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病原大腸菌O104

ドイツを中心に欧州の広い範囲にに拡大した病原大腸菌O104による食中毒事件の原因は、結局スプラウト(モヤシ)であったようです。ドイツ政府はモヤシ類の摂食を控えることを指導するとともに、他の野菜の安全を宣言しています。 当初、スペインから輸入されたキュウリが原因であることをほのめかしてしまったので、これに対してスペイン政府が抗議するなど、国際問題にまで発展してしまいました。今も欧州諸国では野菜類がまったく売れないなど、農家や生鮮食料品店は風評被害に苦しんでいます。 病原大腸菌とモヤシというと、日本ではO157による食中毒事件を思い出します。学校給食での感染は間違いなかったものの、原因食品に行きあたることができず、厚生労働省は結局根拠に乏しいまま「カイワレ原因説」を発表してしまったのです。怒ったのはカイワレ業者。裁判になり、結局、業者が勝訴。今もって確かな原因食品がわからないままです。 病原大腸菌は牛をはじめやぎ、羊、鹿といった反芻胃を持っている動物にのみ感染しているものです。今回のドイツの件も同じですが、そんな病原菌による食中毒の原因食品として野菜があげられることが不思議です。どこかで野菜を汚染する状況がなければいけません。 病原大腸菌に限った話ではありませんが、食中毒予防の三大原則に「付けない」「増やさない」「殺す」というものがあります。今回の一件では、どこかでモヤシを汚染させてしまった事が考えられ「付けてしまった」、さらに流通の過程で増殖「増えてしまった」、さらには生で食べたので病原菌を「殺すことができなかった」わけです。 細菌性食中毒のシーズンに入り、これから患者数がピークとなります。食中毒の発生は一般家庭で起きることが最も多く、皆が十分注意しなければいけません。最近では牛肉の問題が大きくクローズアップされましたが生のものを食べる場合はこれからの季節は特段の注意が必要です。 欧州での病原大腸菌O104による食中毒事件は、鎮静化してきましたが、これは対岸の火事ではありません。いつアジアで大流行してもおかしくはありません。特別な注意は必要ありませんが、食中毒予防の基本原則は守りたいところです。 ところでドイツを中心に問題になった病原大腸菌O104は通常より毒性が強く、どうやら新種のようです。抗生物質にも耐性があるとのこと。このことを突き止めたのは、シンセンにある中国の遺伝子研究機関(北京ゲノム研究所)。このところ中国では遺伝子研究に力を入れており、シンセンをそのハブとしてそのテクノロジーを集積させるそうです。計画が完了すれば中国のみならずシンセンが世界の遺伝子研究の中心になる可能性もあります。

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携帯電話と発がんリスク

WHO(世界保健機関)の組織である国際がん研究機関(IARC)は、携帯電話の電磁波と発がん性の関連について、限定的ではあるものの関連性があるものとの分析結果を発表しています。 これは5月31日までにフランス・リヨンで開かれた専門家(14カ国31人)による作業部会の結論として公表されたものです。携帯電話の電磁波は、5段階に分けられる発がん性分類で、上から3番目になる「2B 可能性がある」とされました。 これに対して各国の専門家からは発表が時期尚早すぎるとの批判が出ていますが、WHOの「健康被害が少しでもあると考えられることに関しては早めに注意喚起する」という予防原則に沿ったものであり、この発表自体には問題はないと思います。 ちなみにIARCの発がん性分類で一番上(グループ1)に分類されるものにはタバコやアルコール、放射線などのほかにもピロリ菌(胃がん)、ヒトパピローマウイルス(子宮頚がん)、B、C型肝炎ウイルスといった微生物も含まれます。また香港でもなじみの深い「塩蔵の魚(ハムユィ)」も一番上に分類されています。(ちょっと驚き!)ちなみに昨日お送りした医療情報にある可塑剤(DEHP フタル酸ジエチルヘキシル)は当初2B(人に対する発がん性が疑われる)からグループ3(人に対する発がん性が分類できない)に降格されています。今回の携帯電話の電磁波に対する分類は2B(発がん性が疑われる)ですが、この中にはなんとコーヒーも含まれます。興味深いところでは、複数の抗がん剤に発がん性が疑われていることです。 発がん性分類表をながめていると、現代生活では発がん性物質やそのリスクがある環境から逃れることはできないことに納得させられます。少しでもリスクから逃れなければいけないことは確かですが、リスクを軽減する努力も積極的に行わなければいけないのではないかと強く考えます。 1個のがん細胞が5ミリの大きさ、つまり画像診断が可能になる大きさにまで成長するのに5~20年もかかります。とくに早期段階においては免疫力でその成長を抑え込んでいる時期も長くあるようです。免疫力を落とさない生活、免疫力をアップする努力が求められることは間違いありません。コントロールは難しいものの、ストレスが最も良くないとも言われています。がん細胞を叩く重要な細胞、NK細胞(白血球)の活性は笑うと一瞬にして高くなります。作り笑いでも同じ現象が確認されています。少しでも多く笑って生活することががん抑制につながります。反対に大きなストレスになる「怒ること」を少なくしたいものですね。まったく難しいことですが…

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食品の化学物質汚染

発がん性が認められる可塑剤(DEHP フタル酸ジエチルヘキシル)の容器からの溶出が認められた台湾製飲料が回収され、またも大きな食品問題になっています。 可塑剤は合成樹脂に加えられてその柔軟性を持たせるために添加される薬品類で、合成樹脂製品にとって無くてはならない重要なものです。しかし今般問題になったDEHPは腎臓がんや肝臓がんの発症に関係することが疑われることから米国FDAではその使用を禁止しています。日本をはじめとした多くの国でもほかの可塑剤に切り替えており、現在では少なくとも食品関連容器や医療製品には使われなくなっているはずです。(医療関係では点滴バックやチューブ類に使われていました) 可塑剤はアルコールや油に溶けやすい性質があります。衛生管理を徹底するために、ある弁当製造工場では手袋の上から頻繁にアルコール消毒をしていたそうですが、この手袋から可塑剤が弁当に大量に移行していました。基本的に先進国では問題がなくなったと思われる可塑剤の問題が、今もこのような形で出てくるということは、出所のわからないプラスチック製品(合成樹脂製品)を食品用に使わないことが求められます。なお香港のレストランなどで使われる発泡スチロールの容器は、今回の問題とは関係ありません。

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肥満の増加を危惧する

10年以上前の香港ではそれほどでもありませんでしたが、今では大人から子供まで、肥満がとても目立ちます。スーパーのレジに並んでいる女性。ポテトチップ、ジュース、ケーキ・・・・・、高カロリーのものばかり。幼稚園児くらいの子供を二人連れていましたが、丸々と太っていました。きっと好きに食べさせているのでしょう。 香港は脂っこいものが多いから肥満が多いと思っている人も多いと思いますが、実際は違います。私が香港に来た当初(1990年)は、太っている人をあまり見かけなかったものです。「中華料理」である基本的な食事内容はあまりかわっていませんが、ファーストフードと言われるジャンクフードが増えて、肥満が増えたように思います。いつのころからか外食で食事中に飲むものが、お茶からコーラやレモンティーにかわってきたようです。肥満の原因に砂糖の摂り過ぎも加わります。昔から脂っこいものが多いのは仕方がないとしても、糖分の摂り過ぎが日常的になっては良くありません。 香港の人の平均寿命は日本と並んで世界トップですがこれから先、香港人の寿命は短くなるのではないかと個人的には思っています。子供のころに太ってしまうと肥満細胞が増え、たとえいったん痩せたとしても、大人になってから太り過ぎる傾向が強くなり、おまけに痩せにくい体質にもなります。 太ることは循環器系の病気、つまり心筋梗塞や脳卒中のリスクが間違いなく高くなります。血液検査をいつも受けられるわけではありませんが、体重が増えることは脂質異常と連動するため、循環器疾患のリスクが確実に大きくなると考えておいて間違いありません。もちろん循環器系に限らず全身の健康状態を悪くすることは当然です。健康診断の結果を見ていると、全体重の2%くらい増加するだけで、急に脂質や肝機能の異常、あるいは血圧の上昇などを認めることは決して珍しくはありません。これは特に中年男性に顕著です。 生涯を通して健康であるためには、太らないことが一番。すでに太ってしまっている人は、とにかく痩せること。ただし太っていることが悪いわけではありません。肥満である上に脂質異常、肝機能異常、高血糖、高尿酸、高血圧といったことを指摘されている場合は、ダイエットが急務です。痩せることが最良の治療になります。(特に男性の中年期の肥満) 検査の結果として健康状態に異常が認められない肥満は特に問題が無いことが多いようです。この場合、食事制限しても減量しにくく、無理して健康状態を損ねてしまうこともあります。(特に女性型の肥満)

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がん死を避けるため

俳優の児玉清氏が、16日、胃がんで亡くなりました。77歳でした。先月、肝機能障害で入院し検査を受けたところ、進行した胃がんが発見されましたが、すでに肝臓に転移しており、発見から死亡まであまりにも短い時間しかありませんでした。おそらく関係者は唖然としてしまったに違いありません。 肺がん、胃がん、大腸がんは部位別のがん死トップ3を締めています。このうち胃がんと大腸がんは早期に発見することが可能で、「治癒できるがん」とも言えるものであるだけに、これらのがんで亡くなるケースは非常に残念に思います。 胃がんの最大の原因はピロリ菌であると言われます。もちろんピロリ菌に感染していたら必ずがんになるというわけではなく、そのほかに高塩食や飲酒、喫煙、そしてストレスなどの要因が重なってのことですが、内視鏡検査によって早期発見が可能です。その際にピロリ菌が発見されれば、除菌することによって胃がんリスクを大幅に下げることができます。 大腸がんは進行が極めて遅いがんの代表で、やはり内視鏡検査で早期がんの発見が可能です。しかもポリープもない正常な大腸であれば、その検査は5年に一度で良いものです。これで十分早期がんが発見できるのです。 胃がんおよび大腸がんの検査を、仮に全国民が必ず定期的に受診するのであれば、日本のがん死は30%下がるものと期待できます。もちろんそのようなことは不可能ですが、個人レベルであれば、自分自身のがん死リスクを大幅に下げることが可能なわけです。胃や大腸以外では女性の子宮頚がんも早期発見が可能なので、定期的に検査しておく事が大切です。 乳がんや精巣がんは自己検診で発見できる可能性もあり、自分自身で検査する習慣をつけておくべきです。また女性の子宮体がんや男性の前立腺がんは、ちょっとした出血や排尿関連の症状が大きなサインになっていることもあるので、小さな症状を軽視しないできちんと検査を受けることが大切です。  “小さな症状、大きなサイン” 昨今がん死が増え、日本では今や2人にひとりががんで亡くなると言われるようになってきましたが、これは高齢化が進んでいることも大きな理由です。1個のがん細胞は5年から20年もかかって、やっとPET検診でわかる5mmの大きさになります。つまり長生きすればガンが発見される可能性が大きくなるという理屈です。 高齢になってガンが発見されたとしても諦めがつくのかもしれませんが、30歳代から50歳代の若いころにがんになり、たとえ手術が成功したとしても再発を心配しながら生活しなければいけないことは辛いものです。それだけに、たとえがんが発見されても再発の心配をほとんどしなくても良い早期発見を目指すことがたいへん重要になります。偶然がんが早期発見されるケースも少なくはありませんが、日頃から生活習慣を含めてがんにならないようにすることや、がんの早期発見を意識することが大切であことは言うまでもありません。

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病原性大腸菌食中毒

日本の焼肉チェーン店で腸管出血性大腸菌O111と、同じくO157による集団食中毒事件が発生し、4人が溶血性尿毒素症症候群(HUS)を発症して死亡しました。O157 は1996年に岡山や大阪の小学校などで集団感染が起きて死亡者も出ていますが、この時にマスコミが大々的に報道したことで感染症としての名前が一般に広がったようです。 今回の集団食中毒で確認されている原因菌であるO111とO157は、細菌の表面たんぱくが少し違うだけで基本的には同じ菌だと思っても間違いはありません。同じ種類の細菌は200種類ほどありますが毒性を持つものとして知られているものはこれら2種類のほかO26など限られたものしかありません。感染すると3~8日の潜伏期間の後、おう吐や下痢といった一般食中毒症状が現れます。下痢便に血液が混じることも特徴です。さらに発症者の一部は腎臓障害(溶血性尿毒素症症候群)や脳症を起こして死に至ります。その意味では非常に怖い食中毒であり、原因食品となる牛肉は確実に安全性が保障されたもの以外は食べてはいけないのです。私自身は、その危険性を理解しているので、レストランでユッケを食べることは、まずありえません。レバ刺しも人気なようですが、レバーは肉以上に危険な食品であり、生を食べるなど私にはとても考えられることではありません。ちなみに生カキも食中毒リスクが高い食品ですが、食中毒の症状の重さを考えて、こちらは「覚悟して」食べることはあります。 O157に関してはしばらく大きな中毒事件が起きていないので、油断もあったのかもしれませんが、今回の一連の報道を見ていると、生ものを扱うことのリスクをレストラン側がまったくといっていいほど認識していなかったこと、そして客としての消費者もほとんどその知識がなかったことが、集団食中毒が起きてしまった大きな原因になっていると思います。 牛肉は生でも大丈夫だとの大きな誤解があります。これはレアのステーキを食べることから来ているからかと思いますが、ステーキ肉はたとえ汚染されても表面だけで、とユッケに使う細切りにした肉とはまったく異なります。ひき肉をつかうハンバーグも危険であることに関しては同じです。O157やO111は牛などの消化管に棲息しており、屠殺場での食肉処理の際に肉表面を汚染してしまうわけです。菌が中にまで侵入することはないので、ステーキの場合はその表面さえ焼けていれば感染の心配がなくなるのです。牛のたたきも同じです。 ハンバーグの場合は中心部まで確実に火が通っていないとたいへん危険です。中が赤いハンバーグが出されるレストランもあると聞きますが、たまたま感染しないだけであって100%安全であるという保証は一切ありません。 ところで馬肉は生食用として流通しています。なぜなのかと疑問に思う人もあるかと思いますが、O157など病原大腸菌は牛、やぎ、羊、鹿といった反芻胃を持っている動物にのみ感染しており、馬には感染していないからです。牛などの動物の消化管の中では病原大腸菌も常在菌としてほかの腸内細菌と共存していますが、いったん人の消化管内に入り込むと著しい毒性を発現します。 日本ではレストランに、生かきは出さない方が良いとのアドバイスが保健所からあるそうです。生かきは古くから食されてきたものであり、ユッケよりも一般的な食品です。しかし、ノロウイルス感染の危険性がら出さない方が良いとの指導があるわけです。もちろん生かきはレストラン等で出してはいけないと法律で決められた食品ではありません。しかし店の責任といって客に出して、たった一度でも食中毒を出してしまったら零細レストランはいっぺんに吹っ飛んでしまします。そのリスクがあるから出さない方が良いとの指導になります。ユッケに使われている牛肉は生食用ではありませんが、これを禁じる法律もなく、店でユッケを提供することは何ら問題がありません。しかし食中毒を出してしまったら店としてはアウトです。しかも今回は複数の死者まで出してしまったわけですから、厳しく責任が問われることになって当然です。 食中毒は、例え食品の鮮度が良くても、味がおかしくなくても、起きるときは起きてしまいます。今回問題となった焼き肉店では店でチェックしていたといいますが、店のチェックなどあてになるものではありません。もちろん一般家庭でも同じです。 今回の集団食中毒事件は、食品に対する衛生管理の甘さが原因となった事件です。飲食店は衛生管理を徹底するとともに、やはり専門知識を持ったうえで責任もって客に食品を提供しなければいけません。また消費者も何が危険なのか、ある程度の知識をもって自衛するべきです。「中国野菜は危険」「日本食品は安全」「牛肉は生でも大丈夫」「新鮮だから安全」「高級レストランだから安全」といったような単なる「イメージ」だけで食品の安全を判断するようなことでは避けなければいけません。

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香港HIV・AIDS統計

香港衛生署は昨年のHIV感染者数とAIDS患者数を公表しました。2010年の新たなHIV感染者数は396人。統計を取り始めた1984年以来の感染者数は4832人となりました。 HIVに感染し、何も治療を受けないでいると、10年後には感染者の半数がAIDSを発症すると言われています。ちなみに昨年の第4四半期に発症したのは14人。1985年からのAIDS患者は1185人となりました。 昨年の新規感染者の感染ルートは161人がホモセクシャルまたはバイセクシュアル111人は異性間。さらに麻薬類の回し打ちによる感染が15人、母子感染は3人となっています。残り99人は感染ルートがつかめていません。 HIV感染者数は世界的に増加傾向が続いており、アフリカなどでは平均寿命を大幅に短縮してしまうケースが多く中には国家の存亡まで危ぶまれている国さえあります。その一方で治療薬の開発も進んでいるため、きちんと治療することで発症をかなり押さえることができるようになってきました。AIDSは不治の病という印象が強い感染症ですが、HIV感染にとどめておくことが可能になってきたことで、根本治療に向けて少し明かりがさしてきたところではないでしょうか。 とうとはいえ、やはり現状では感染予防に努めなければいけません。最低限の予防だけは絶対に怠らないことです。HIVの感染力は非常に弱いことは確かですから、予防すればかなりの確率で感染を免れます。 感染が心配だといって血液検査を受けたいと言われる方が時々あります。弊社は駆け込み寺ではありませんが、こんなケースでもご相談には乗らせていただいています。ただ感染が危惧される機会があっても直後には検査はできません。(抗体ができていないので意味がないのです)過去にはパニックのようになった方もありましたが、感染の確率は極めて小さい感染症なので、検査結果がはっきりわかる2カ月後くらいまで落ち着いて待ってください。 HIVの感染確率は低いので、自分は大丈夫だと根拠もなく安心している人も、確かにあります。あるいは鉄兜をかぶっているつもりなのか、無頓着に遊んでいる人もあると聞きます。こんな人はHIVのみならず各種性病に関しても検査が必要です。本当は、「君子危うきに近づかず」なんですけど・・・。

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インフルエンザ情報 寄せられた質問より

質問「子供がH1N1型インフルエンザと診断され、主治医から家族も一緒にタミフルを服用するように指示された。現在のところこの子供以外に症状がないにもかかわらずタミフルを服用しても良いのだろうか。また、解熱剤も処方されたが、タミフルと一緒に服用しても良いものなのか?」 皆さんであれば、どうされますか?医師の勧めであり、何も考えないで指示に従うという人も少なくないことでしょう。ご質問された方は、医師の指示に疑問を持ち、私の考え方を聞きたいと質問されたわけですが、私もこのような医師の指示には大きな疑問や懸念を感じないわけにはいきません。医師でもない私が、医師の指示を否定してしまうことは良くありませんが、ひとつの考え方として受け止めていただき、ご自身の判断材料にしていただければ幸いです。 感染者である子供にタミフルを処方することは当然のこと。この処置にはもちろん疑問はありませんが、症状もなく感染が確認されていない家族にまでタミフルを、予防的に服用させてしまうことには納得できません。皆様もご存知かもしれませんが、世界中でタミフル耐性のインフルエンザウイルスが見つかっています。現在のところタミフルは数少ないインフルエンザ治療薬です。A型インフルエンザで毎年50万人が死亡していると言われている我々人類にとって、ウイルスと闘う有力な武器です。タミフルは日本でも香港でも、その使用量は世界的にみて非常に多く、今後耐性ウイルスが多くなる危険性が指摘されています。タミフルに限らず抗生物質は、感染症治療の切り札であり、やたらと使うものではありません。診断されている患者に服用を限定し、予防内服薬としての使用はするべきではないというのが私の考え方です。ごく当然のことだと思うのですが、実際には大量処方されている実態が、ご質問いただいた方のお話からうかがい知ることができました。 さて、同時に処方された解熱剤についてです。必要があればタミフルと一緒に服用してもかまいませんが、そもそも発熱はなぜ起きるのかということを理解しておく必要があります。発熱は頭痛や食欲不振なども伴い、確かに不快な症状ではありますが、体内の免疫力を上昇させるとともに、病原菌の活動を高温で抑える働きをするため、感染症の治癒に大きく貢献することになります。そこに解熱剤を服用すると、せっかくの免疫力が低下し、病原菌も活動しやすい体温にしてしまうことで、結果的に病期を長引かせることになります。 解熱剤は必ず飲まなければいけないものではありませんしまして発熱しないよう予防的に服用するものでもありません。必要があるから体温をあげるのが一般的な発熱です。体表面から(外から)冷やしてください。首筋や腋、股の部分など大きな血管が体表近くを走行している場所を重点的に冷やします。患者が寒く感じるときはまだ発熱させないといけない時期になりますので、この場合は全身を温めてください。要は患者自身を気持ちよい状態にさせてあげることが大切なのです。昔のように、汗をかいて暑くて仕方がないのに、風邪をひいているからといって布団をたくさんかけてしまうことは誤りです。発熱に際して、絶対に忘れてはいけないことは水分補給です。特に小さな子供の場合は、脱水症状を起こさないように十分注意しなければいけません。幼児は水もうけつけなくなることがありますが、薄めたジュースでも構いません。小さな「スプーンなどで少しずつでも頻繁に飲ませることが必要です。 今季のインフルエンザは、風邪症状から急激に悪化してしまうケースが複数報告されています。家族など身近に患者が現れた場合は、体調管理に気を使うことはもちろんですが、少しでも症状が現れたら(罹ったかなと思ったら)、迷わず医師の判断を仰ぐことが大切です。 香港ではインフルエンザの流行が今も拡大しています。今年に入って昨日までに11人が死亡し、現在のところ29人が集中治療室にて治療中です。感染には十分注意してください。

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インフルエンザ情報

北半球のインフルエンザの流行は、現在ピークを迎えつつあります。今年(今季)のインフルエンザも、どうやら昨シーズンの流行と同じくH1N1新型インフルエンザが主流になっているようです。 昨年の12月中旬までは季節性のインフルエンザ(H3N2)が流行の主流でしたが、昨年の最終週から2009年に流行したH1N1型新型インフルエンザの流行が急速に拡大し、現在ではこの新型インフルエンザが流行の主流となってます。現在、インフルエンザの患者は、その大半が新型インフルエンザだといっても過言ではないでしょう。 今季のインフルエンザは、時として急激に症状が悪化することがあるという特徴があるようです。発熱も従来のインフルエンザにみられるような突然の発熱は伴わず、普通の風邪だと思われていた患者の容体が急に悪化し、2~3日のうちに死亡してしまう例が複数報告されています。またウイルスをチェックする為に採取する鼻腔粘膜から新型ウイルスが検出されることは感染初期においては稀であり、インフルエンザではないという診断が下ることも珍しくはないようです。診断に手間取っているうちに急激に重症化してしまうケースが後を絶ちません。これは、従来型のインフルエンザウイルスが感染早期より鼻腔粘膜で増殖することが多いのに対して、新型インフルエンザウイルス(H1N1)は、感染初期には鼻腔に留まることはなく、肺の細胞で増殖するためです。 発熱も軽く、簡易チェックでもインフルエンザに対する反応がなければ風邪(普通感冒)と診断されても仕方がありません。軽い発熱であったとしても、初めからタミフルやリレンザといったいわゆる特効薬を投与すれば安心だという議論も出そうですが、抗生物質の使用法としては好ましいことではありません。現に薬物耐性(タミフル耐性)のインフルエンザウイルスが世界中で確認されており、抗生物質の多用は人類にとって現在のところ唯一の武器であるタミフルの効果を失くしてしまう懸念があるからです。 今年は昨年感染率が低かった年齢層にも発症例が増えており、年齢に関係なく重症化するケースが認められています。香港でも今期42名の患者が集中治療室で治療を受けています。新型インフルエンザの症状は、胸痛や腹部症状(腹痛、下痢、嘔吐)など従来型ではあまり見られないものがあることが特徴でもあり、軽い発熱でも強い倦怠感やこれらの特徴的な症状が少しでもあれば、早めに医師に相談するべきでしょう。 このところ暖かい日が続いていましたが、今週末は真冬に逆戻りします。このような大きな寒暖の差は免疫力を低下させます。さらに旧正月が終わって子供たちが学校に戻ってくるので、インフルエンザが一気に流行拡大する恐れがあります。くれぐれも感染予防を心がけるようにしてください。  1、外出後の手洗い 2、適度な休息(睡眠) 3、適度な運動 4、できる限り人混みを避ける 5、適切な栄養摂取(カロリー摂取ではありません) 罹ったかな?と思った時は、とにかく休みましょう。無理していても周囲に感染を広げるだけです。

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鳥インフルエンザ

日本各地で散発的に認められていた野鳥の鳥インフルエンザ。とうとう宮崎県の養鶏場のニワトリに感染し、感染拡大を阻止するため、行政の手で大量殺処分が行われています。宮崎県は養鶏業では日本で第2位となっており、その影響が心配されています。また現在、養鶏業が日本で最も盛んな鹿児島県にも感染拡大しており、移動制限や出荷制限で、関係業界にはかなり深刻な影響が出るのではないでしょうか。 日本で鳥インフルエンザが発生したことから、日本産の卵は香港のスーパーなどの売り場からすでに姿を消しています。同じく鳥インフルエンザの発生で韓国産にも同様の措置がとられているようです。 今回、問題となっている鳥インフルエンザは、強毒型H5N1であり、ニワトリにとっては非常に強い毒性を示します。昔から養鶏業者の間では家禽ペストと呼ばれて恐れられていたものです。養鶏場で一羽でも感染すれば一気に感染拡大し、短期間のうちに全滅に至る恐れがあるからです。実は強毒性といっても、渡り鳥は感染しても発症しないことが多く、感染経路として重要な位置にあります。つまり北国から冬にわたって来る鳥が、ウイルスを運んで来るわけです。韓国で発生すれば間もなく日本の日本海側の地方、韓国に近いところで発生を見る可能性が高く、今回も初めは山陰地方で認められていました。 現在のところ、対策は地元自治体はもちろんですが国として農水省が管轄し、地元と一体となって対策にあたっています。農水省が対策にあたることは、今のところ、「ニワトリ」の問題だからです。 今後の懸念は、人への感染です。この点に関して、すでに厚労省が動いているものと期待したいところですが省庁間の連携がとれているのか私には判りません。ホームページで確認する限り、今のところH1N1や季節性インフルエンザに対する情報ばかりです。 世界的にH5N1ウイルスに人が感染するケースが散発しており、今後もいつ人に感染するか判りません。もちろん次の新型インフルエンザの発生がいつなのか誰にも予測できませんが現在、日本や韓国で起きているH5N1型鳥インフルエンザの感染拡大を、ニワトリだけの問題と考えていると、対策が遅れる可能性があるのではないでしょうか。 香港では1997年、鳥インフルエンザに18人が感染し、6名が死亡しています。それもあり鳥インフルエンザに対してたいへん神経質にみえ、域内の野鳥からウイルスが認められただけで衛生署が市民に積極的に注意を促します。 H5N1型インフルエンザウイルスは、今のところヒトへは偶発的に感染しているものと考えられていますが、ヒトに対しても大変毒性が強く、現在のところ高い死亡率となっています。この毒性を保ったままヒト―ヒト間で感染が成立、新しいインフルエンザになってしまうと大変なことになります。万能のインフルエンザワクチンも開発の可能性が出るなど人間の側でも研究・対策が進んでいますが、ウイルスは常にその性質を変えて「進化」しています。 死んだ鳥には絶対に触れないことです。鳥肉や卵で感染した事例はなく、食べること自体を避ける必要はまったくありありません。