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インフルエンザ ワクチンー極端な品薄状態

 インフルエンザワクチンがない。今週に入って予防接種を希望する問い合わせが急増している。中には100人単位で接種を希望している事業所もあるが、肝心のワクチンが底を突いている。在庫のあるクリニックから融通してもらい、目先の希望者に接種する努力はしているものの、とても追いつかないのが現状だ。  先週あたりから急に鳥インフルエンザの報道が目立ってきた。毎日のように新聞の1面を飾っている報道で、市民の間には次第に不安感が募っていることは確かだろう。現在の鳥インフルエンザが、まもなく人のインフルエンザ(新型インフルエンザ)に変化することはまず間違いのない事実だが、その次期を予想することは難しい。近い将来としかいえない。明日かもしれないし、1年先かもしれない。いずれにしても十分に警戒しなければいけない段階で、WHOをはじめ各国の保健行政機関は神経を尖らせて、その推移を見守っている。  インフルエンザ対策として、先進国ではタミフル、途上国では安価なアマンタジンといった抗ウイルス剤の備蓄を進めているが、生産に限界があり思うように在庫が増えないという。もちろんワクチンの開発も進んでおり、すでにアメリカでは実用化の目処が立ったとの報道もある。しかし、十分なワクチンを供給するにはまだまだ時間がかかりそうだ。インフルエンザワクチンは世界規模で同時に使用しなければ、総合的な対策にはならない。  新型インフルエンザに対するワクチンは、まだ市場には出ていない。近いうちに一般に供給されるということもないだろう。まだまだ実用化にはいくつものステップを踏まなくてはいけないようだ。つまり、現在のインフルエンザワクチンは鳥インフルエンザ(新型インフルエンザ)には、まったく効果はないのだ。おそらく多くの市民が、現在のインフルエンザワクチンが鳥インフルエンザからの感染も予防できるものと勘違いしてワクチン接種を急いでいると思われ、結果としてワクチン不足がおきていると考えられる。製薬会社からの供給不足が原因ではないそうだ。  インフルエンザワクチンの接種を希望する場合は、最寄の医療機関に直接問い合わせて在庫を確認して欲しい。現在のインフルエンザワクチンは、昨年流行したタイプと毎年のように流行を繰り返すことがわかっているタイプに対する感染予防効果が期待できるのであって、新型(鳥)インフルエンザ対策にはならないことを理解したうえでその接種の有効性を十分に検討してから接種希望して欲しい。パニック的に接種を希望しても、優先的に接種をしなければいけない老人など免疫力が十分ではない人に行き渡らなくなってしまっては困る。  ワクチンがない現在、来たるべく新型インフルエンザに個人で、あるいは会社でどのように対応して少しでも被害を少なくするかを、今から十分に考えておきたい。 1、 十分な栄養。(カロリー摂取ではない!)2、 十分な休養。睡眠。3、 適度な運動。4、 手洗い これら4点はインフルエンザ感染予防として基本となる。特に2番については、感染後の対策としても事業所単位で十分対策を考慮しなければいけない。つまり、患者を無理に出社させないこと。十分な休養を補償することだ。無理を押して出社したところで、感染を広めて社内の業務効率を落とすだけだ。ただし休むということは関して、現状では非常に困難を伴うことはよく聞くことで、社員側としても多少の無理をしても目の前の仕事を片付けておきたい気持ちはよくわかる。それだけに難しい問題だ。 新型インフルエンザ流行は非常事態だ。その点をよく理解したうえで、各事業所はその対策を考える必要がある。感染者を休ませる場合に、その業務をどのように他に割り振るかといったことを平時である今からシミュレーションしておきたい。SARSの際の混乱は二度と御免だ。

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鳥インフルエンザ情報

 鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスが南下している。 今年の夏、中国からモンゴルへ北上し、さらに大陸を西に進んでルーマニアやトルコでも確認された鳥インフルエンザは、季節が進み現在は中国南部にまで広がってきた。これはおそらく渡り鳥によってウイルスが運ばれているものと推測され、暖かいときにロシアで移動した渡り鳥が、寒くなって南下するのにあわせて、再び中国(安徽省と湖南省)でもウイルスが確認されるようになったわけだ。H5N1の渡り鳥に対する毒性が低いため、渡り鳥がキャリアーになってウイルスを運んでいるという。香港に到達するのは時間の問題だ。  鳥インフルエンザは、その名のとおり「鳥」の病気だ。これが大きななニュースになるのは、大量に鳥を処分しなければいけないからではない。もちろん何万羽もの鶏が殺処分される光景はショッキングである。鶏や卵の移動禁止処置などが行われるため、経済的な問題が大きいことも確かだ。しかし、問題は「新型インフルエンザ」だ。歴代の新型インフルエンザは鳥インフルエンザがその原因になっていることが明らかになっている。  今朝のAFP電では、タイから帰国したフランス人に鳥インフルエンザ症状が認められ、現在パリにて検体の精密検査をおこなっているという。  現在のところ鳥から人が感染するケースのみが報告されており、人ー人感染はない。しかし全世界的に鳥インフルエンザが報告されるようになり、ウイルス自体が少しずつ変化していることは間違いない。近い将来、人の新型インフルエンザに生まれ変わり、数千万人の死者を出すことが試算されている。  アメリカではすでにワクチンが開発され、大統領が400万人分を備蓄することを指示している。世界各国でワクチンの開発が研究されているがまさにウイルスとの競争だ。ワクチン開発は思うように進んでいないのでこの冬を何とか越せるかどうかが大きな問題となるだろう。  治療薬のタミフルの備蓄も各国で進められているが、スイスのロッシュ社でしか生産できず、これまでのところ必要量を満たしているとはいえない。コストが高いタミフルのかわりに薬価が安いアマンタジンを使おうとする動きも途上国を中心にあるが、このアマンタジンを中国では鳥インフルエンザ対策として、鶏に投与していたというから驚きだ。こんなことしたら薬剤耐性にウイルスが生まれてしまう危険性が非常に大きく、途上国での対策が困難になる可能性もある。  個人での対策も必要だ。毎度同じことを言うが、手洗い、そして栄養と休養が大切だ。免疫力を落とさないようにしなければいけない。適度な運動も必要だろう。明日にも新しいウイルスが誕生するかもしれない。時間の問題だ。一人ひとりがその危険性を認識して、自分自身の健康状態に留意することが大切だ。

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中国のコレラ発生状況について

 中国衛生部が公表した2005年第3四半期(7月~9月)の全国法定伝染病発生状況によると、この間にコレラ患者は638名発生しており、このうち死者は2名となっている。昨年同期のコレラ患者発生数170名と比較すると著しい増加だ。患者の発生は、主に福建省、浙江省に集中しているという。  コレラはコレラ菌に汚染された水や食品によって感染する。原因となる食品を食べてから1~3日の潜伏期間の後、激しい下痢を伴う特有の症状が現れる。昔は下痢が原因で起きる脱水症状に適切に対処できずに、死亡することが多かった病気です。簡単に死んでしまうため「ころり」ともいわれ、たいへん恐れられた病気だ。  現在は下痢が原因で命取りになることはなく、コレラによる死亡率も激減している。法定伝染病の扱いを受けるものの、医療現場ではちょっと酷い食中毒程度にしか認識されなくなってきたとも聞く。  感染発症しても、今では死ぬほどの病気ではなくなった。しかし感染発症すれば米のとぎ汁状と表現される激しい下痢に襲われ、相当辛い思いをすることは確かだ。基本的な注意を守って、感染の予防に努めたい。  感染リスクがある国や地域(アジアではほとんどの国や地域)では生ものを食べないこと、水割りなどの氷には十分注意すること、無理な旅行計画を立てて、疲れから免疫力を落とすようなことは避けることなどで、感染の可能性は少なくなり、たとえ感染しても発症しにくくなるはずだ。  なおコレラは予防接種もあるが、効果についてはかなり疑問もあり、専門家の間では推奨はされていない。

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鳥インフルエンザ、ついに欧州上陸

 ベトナムやタイ、ラオスといった東南アジア諸国で人の死亡例を出している鳥インフルエンザ(H5N1)が、とうとうヨーロッパに汚染地域を広げた。 WHO(世界保健機関)によると でH5N1が確認されたことから今後さらに防疫体制を強化する必要があると言う。  ほんの数ヶ月前、中国北部からモンゴルに広がったH5N1ウイルスはその後もシベリアから西進し、最近になってトルコやルーマニアにまでその存在が確認された。ついにヨーロッパに侵入したことで、EU諸国では警戒を強めている。  何度も言うが、これは鳥の病気だと高をくくっていては大変なことになる。すでに鳥からの感染で死亡例が多く出ているので、それなりに不安を抱く人も増えていると思うが、まだ人間の病気との関連性について理解されているとはとても思えない。  南米でも確認されていることから、すでに世界的な拡大を成し遂げているといってもよく、これからは人のインフルエンザ(新型インフルエンザ)として何時生まれ変わるかが最大の関心事となる。  ひとたび新型インフルエンザが生まれると、数日にうちに世界中に感染が広がることになる。鳥インフルエンザが感染地域拡大を続けているのは、渡り鳥などがウイルスを運んでいるからだが、人の場合、飛行機で移動することで、世界中の多くの場所に24時間以内で移動できる。その拡散速度は鳥とは比べ物にならないほど早い。しかも渡り鳥のように移動に季節は関係ない。  最大の見積もりで1億人が新型インフルエンザで死亡するともいわれている。しかし、ワクチンや抗インフルエンザ薬の開発も進んでいることも確かだ。すでにアメリカではワクチンが開発されており、間もなく商用生産が始まることだろう。残念ながらこのワクチンがアメリカから出ることはなさそうであるが、各国でもそれぞれに開発が進められていることは安心材料だ。ウイルスの進化が早いか、人間がつくるワクチンなどの開発が早いのか、正に競争である。この冬に新型インフルエンザが流行しなければ、もしかすると、流行による影響は軽微に終わるのかもしれない。  個人的にはどのように対応すればよいのか。 新型インフルエンザであっても、感染したら必ず発症するわけではない。どのような感染症でも同じであるが、症状はやはり個人の免疫力の差によるところが大きい。  免疫力を保つためには、栄養と休養、そして運動も大切だろう。ストレスもよくない。現代社会ではストレスを回避することは困難であるが少なくとも、栄養と休養に関しては個人の努力で対応できるはずだ。食事もカロリーさえとれば良いというものでは決してない。ここでは解説しないが、「健康的」な食事を摂ることを心がけたいものだ。

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シガテラ中毒

 西貢・布袋奥(清水湾)の海鮮レストラン「發記海鮮」で一緒に食事した17名のうち10名(18~65歳、男性2名、女性8名)がシガテラ中毒症状を起こした。患者は食後9~23時間後に四肢の痺れ、腹痛、嘔吐、筋肉痛といった症状が現れ、それぞれ最寄の公立病院やプライベートクリニックを受診しているが、症状は軽いという。食物環境衛生署では現在調査中であるが、このレストランで喫食された魚が原因のシガテラ中毒であることは間違いなさそうだ。  衛生署の統計によると、今年は40件のシガテラ中毒事案が報告され、患者総数は123名となった。  シガテラ中毒は熱帯地方では珍しいものではなく、特に南太平洋など海洋性の魚を常食している人々の間では昔から多発していたものだ。シガテラ毒は元々さんご礁に多いある種の藻類に含まれるものだ。この藻類を食べる小魚を餌とする大型魚の体内ー特に内臓や皮ーに毒素が蓄積する。この毒化した大型魚を人が食べることで中毒症状を起こすわけだ。食物連鎖の過程でより大きな魚に毒素が蓄積するが、見ただけでは危険量の毒素を含むのかどうかはまったく判断できない。  シガテラ中毒を避けるためには、3斤を上回る魚は食べないようにするか、食べても少量にしておくべきだ。また大きな魚の内臓や皮は特に毒素が多いので摂食を避けること。さんご礁に生息する魚が問題になるが、その種類は非常に多く、安全である魚と毒素を持つ魚の区別は困難だ。石斑などレストランの水槽で泳いでいるような魚(淡水魚は除く)はすべて危険性があるものとみても良いだろう。  細菌性食中毒とは違って、レストランの衛生状態や調理・保存といったことが原因とはならない。シガテラ毒を含む危険な魚を見分けることができないことから、レストランの直接的な責任を追求することは困難かもしれないが、少なくとも食物環境衛生署が3斤を超える魚の危険性をアナウンスしていたのに、それを上回る大型魚を客に提供したことの責任は問われる可能性がある。(禁止ではないのでどうなるのでしょう)  ここ数年、インドネシアなどでは高く売れる大型の天然魚が少なくなり、資源の枯渇が心配されるようになってきた。大消費地である香港などに向けられる大型魚は高く売れるため乱獲されているのが実態だ。環境団体などは、ナポレオンフィッシュなど大型の魚を食べないようにと市民に訴えてはいるが、その効果は虚しい。もしかすると、シガテラ中毒が多発するのは、大きな魚を食べないで欲しいという自然の訴えなのかもしれない。  マグロなどの外洋性の大型魚は水銀が問題になっている。どこで獲れるにしても、大きな魚は今後できる限り食べないようにして、近海物の小魚を食べる機会を多くしたほうが何かと好都合なのかもしれない。

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ピロリ菌発見の学者にノーベル賞

 今年のノーベル医学生理学賞にピロリ菌の研究が評価されたオーストラリアの学者(バリー・マーシャル氏とロビン・ウォーレン氏)が選ばれた。  1979年、ウォーレン氏は胃炎患者の胃粘膜に未知の細菌が棲息していることを発見した。当初、強い酸にさらされる胃の中に微生物が棲むことはありえないことであると、誰も相手にしなかった。しかし、胃潰瘍や急性胃炎などの患者の多くがその「微生物」に感染していることを確認。82年には分離培養に成功し、さらにマーシャル氏が自らの身体を使って感染実験をおこなうなどしてその存在を証明した。  ピロリ菌(ヘリコバクター ピロリ)という名前は、胃の幽門部(ピロラス)に棲みついているということで名づけられた。なお「ヘリコ」はヘリコプターと同じ「回転」という意味が語源で、ピロリ菌が鞭毛を回転するように盛んに振り回していることからつけたれた名称だ。「バクター」は細菌の意味。  さて、ピロリ菌は両氏の発見後に急速に研究が進み、早くから消化性潰瘍の治療は、抗生物質と制酸剤の組み合わせで治癒することがわかり、それまで繰り返す胃潰瘍に悩まされていた人々は、その苦痛から解放された。ストレスや生活習慣などが胃潰瘍の原因とされていたが、その多くはピロリ菌が主たる原因であったわけだ。  現在では胃がんとピロリ菌の関係についても強く疑われている。日本人、特に秋田など寒い地方には胃がんが多いことを、かつて塩分摂取量が多いことにその原因があるとされてきた。長い間この説は医学界では常識であったが、最近ではピロリ菌感染に高塩食が重なった場合に胃がん発症に結びつくという研究報告も出ている。  日本ではピロリ菌に対してどちらかというと「寛容」で、これまで感染者に対して潰瘍などがなければ除菌は行ってこなかった。しかし海外では感染がわかれば積極的に除菌する。内視鏡検査でピロリ菌感染が見つかることが多いが、必ずしも治療を必要とするような胃炎などを起こしているわけではない。しかし、ストレスなどほかのリスクファクターが重なるなどしたときに急性胃炎や胃潰瘍を発症することが考えられるわけで、ピロリ菌感染は「感染症」として認識した上で治療(除菌)しておいたほうが賢明だろう。  ピロリ菌の検査は、内視鏡検査の際にごく少量の組織を採取して検査する方法と、呼気法といって、ピロリ菌が尿素を分解して炭酸ガスとアンモニアに分解する酵素(ウレアーゼ)を産生する性質を利用する検査法がある。ほかにもいくつか検査法があるが、この二つが最も一般的だろう。  呼気法は簡便ではあるものの、胃の状態まではまったくわからない。やはり胃の内部の状態を的確につかめることから内視鏡検査(胃がん検診)がもっとも効率が良い検査法ではないかと思われる。  日本人のピロリ菌感染率は高い。日本人に胃がんが多いこととも関連があるはずだ。できれば年に一度は胃部内視鏡検査を受け、必要であればピロリ菌除菌を行いたい。ピロリ菌を一度除菌すれば二度と感染しないという日本人医師もいるようであるが、ピロリ菌の感染経路は残念ながら現在も明らかにされておらず、再感染のリスク評価などできる状態にはない。

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高血圧の患者は糖尿病になりやすい

 中文大学医学院が2002年から2003年にかけて、プリンスオブウェールズ病院の55歳以上の高血圧患者230名を調べたところ、実にその40%の患者は糖尿病またはその予備軍だったという。医学院では減量して血圧を下げることを勧めている。  統計学的には元になる母集団(サンプル数)が少ないので、これだけで医学的に結論することはできないと思われるが、高血圧も糖尿病も肥満が大きな原因になっていることは間違いないので、今回の調査結果は当然のものともいえるだろう。  私も長年多くの日本人の健康診断結果を見てきたが、生活習慣病という大きなくくりで見ても、その発症リスクに肥満がかかわっていることは間違いないことだ。肥満度が進むにつれて、高脂血症(高中性脂肪、高コレステロール)、高血糖、高血圧、高尿酸、そして肝機能障害まで見られる率が高くなるように感じている。これは医学的にもメタボリック症候群と称されており、最近盛んに研究されるようになってきた。今回の研究調査も、発表された高血圧と糖尿病の関係という切り口ではなく、肥満と生活習慣病の関連について調べて欲しいところだ。  健康診断結果を見ていると、少しでも減量できれば健康状態を改善できる可能性が高い受診者が多いことに気がつく。体重管理がそのまま健康管理に直結すると考えて間違いない。もちろん生活習慣病ばかりが問題になるわけではないが、個人の努力で、近い将来の死亡リスクを直接的に下げることができる訳であり減量努力をする意味はたいへん大きい。メタボリック症候群は高血圧など単独に問題がある場合に比べると、そのリスクは相乗的に大きくなる。  食欲の秋ともいうが、秋になると食欲が増して盛んに食べるのは、食べ物が不足する冬に備える動物的な本能ともいえるもので、人間には当てはまらない。確かに夏場の食欲不振がなくなり、さらにはおいしいものがたくさん出てくるので食欲が増すのは自然だ。しかし人間の場合は、むしろ気候が良くなる秋を運動して減量する季節と捉えたほうが良いだろう。

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BMI27以上の肥満男性は大腸がんのリスクが増大

 日本の厚生労働省研究班によると、日本人男性で肥満度(BMI)が27以上の場合、大腸がんの発症がBMI25未満のグループに比べて1.4~1.5倍高いことがわかったという。これは日本の9府県の約10万人(40歳から60歳)に90~92年にアンケートを実施し、その後10~12年間追跡した大規模調査の結果だ。  アンケートの内容やその後の追跡方法までは報道されていないが、喫煙、飲酒、年齢といった影響を取り除いた結果として、肥満と大腸がんの関係について明らかにされた。10万人を長期にわたって追跡した大規模な調査で、その信憑性は高い。なお、女性については有意な関連性は認められなかったという。  大腸がんに関しては、野菜など繊維分の摂取によって発症リスクが低くなるという説が否定される研究報告も最近出ていたが、今回の調査結果を見る限り食生活との関連性は非常に強いものといえるだろう。  肥満の原因は高カロリー、つまり必要以上に摂取されたエネルギーが体内に蓄えられることだが、やはり脂っこい食べ物を好む人に肥満が多いことには疑う余地はない。従来日本人の食事で脂質が多いものは天ぷら等の揚物くらいで、日常的に食べているようなものではなかった。ところが最近は食生活の洋風化が進み高脂質食品を常食するようになってきており、乳製品や肉類の摂取が極端に増えている。反対に主食である米の消費が著しく減っている現代では、カロリーの主体が米から油脂に変化して、太りやすい食生活になってきたといえるだろう。ただし日本人の平均的摂取総カロリーは昔も今もそれほど変わらないそうだ。  野菜など繊維質をたくさん摂れば大腸がんの予防になるという説には疑問が投げかけられているが、今回肥満との関係が指摘されたことで、やはり食生活と大腸がんは密接な関係にあることは間違いない。食生活を見直して太りにくい食事に変えることは、糖尿病はもちろん心筋梗塞などの循環器系疾患のリスクを低下させるばかりではなく、大腸がんの発症も抑えることができるわけだ。

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上海蟹から基準の10倍を超える抗生物質

 台湾で販売されていた大陸産の上海蟹から基準の10倍を超える抗生物質(クロラムフェニコール)が検出された。  クロラムフェニコールは製剤名をクロロマイセチンとも呼ばれサルモネラ菌、発疹チフス、ツツガムシ病などに用いられる抗生物質であるが、再生不良性貧血などをおこすなど比較的副作用が強く、血液の病気がある人や腎臓や肝臓が悪い人には使えないものだ。通常、患者治療にこの抗生物質が最初から使われることはない。  一般に養殖では高い密度で育てているので、ひとたび感染症が発生すると短期間のうちに全滅する危険性があり、その予防のために抗生物質が投入されることは珍しくない。  先日はマラカイトグリーンが問題になったばかりであるが、同様の問題はほかにもいくらでもある。魚介類に限らず養豚や養鶏などでも抗生物質の問題は昔から指摘されてきたことだ。食用動物に使用された抗生物質を知らず知らずに人が間接的に摂取してしまう。これが原因で人の病気治療に使われる抗生物質が効かなくなってきているともいわれるほどだ。  今回検出された量で、人の健康障害が生じるとは思えないが、決められた基準をまったく無視した薬物の乱用は非難されるべきだ。幸いにも香港で販売されている上海蟹では検出されていないというので、「一応」安心だが養殖ものには量の多少はあるにしても何らかの薬品が使われているものと思っていても良いだろう。  だから購入を避けようというのではない。抗生物質の使用は現代社会において、食料の効率的な生産にはどうしても必要なことであり、安全基準を守って使用する限り問題とすることはできない。もちろんこのような医薬品が使われていないものもあるが、多くのケースでは価格が非常に割高だ。  どのような基準で食品を選択するかは個人の自由であるが、少なくとも現実を理解したうえで決定することが理想だ。その意味で消費者に対して、生産者や行政サイドからあらゆる情報の開示が求められる。

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日本脳炎およびレジオネラ感染

 まずは日本脳炎。今年香港で2例目の発生が報告された。患者は新界(Tin Shui Wai)に住む37歳の女性で、発熱、めまい、視覚異常を訴えて7月20日よりTuen Mun Hospitalに入院しているが、昨日、日本脳炎であると診断された。  この患者には潜伏期間と考えられる期間、香港から外には出ておらず、香港内で感染したことは間違いとのことで、今年初めてのドメスティックケース(香港外で感染したものでない患者)として報告された。(昨年は5件)  日本脳炎は蚊に刺されることで感染するが、このウイルスは豚の体内で増殖する。つまり感染豚を刺した蚊がヒトを刺すことで感染の機会となる。今回患者が発生した地域には養豚場があり、その意味では感染リスクが高かったといえる。ただ以前の例で言えば、香港島の南(Ap Lei Chau)で患者が発生したことがあり、必ずしも養豚場が近くにあることが感染条件となるわけではない。  日本脳炎に感染しても、発病するのは100~1000人に一人の割合で感染してしまう確率も考慮しなくてもよいほど低いことを考えると、日本脳炎に対して神経質になる必要はない。  日本や韓国では予防接種によって日本脳炎はほぼ制圧された。しかし今年5月に日本の厚生労働省は、副作用問題から日本脳炎ワクチン接種の中止を勧告している。香港では一部の医師がワクチンを個人輸入していたが、香港政府としては日本脳炎ワクチンの必要性を認めていない。  例外的な患者が発生したことで神経質になる必要はないが、デング熱のこともあるので、蚊には刺されないように注意することが必要だろう。 さて、今年はレジオネラ感染の報告が相次いでいる。7件報告されている中で、香港内で感染したと思われるケースが2件、どこで感染したのか不明なケースが4件となっている。(1件は香港外で感染した輸入例)  1976年の夏、米国フィラデルフィアのホテルで開催された在郷軍人会の参加者などに重症肺炎が集団発生。221名感染して29名が死亡している。米国疾病管理センター(CDC)はまったく新しい感染症であると認定して、「在郷軍人病」と呼ばれるようになった。この原因菌が後にレジオネラ ニューモフィラと命名されている。  レジオネラ菌はもともと自然界(土中)に広く存在するものだ。乾燥して空気中に飛散し、冷房用の冷却塔水などに入り増殖。この汚染水が霧状になって飛散することが大きな感染原因になっているといわれる。香港の場合、ビルの空調用冷却塔水の飛散はかなり多いと思われるが、この冷却水飛散による感染リスクは避けるのは難しい。  最近は水を替えない循環式温泉施設などで感染する事例が多く、日本でも時々問題になっている。これは、あくまでも私の推測だが香港のサウナの風呂も循環式であって、レジオネラ菌が増殖している可能性が考えられる。  感染経路からすると、確かに感染を予防することが大変難しい病気ではあるが、レジオネラ菌は免疫力が落ちていない人にとっては決して怖いものではない。  本日の新聞などで日本脳炎とレジオネラが大きく取り上げられているがどちらも新聞記事のように過大に神経質になることはない。  栄養・運動・休息などに注意して自身の健康度を保っておくことが、あらゆる感染症対策に有効であることは間違いない。