫煙者は特に上気道感染症(風邪やインフルエンザ)に対して抵抗力が低下しているといわれているので、何よりも先に禁煙は必要となることを是非理解して欲しい。

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世界エイズデー

 今日、12月1日は「世界エイズデー」だ。 今年のテーマは、『 エイズ…あなたは「関係ない」と思っていませんか?』となっている。確かに身近な問題として捉えにくく、普段特に問題として捉えることはないとしても仕方がないだろう。  11月21日、国連エイズ合同計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は、世界のHIV(エイズウイルス)感染者が4000万人を突破して、今年中には4030万人に達する見込みであることを発表している。今年の新規感染者は490万人、死者は310万人。これらの数字は昨年と変わらないものの、東アジア、中央アジア、さらに東欧では、患者が増え続けている。  東アジアでの感染者数は87万人。理由は不明であるが中国が数字を下方修正したために昨年発表(110万人)に比べると大幅に減少しているものの、2003年よりも25%も感染者が増えており、依然増加傾向に歯止めはかかっていないものと思われる。  ところでシンセンでは、昨年HIV感染者の急増を当局が公表している。都合が悪いことを隠蔽しようとする傾向が強い中国で、HIV患者数の急増を公表したということは、余程危機感が強かったと思われる。香港からは、日本人も含めて多くの男性がシンセンに「遊び」に行くようであるが、HIVに感染するリスクが高いことを自覚するべきだろう。  タイでは、売春婦のコンドーム使用率が一時100%近くあったのが、現在では半分程度まで低下しており、HIV感染のリスクが急激に高くなっているものと懸念されているという。コンドームをつければ確実にHIV感染を防ぐことが保障されるわけではないが、最低限の防備であることは確かだ。  エイズによる死者は特にサハラ砂漠以南のアフリカ各国に集中している。無知による感染拡大と貧困で治療できずに放置される患者が多いのがその理由だ。中にはエイズで国が滅びてしまうのではないかと懸念されるような国もあるという。世界各国のHIV感染率上位20カ国のうち19カ国がアフリカ諸国で、最も感染率が高いボツワナの感染率は38%を超えていると推計されている。エイズ問題は南北格差の問題でもある。  現在、新型インフルエンザが心配されているが、これまでも年間50万人もの命がインフルエンザによって失われている。この数字は驚きをもって語られるが、エイズ患者の死亡はその6倍にもなる。近い将来、身近なところでHIV感染者が現われることにもなるだろう。職場などでの差別は許されない。会社の同僚が、あるいは友人が、そして家族が感染してしまうということは、決して非現実的な空想ではないと考えるべきだろう。身近で感染者が現れたときに慌てないためにもエイズに関して正しい知識と対応をいつも考えておく必要がある。

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世界糖尿病デー

 今日、11月14日は世界140カ国・地域によって構成される国際糖尿病連合が定めた世界糖尿病デー(World Diabetes Day)だ。インスリンを発見したフレデリック・バンティングの誕生日であることから、この日が 選ばれたという。(1891年11月14日カナダ、トロント生まれ)  今年のテーマは「糖尿病とフットケア」。糖尿病の合併症で「足の切断を防ごう」がスローガンとなっている。なんとも恐ろしい話だ。糖尿病は今やたいへん身近な病気で、周囲に一人や二人必ず患者がいるほどだというのに、合併症で足を切断する危険性があるという事実はたいへんショッキングである。しかし糖尿病デーのスローガンに採用されるということは、それだけ足を切断せざるを得なかった多くの患者がいるということで、糖尿病患者はもちろんその予備軍と呼ばれる人々も十分に注意する必要がある。  日本人の場合、全人口の10%にあたる1300万人もの患者が存在するものと推定されているが、そのうち治療を受けているのは半分にも満たない。治療を怠ると、下肢切断のきっかけとなる末端壊死、腎不全、失明など重篤な合併症の危険性が非常に高くなる。ちなみに新規透析患者の多くは、糖尿病の合併症で腎不全を起こしてしまった患者だ。合併症はどれもたいへん重い病気だ。糖尿病の本当の怖さはこの合併症にあり、医師による治療や指導管理を積極的に受け、食事療法はもちろんのこと、必要であればインスリン注射も受けるべきだろう。  糖尿病はその発症因子が遺伝する。両親あるいは祖父母のいずれかが患者である場合、糖尿病の発症リスクは格段に高くなる。もちろん遺伝因子を持つ人が必ず糖尿病を発症するわけではなく、主に「肥満」という引き金を引いてしまった場合に発症するわけだ。自分がハイリスクに該当する場合は絶対に太ってはいけないと心得ておきたい。  糖尿病は発症してしまったら治癒することはできず、一生コントロールしながら病気と付き合うことになる。血糖値さえきちんとコントロールできれば決して怖い病気ではないのだが、この「コントロール」が難しく徐々に悪化してしまう患者がたいへん多い。  香港在住の日本人にも糖尿病患者あるいは予備軍に入る人は非常に多い。糖尿病発症のリスクを指摘されたことをきっかけに減量に努力して改善できる人もあるが、放置して悪化させている人がかなり多い。糖尿病は痛みなどの自覚症状が全くないといってもよく、それだけにコントロールするためには強い意思が必要となるわけだ。  血糖値が高いという指摘を受けた場合、食事制限(カロリー制限)するとともに運動を日常生活に積極的に取り込み改善に努めて欲しい。また糖尿病の可能性を指摘された場合は、強い危機感をもってできる限り早く医師の診察を受けて、必要であれば治療するべきだ。高めの血糖値であってもその値が低ければ低いほど管理しやすい。40歳以上の4人に一人は糖尿病、あるいはその予備軍といわれる。この人達にとっては、糖尿病デーのスローガンである「足の切断を防ごう」は決して他人事ではない。

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インフルエンザ ワクチンー極端な品薄状態

 インフルエンザワクチンがない。今週に入って予防接種を希望する問い合わせが急増している。中には100人単位で接種を希望している事業所もあるが、肝心のワクチンが底を突いている。在庫のあるクリニックから融通してもらい、目先の希望者に接種する努力はしているものの、とても追いつかないのが現状だ。  先週あたりから急に鳥インフルエンザの報道が目立ってきた。毎日のように新聞の1面を飾っている報道で、市民の間には次第に不安感が募っていることは確かだろう。現在の鳥インフルエンザが、まもなく人のインフルエンザ(新型インフルエンザ)に変化することはまず間違いのない事実だが、その次期を予想することは難しい。近い将来としかいえない。明日かもしれないし、1年先かもしれない。いずれにしても十分に警戒しなければいけない段階で、WHOをはじめ各国の保健行政機関は神経を尖らせて、その推移を見守っている。  インフルエンザ対策として、先進国ではタミフル、途上国では安価なアマンタジンといった抗ウイルス剤の備蓄を進めているが、生産に限界があり思うように在庫が増えないという。もちろんワクチンの開発も進んでおり、すでにアメリカでは実用化の目処が立ったとの報道もある。しかし、十分なワクチンを供給するにはまだまだ時間がかかりそうだ。インフルエンザワクチンは世界規模で同時に使用しなければ、総合的な対策にはならない。  新型インフルエンザに対するワクチンは、まだ市場には出ていない。近いうちに一般に供給されるということもないだろう。まだまだ実用化にはいくつものステップを踏まなくてはいけないようだ。つまり、現在のインフルエンザワクチンは鳥インフルエンザ(新型インフルエンザ)には、まったく効果はないのだ。おそらく多くの市民が、現在のインフルエンザワクチンが鳥インフルエンザからの感染も予防できるものと勘違いしてワクチン接種を急いでいると思われ、結果としてワクチン不足がおきていると考えられる。製薬会社からの供給不足が原因ではないそうだ。  インフルエンザワクチンの接種を希望する場合は、最寄の医療機関に直接問い合わせて在庫を確認して欲しい。現在のインフルエンザワクチンは、昨年流行したタイプと毎年のように流行を繰り返すことがわかっているタイプに対する感染予防効果が期待できるのであって、新型(鳥)インフルエンザ対策にはならないことを理解したうえでその接種の有効性を十分に検討してから接種希望して欲しい。パニック的に接種を希望しても、優先的に接種をしなければいけない老人など免疫力が十分ではない人に行き渡らなくなってしまっては困る。  ワクチンがない現在、来たるべく新型インフルエンザに個人で、あるいは会社でどのように対応して少しでも被害を少なくするかを、今から十分に考えておきたい。 1、 十分な栄養。(カロリー摂取ではない!)2、 十分な休養。睡眠。3、 適度な運動。4、 手洗い これら4点はインフルエンザ感染予防として基本となる。特に2番については、感染後の対策としても事業所単位で十分対策を考慮しなければいけない。つまり、患者を無理に出社させないこと。十分な休養を補償することだ。無理を押して出社したところで、感染を広めて社内の業務効率を落とすだけだ。ただし休むということは関して、現状では非常に困難を伴うことはよく聞くことで、社員側としても多少の無理をしても目の前の仕事を片付けておきたい気持ちはよくわかる。それだけに難しい問題だ。 新型インフルエンザ流行は非常事態だ。その点をよく理解したうえで、各事業所はその対策を考える必要がある。感染者を休ませる場合に、その業務をどのように他に割り振るかといったことを平時である今からシミュレーションしておきたい。SARSの際の混乱は二度と御免だ。